春の兆しがちらほら見られるようになる3月。
雪が溶け始める頃、私の住む近所の庭にそびえ立つメープル(楓)の樹木に、小さなバケツが取り付けられているのを見かけるようになります。
「今年もメープルシロップのシーズンが始まったんだなぁ」と、出来立て新鮮の温かいメープルシロップの味と香りを思い出し、思わず嬉しくなってしまいます。
世界で供給されているメープルシロップの70%はカナダ産だと、知っていましたか?
その中でも90%は、楓の樹木が自然に生い茂るケベック州で生産されています。
メープルシロップになる樹液は、主にシュガーメープル(サトウカエデ)、ブラックメープル(クロカエデ)、そしてレッドメープル(赤カエデ)の3種類の楓の樹木から採取できます。
寒い気候で育つ楓の木は、冬の前に幹や根に澱粉を蓄えます。
蓄えられた澱粉はやがて糖分に変わり、冬の終わり、春の始め頃に樹液の中に排出されていくので、3月から4月にかけて、樹液を集めるバケツをあちこちで見かけるわけです。
カナダの小学校では社会科の授業でメープルシロップの生産過程を学びます
まずは、樹齢が30~40年くらいの、幹の太さが直径20㎝以上のメープルの木に小さな穴(tap)を開けて、採取口を取付け、樹液(sap)を集めます。集められたsapは、水分が蒸発しシロップになるまで煮詰められます。
更に混ぜながら煮詰めるとメープルバターに、そして更に煮詰めて水分を飛ばすと、メープルシュガーになります。
一般的に一本のメープルの木からワンシーズン、20から60リットルのsapを採取することができ、およそ40リットルのsapから1リットルのメープルシロップを作ることができます。
子供たちは社会科の授業でメープルシロップの生産過程を小学校で学び、開拓体験村のような施設で昔ながらの制作方法を体験しながら学びます。
色や味、香りなど様々な種類のメープルシロップがありますが、どう違うのでしょう?
カナダで使用されているスケールですと、メープルシロップの濃度と透明性によって、以下の4つのグレードに分けられ、色が濃ければ濃いほど、メープルの味も香りもより濃厚となります。
GradeA:Golden(透明性75%以上)
GradeA:Amber(透明性50%~74.9%)
GradeA:Dark Robust(透明性25%~49.9%)
GradeA:Very Dark(透明性25%以下)
左から、Golden、Amber、Dark Robust、Very Dark
カナダでは、メープルの木から採取された100%のsapで作られ、66%以上の糖分が含まれたシロップだけが正式にAのグレードメープルシロップと認定されます。ですので、グレードが付いているものは安心して購入できますね。
カナダでは、本場ならではのメープルシロップを使った食品がたくさんあります。
メープルシロップは特にベーコンと相性がよく、「これもメープル・ベーコン味あるの!?」とビックリするような商品もマーケットでよく目にするんですよ。
検索してみたら、こんなにもたくさんのメープルやメープルベーコンフレーバーのアイテムがありました!
ベーコン&メープルバーベキューソース、メープルベーコン鶏手羽先用調味料、メープルベーコン調味料、カラメル玉ねぎとメープルのコンフィ、チトポレメープルベーコンジャム、メープルベーコンチップス、メープルベーコンチョコレート、メープルベーコンシナモンロール、メープルベーコンコーンブレッド、メープルベーコンカップケーキ、メープルベーコンファッジ、メープルベーコンチーズサンド、メープルベーコンポップコーン、燻製メープルベーコンピザ、メープルベーコンウィスキー、メープルベーコンアイスカプチーノ、メープルベーコンリップ
メープルビーンズ、メープルキャンディー、メープルバター、メープルクリーム、メープルクリームクッキー、メープルフォンダン、メープルアイスクリーム、メープルロリポップ、メープルシュガー、メープルタフィー、メープルコーヒー、メープルコーラ、メープルティー、メープルワイン、メープルシュガーカクテル、パンプキン・メープルラッテ、ソルトメープルブロンディ、メープルシロップキャンドル
グラニュー糖の代わりに、自然の恵みがたっぷり入った、香りもステキなメープルシロップを使ったお料理レシピもたくさんあります。
ホットケーキやワッフルなどにかける以外にも、メープルシロップをお料理に使ってみてください。
ポークロインをメープルシロップの入った調味料に一夜漬けし、翌日バーベキューやオーブンで焼いたり、ミルクティーに蜂蜜やお砂糖の代わりにメープルシロップを入れるのが私は好きです。
メープルシロップをたっぷりかけたグラノーラを作った時は、家中メープルシロップのアロマが漂います。
今年も出来立てのフレッシュなメープルシロップを堪能できる甘~い季節がすぐそこまで来ていることにワクワクしています。
Written by 林いくえ(カナダ)