MENU

150年以上の歴史!マレーシアのローカルカフェ、コピティアム文化

2021年2月26日
土屋芳子 (マレーシア)

150年以上の歴史があるマレーシアのコピティア文化

マレーシアにはカフェがたくさんあり、いたるところでコーヒーや紅茶が楽しめます。

マレーシアのカフェは大きく分けると2種類あり、1つは日本で私たちが普段親しんでいる、喫茶店やスターバックス的な西洋スタイルのコーヒー店。

もう1つはコピティアムという、マレーシア独自で生まれたローカルカフェです。

ここでは基本のコーヒーはKOPI(コピ)といい、砂糖もミルクも入った甘いコーヒー。だいたい1杯50円くらいです。

コピティアムは、マレーシアのアイデンティティーに欠かせないもの。

1人でも家族連れでも、仕事の打ち合わせでも、さまざまな用途に使われ、子供からお年寄りまでみんなに愛されています。

たいてい早朝からオープンし、夜には閉店。コーヒーや紅茶だけ飲んだり、朝食やランチを食べたり、庶民の生活に根付いています。

このコピティアム文化は、実は1800年代後半から存在していて、すでに150年以上の歴史があります。

コピティアムの歴史は、中国南部の海南島から海南(ハイナン、マレー語だとハイラム)人が移住してきたことに始まります。

彼らは1800年代後半に東南アジアに移住した、最後の中国の民族の一つです。

彼らが最終的に到着したときには、他の主要な方言グループである福建人、広東人、潮州人などはすでに定住しており、貿易、農業、鉱業など、マラヤ(マレーシアの前身)のより有利な産業を支配していました。

 

コピティアムは西洋風スタイルとマレーシア文化の融合

マレーシアがまだイギリスの植民地だった時代のことです。生計を立てるために他の場所を探すことを余儀なくされた海南人移民のほとんどは、接客業に従事するようになりました。

多くの人がホテルやレストラン、パン屋でシェフやスタッフとして働き、ヨーロッパやプラナカンの裕福な家庭の家政婦になった人もいました。

一部の海南人は、イギリス軍の基地や船のキッチンでコックや食堂のオペレーターとしての仕事に就きました。

しかし第二次世界大戦末期には景気が悪化し、ホテルやヨーロッパの家庭での仕事が少なくなってしまいました。当時は不動産価格も大幅に下落していました。

イギリス人のためにシェフとして働いていた多くの海南人はこのチャンスを素早く掴み、その貯金で小さなレストランやコピティアムを設立するための場所を購入したそうです。

そしてすぐに、コピティアムは中国からの移住者が集まって食事をするための人気のある社交場となりました。

ご存知でしたか?「コピティアム」という言葉は、マレーシア語でコーヒーを意味する「コピ」と、福建語で店を意味する「ティアム」の2つの単語からできています。

今日まで続く典型的なコピティアムのメニューは、海南人の料理の技術と、彼らがイギリス人の雇い主のために採用しなければならなかった西洋風スタイルとの融合で作り上げられたものです。

彼らはまた、お茶、ケーキ、パン、そして典型的な半熟卵を、緑の花柄の磁器のカップと白い大理石のテーブルを備えたシンプルな店で販売し、中流労働者から低所得者までを顧客の対象としていました。

手頃な価格の食事とこのコンセプトは一気に広まり、1960年代までにはマレーシアのほぼ全域でコピティアムを見つけることができるほどの成功を収めました。

そして今日に至るまで、ほとんどのコピティアムは海南系の家族によって経営されており、ビジネスは父から子へと受け継がれています。

 

コピティアムの美味しいメニューたち

これらのコピティアムは今や完全に社会に溶け込んでいて、イスラム教徒のマレーシア人でも楽しめるように、多くの店が豚肉やお酒を使わず、ハラル対応をしています。

コピティアムの典型的なメニューとして、ドリンクは、コーヒーと紅茶、ミロ(マレーシアではマイロと呼ぶ)は必ずあります。

コーヒーと紅茶飲料は、コソン(マレー語でゼロの意味。砂糖もミルクもナシという意味に使われます)。と言わないと砂糖とミルク入りの甘いものがでてきます。

トースト類の中でも最も有名なものは、カヤバタートースト。ココナッツミルクから作ったカスタードクリームのようなやさしい甘さのカヤジャムとバターを挟んだトースト。伝統を守る店では、今でも炭火でトーストされます。

朝ご飯の典型的な3点セットは、コピと半熟卵とトーストのセット。半熟卵をくずして、トーストをつける食べ方がスタンダード。

また、マレーシアの国民的料理のナシレマや、各種麺料理もどこにでもあります。

ランチタイムの定番は、チキンチョップ。海南風チキンチョップという名前がついていることもあります。揚げた鶏もも肉に、マッシュルームのグレイビーソースをつけていただく料理。

これはマレーシアに根付く西洋料理で代表的なものですが、もともとはイギリス人のコックとして働いていた海南人から伝わったものだったのですね。

みんなに愛されている日常の食事の場。手ごろな価格でマレーシアを感じることができるコピティアム。ぜひ体験してみてください。

下記の店は、昔からずっと今日まで営業を続けている伝統のあるお店です。

– Restoran Yut Sun – Taiping, Perak (1921)
– White House Kopitiam – Kota Bharu, Kelantan (1935)
– Kluang Rail Coffee – Kluang, Johor (1938)
– Chong Kok Kopitam – Klang, Selangor (1940)
– Kedai Kopi Hai Peng – Chukai, Terengganu (1940)
– Restoran Hua Mui – Johor Bahru, Johor (1946)

引用、参考;SAYS

Written by 土屋芳子(マレーシア)

この投稿をシェアする

イベント・セミナー一覧へ
コラム一覧へ
インタビュー一覧へ
ブックレビュー一覧へ
セカウマTV一覧へ
無料登録へ