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海外移住前に知っておきたい医療制度の違い(フランス・アメリカ編)

2021年8月21日
桝本麻未 (アメリカ)

フランスの医療制度はパブリックで分業制

パリからカリフォルニアに舞い戻り、早5ヶ月。世界中でコロナ関連のニュースが日々絶えない中、今回はコロナ禍での海外移住で学んだ、フランスとアメリカにおける医療機関制度の違いについてご紹介したいと思います。

フランスでは公的医療制度が確立されており、日本でいう国民保険のような補償を受けられるため、病院から多額の請求を受けビックリすることは少ないでしょう。

滞在期間3ヶ月以上から適用可能で、異なる保険プランを自己負担、もしくは雇用主経由で追加することもできます。例えば、妊娠・出産にかかる費用は妊娠検査薬から入院・手術に関わるほぼ全ての費用がこの国民保険でカバーされます。

フランスは医療分業制である為、様々な種類の医療機関が点在しており、かかりつけ医でできることが限られています。

一般的な流れとしては、主治医からの診察結果により専門医、もしくはその他の医療機関を紹介してもらう流れになります。それに伴い、相互の医療機関での書類や情報の行き違いが発生したり、長時間待たされたりすることも多いです。

総合病院ももちろん存在しますが、非常に予約が取りにくく、受診までに時間がかかります。担当医を通さず専門医を受診すると、医療費が高くなるので要注意です。

私がパリ在住時に利用した医療機関でも、同じ流れで専門医の紹介を受けていました。

 

アメリカの医療制度はプライベートで高額

アメリカの医療制度は打って変わって独特です。日本のような国民保険といった医療保障制度はありません。

医療機関はプライベートなので、一般的な医療保険に入っていても加入しているプランにより高額請求を受けることが多いです。特にMRIやレントゲンなど精密医療機器を取り扱う検査は高額になりがちで、救急車も同様に有料且つ高額です。

また、アメリカでは眼科と歯科は別途異なる保険プランに加入が必要となり、こちらもプランによって自己負担額が異なり、加入していないと全額自己負担となります。

一般的に雇用主に補償してもらうか個人で健康保険へ加入する流れですが、任意のため経済的に医療保険に加入できない家庭が多く、風邪を引いたり病気になっても病院に行か(け)ない人が多いのが現状です。

高齢者・障害者・低所得者向けの公的医療保障制度もありますが、この保険料の高騰に伴い無保険者の割合が増えており大きな社会問題になっています。

例えば、一般内科の診察だけで200ドル以上、処方箋は薬によりますが、別途50〜100ドルほどかかり、外科手術には数日の滞在にかかる入院費・手術費を含め概ね10000ドル以上かかると言われています。

ただ、医療費が高額なこともあって諸機関の対応はどこも手厚く、医療保険に加入さえできていれば、アメリカの医療機関はとても頼りがいがあると言えます。

私が通っている病院も非常に対応が手厚く、担当医もベテランで安心して任せられます。アプリで検査結果や通院費の支払いが確認・対応できる点も助かります。

フランスと比べると、長時間待たされたり書類や情報が行き違えたりすることも少ないです。

コロナ対策は施設により対応が異なりますが、通院している施設では医療用マスクの着用及び、訪問毎にアプリ上でコロナ関連のスクリーン問診票の提示必須という徹底ぶりです。

経済的負担は少ないが事務的なストレスが多い「パブリック」か、医療保険プランにより安定した技術・治療が最新の施設で受けられる「プライベート」かにより、相互にメリット・デメリットが異なります。

それぞれの制度を理解することで上手に医療保険を利用し、自己負担額を軽減できるでしょう。

Written by 桝本麻未(アメリカ)

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