シチリア島、パレルモ在住の桜田香織です。早いものでイタリア生活も四半世紀を越え、今一度自分の生活を振り返ったりしている今日この頃です。
航空会社勤務だった当時、仕事で初めて訪れたローマに恋をしてしまい、そこから私のイタリアへの憧れが始まりました。11年乗務し、その間にイタリア語を学び始め、社内留学システムを利用して2年間の予定で渡伊。
2年経った時点で一度帰国して退職し、イタリアへ舞い戻った次第です。ちょうどその頃就労ビザを取れる可能性が出てきたので、それに賭けてみました。
イタリアで就労ビザを取るというのはなかなか大変なことでありまして、あの時の苦労は2度としたくないし、はっきり言ってあまり思い出したくもありません。
最初はいわゆる「雇われ人」のビザ、その後フリーランスビザに書き換えました。イタリアで正式に仕事をできるというのは大きな喜びであった反面、高額な税金を納めなくてはいけないことを知り、愕然としたことを覚えています。
20代の頃に稼いでいた金額は、イタリアではどう足掻いても手が届かないと認識した時の落ち込みと言ったら、一瞬自分の判断は甘かったのではないかと後悔したこともあるのが事実です(笑)。
エトナ山で昔ながらのやり方でグラニータを作るロケ
観光業、メディアのコーディネート、ジャーナリズム・・・と、何足もの草鞋を履いての毎日でしたが、コロナ以前から観光業は減ってきていたこともあり、色々と考えてフリーランスのビザは国へ返しました。
フリーランスのビザは所持しているだけで税金がかかってくるのです。日本から直接の仕事だけを受けることにしました。
永住権は持っているので、イタリアに住むことは全く問題ないですし、日本の方が一回の単価が高く、しかも税金が安いのです。イタリアではほぼ半分を持っていかれてしまいます。
そして2020年の3月、シチリアがロックダウンに入ってしまいました。コロナ以来、何が変わったかというと、一言で言えば仕事が全くなくなったということです。
友人のテレビカメラマンから「海外ロケは全て中止になりました」と連絡が入った時、正に「ガ〜ン」という感じではありましたが、まさかこれほど長く引きずるとは思っていませんでした。
イタリアの各地に住む同僚達と「仕事ないねぇ」と言いながらも楽観していた私です。ところが実際、まだまだ仕事は入ってきません。はっきり言って暇を持て余している状態であります。
ワクチンも進んでいるイタリアは日本からの入国はワクチンパスポートがあれば隔離なしですが、日本再入国時の2週間の隔離がネックですね。イタリアでロケをして、帰国したら隔離、これでは全く仕事にならないですから。
感染が増えている現在、仕事はまだまだ当分ないと覚悟しています。
去年の最初のロックダウン中は、スーパーへ入るのも制限あり
イタリアは公務員が多く、彼らは去年のロックダウン突入時からほとんどリーモートワークとなり、かなり長く続きました。その後、オフィスの人間を半分に分けて、それぞれが隔週で出勤したり、週3日出勤という所もありました。
彼らは経済的には保証されているので、困った事態には陥らなかったようです。
ただ、通常の勤務時間を越えた夜遅くにも上司から連絡があったり、書類の作成を頼まれたりするので、夕方以降は携帯の電源を切るという処置をした人も少なくありません。
大変だったのはホテルや飲食店、美容院などで働いていた人達でしょう、完全にクローズしましたから。アルバイトは勿論なんの保証もありませんし、きちんと雇用されている人も国からの補助金が降りるのが遅れたりして、かなり大変だったようです。
ただでさえ失業者が多いイタリア、このコロナで経済的な打撃はかなりのものだと思います。
先が見えない、仕事がないという今現在の私の状況ではありますが、ある意味世界中が立ち向かっている状況でありますし、文句を言っても仕方がない。
医療関係者など、過酷な状況で仕事をなさってる方々に感謝しつつ、自分で選んだ大好きな国に住める喜びを忘れないように過ごしています。一人暮らしで家賃を払っていたら、とてもではないですがやっていかれなかったと思うので。
そう遠くない将来、通常モードになって日本からの旅行客、ロケが戻る日が来ることを少し俯瞰で眺めている私です。そして是非皆様にも足を伸ばしていただきたいと思っています。
こんな綺麗な海で泳ぎませんか?
Written by 桜田香織(イタリア)