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コロナ死者2カ月で倍増、邦人も21人。現地在住者が見たインドネシアのリアルな現状

2021年9月1日
湯浅杏子 (インドネシア)

たくさんの人から「大丈夫?」の心配メッセージ

海外に住んでいると、住んでいる国で事件や自然災害が起こった時などに日本で報道され、その報道を見た親戚や友人が心配してメッセージを送ってくれる。これは「海外在住あるある」ですね。

ここ数年で日本でインドネシアがニュースに出た時といえば、テロ、地震や津波、地滑りなどが記憶に新しいのはないでしょうか。それからしばらくは、日本にいる親戚や友人を心配させてしまうような出来事はあまりありませんでした。

最近たくさんの人から「大丈夫?」と心配のメッセージが届きます。どうやら日本で、インドネシアのコロナウィルス感染者・死亡者とや、病床・酸素不足など、世界最悪の状態であることが連日報じられているからのようです。

今となっては世界で最悪なコロナウィルス感染状況となってしまったインドネシアですが、2020年2月までは「コロナウィルス感染者はゼロ」と言われていました。

2019年に広がり始めたコロナウィルスについての中国や日本などのニュースを遠目に見ながら、まるで他人事のように見ていました。

ウィルスは目に見えないので、「インドネシアには感染者はいない」と言われたら「そうなのか」と最初は思っていましたが、「東南アジアの隣国でも感染者が出た」とニュースで報道され始め、「本当にインドネシアにウィルスは入ってきていないのか」と私自身も周りも、なんとなくざわつき始めました。

 

地方まで浸透していない社会制限

そんな中、2020年3月、ついにインドネシア政府がインドネシア国内で初めてコロナウィルス感染されたと発表しました。しかもその初感染者は日本人だと発表されました。

そこからはおそらく皆さんもご存知の通り、インドネシアを始め、世界各国で状況が深刻化していきました。

中国や韓国、ヨーロッパや米国、同じ東南アジアでもマレーシアなどで厳しいロックダウンがされる中、インドネシアも政府から色々と社会活動制限等出されるものの、他国の活動制限に比べるとその緩さが目立ちます。

首都ジャカルタの中心部の通りやビルが閑散とし、人々の姿が見られなくなったのは嘘ではありません。しかし一歩ジャカルタを出ると、住民はもちろん役人や軍や警察、みんなが活動制限を徹底できていないのです。

強いて言えば、ショッピングモールが一時閉店になったことと、一部の業種を除く企業で在宅勤務となったくらい。

インドネシアではまだまだ一般家庭でのコンピュータ所有率が低く、インターネット環境が悪いことも多々あって問題となっています。学校もほとんどがオンライン授業となりましたが、一部の学校は対面授業もしています。

社会制限が始まってすぐは軍や警察も、通行してはいけない通りや高速道路の入り口で検問していましたが、それも数日で終わり、あとはほったらかし状態。

中央政府やジャカルタ特別州政府が発表している厳しい社会制限は、地方まで浸透していないのです。レストランなどでの店内飲食禁止のはずが、普通に店内で食事している光景を見てびっくり、なんてこともありました。

 

デルタ株が広まり、感染者が急増

友人が届けてくれた酸素測定器やビタミン剤、処方された薬

デルタ株が入ってきてから、状況の悪化が目に見えて深刻化しています。

今までは感染者や死亡者が多いとは言っても実感があまりしませんでしたが、デルタ株が広まってからは友人・知人に感染者が相次ぎました。6月中旬から爆発的な感染拡大が生じ、死者は2カ月余で倍増しました。

とても残念ですが、8月4日時点で日本人在住者も21名亡くなっており、事態がどれだけ深刻か感じ始めました。

この数か月は日本のニュースでも報道されたように、日本人を含む外国人が続々とインドネシアから退避しています。

そして実は私自身もコロナウイルスに感染してしまいました。幸い軽症だったので自宅療養で済みましたが、発熱や体の痛み、嗅覚がなくなるなどの症状があり、怖いウィルスだと思いました。

自宅療養中はドクターのオンライン診断をしてもらい、抗ウイルス剤やビタミンなどが処方され、バイク便でデリバリーしてもらいました。

とてもありがたかったのが、同じ国際結婚でインドネシアに住んでいる友人達の助け。ビタミンドリンクを家まで届けてくれたり、外に出られないから不便だろうと、牛乳や食料品などを買って家まで届けてくれました。人の有難さを感じました。

今回は暗い内容のコラムになってしまいましたが、今のインドネシアのリアルな現状をお伝えしたかったのです。

先日世界ウーマンのオンライン旅に参加させていただきましたが、一日でも早くこのコロナウイルス状況が良くなり、また自由に日本に帰国したり、旅行に行けたりする日が来ることを願います。

Written by 湯浅杏子(インドネシア)

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