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「私の中の私達」との出会い。複数の仕事を持つことで得た楽しさと軽やかさ

2021年12月8日
野林薫 (オーストラリア)

自分を楽しむことで起こった、仕事への意識革命

オーストラリアに移り住んで以来、ボランティアを含めていろんな仕事を体験してきた。調理師、デパート販売員、目が不自由な方の訪問サポート。コロナ騒動の前は、シドニーに来る日本人観光客の観光案内もやっていた。

そして2つのボランティア体験。1つは障害を持つ人達のグループを映画などのアクティビティに引率する仕事、もう一つは、オーストラリアにプロテクションを求めて入国してくるアサイラムシーカー達をサポートする団体でのボランティア。

現在は、精神障害を持つ人々が共同生活するグループホームでの日常生活の支援、オンライン英会話講師、オンラインでシドニーの素敵さを発信する、シドニーバーチャル案内人として、「いろんな自分」と共に過ごす日々を送っている。

メンタルヘルスサポートワーカー、オンライン英会話講師、シドニーバーチャル案内人という、同じ「私」がやっている仕事たちなんだけれども、それぞれの仕事に最も適したキャラや特性を自分の中から探して引っ張り出す。そして、選んだキャラや特性をそこで思い切り使いこなす努力をする。

この働き方を始めて以来、「いろんな自分」を楽しめるようになってきたと同時に、それまでツラいものと信じていた仕事を、軽やかに前向きにとらえるようになってきたのは、私の人生での大革命だと言える。

 

自分がこんなに変わるなんて…

地元福岡の高校を卒業してすぐに地元金融機関に就職した私は、一度も転職することなく20年間をその金融機関のOLとして過ごした。

あの20年の間、転職などほとんど考えたことはなく、複数の仕事を同時に持つなんてことは、何か特別な人達がやっていることのように感じていた。

そんな私がオーストラリアで初めて「本気で」履歴書を作ったのは約7年前。

「福岡の金融機関」と「シドニーでのレストラン経験」の職歴しかない私の履歴書を見た私の彼は驚愕。「こんなpoorな履歴書では仕事なんて見つからない」とニセの職歴を盛られる始末だった。

そんなお陰(?)もあってか、幸運にも、異業種への転職をやってのけたどころか、現在では複数の仕事を持っているなんて、「私ってなかなか強運持ってるんじゃないの?」なんて、我ながらちょっとした満足感を感じてしまう。

おまけに、日本では20年間一度も職にあぶれることなく継続して働けたなんて、あの当時は当たり前だと思っていたことが、今振り返ってみると、実は私ってめちゃくちゃ運が良かったんだとしか思えない。

自分の感じ方がこんなに変わる日が来るなんて、思いもしなかったことだ。

 

いつの日かこれらを「仕事」に

初めて複数の仕事を持ってみて気がついた。今の私には「仕事を1つだけに絞る」なんてことは、「たくさんある楽しみの中から1つしか選ばない」ような窮屈な感覚でしかない。

金融OLをやっていた時は、「仕事なんかしたくない」と常に思ってたはずなのに、今ではその仕事を複数持って楽しんでいるなんて、本当に人生って面白い。

そしてこの「たくさんある楽しみ」とは、実は「私の中にいるたくさんの私達」がもたらしてくれるものだった。

絶妙なチームワークで、私の人生をとにかく面白い方へと導こうとしてくれる「私の中にいる私達」。

「私A」にちょっと嫌なことがあっても、「私B」がそんな気分を切り替えるお手伝いをしてくれる。「私C」に嬉しいことがあると、「私達全員」が共に喜びを分かち合う。

こんな素敵なチームの存在のお陰で、新しいことに挑戦するフットワークがずいぶんと軽くなった。

実は私には、あといくつか「自分の仕事にしたいもの」がある。

今はこれらを趣味として楽しんでいるのだが、いつの日かこれらを「仕事」として、さらなる楽しさを味わっている未来が垣間見える気がする。

1つの仕事に集中するもよし、色んな仕事を持つもよし。両方をやってみたおかげで、また自分の世界が広くて住みやすくなった気がする。

Written by 野林薫(オーストラリア)

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