MENU

アタカマ砂漠に花が咲き乱れる?!奇跡の自然現象とアンデス絶景スポット

2021年12月9日
宇佐美美和子 (チリ)

見られるのは数年に一度だけ、砂漠に広がる花畑

今年は砂漠に花が咲いている!

チリのアタカマ砂漠では数年に一度、冬に大量の雨が降った年のみ、春(9〜10月)にいっせいに砂漠上に花が咲く、という不思議な現象が発生します。

いっせいに花が咲くといっても、広大な砂漠の中で花が咲ける環境と気象条件が合致するのはごく一部のエリア。しかも期間は1ヶ月ほど。

「今年は砂漠に花が咲いている!」というニュースを聞き、急遽この地を訪れてみることにしました。

このエリアの旅行については日本語でほとんど情報がなく、場所によって開花状況も異なるようなので、短期間で計画を立てるのは大変で、現地の旅行代理店が開催する半日ツアーに申し込むことに。

とはいえ、当日はどこまで走っても荒涼とした砂漠が続き、「こんなところに花畑なんて現れるのだろうか?」と車に揺られながら、若干不安に感じていました。

と、坂道を上り切ったところで突然、花で砂漠が色づく風景が目の前に広がったのです!一瞬言葉を失うほどに驚き、どれも息を飲む美しさでした。

今回はチリ中北部にあるコピアポという都市を拠点に、砂漠の花畑を見に行った様子、そして近郊の絶景スポットをレポートしたいと思います。

 

砂漠の生態系の神秘

左上:普段はただの砂漠がカラフルに!、右上:パタ・デ・グアナコ、左下:砂漠地帯に生息する巻貝、右下:蝶の幼虫

アタカマ砂漠の代表的な花は、「パタ・デ・グアナコ」。

砂漠の花畑とは言いますが、砂漠に咲く花はひとつひとつが小さく、砂の上にポツポツと生えているので、大地が鮮やかに染まるというより、砂漠の中で霞がかったようにほんのりとあたりが色づく…という感じ。

カメラには残せないような絶妙な色合いで、ずっとそこにいたくなるような風景でした。

ガイドさんからは、花だけでなく、さまざまな生態系についても解説を聞くことができました。

土の上をよく見ると、無数の小さな巻貝。海から何キロも離れた砂漠だというのに、なんとこれは生きているようで、雨が降った時に活動して少しづつ移動しているのだとか。

また植物の周りをよく見てみると、実はたくさん蝶々の幼虫がいることに気づきます。踏みそうなくらいにたくさんいたので、気をつけて進みました。

数年に一度だけ砂漠で花が咲き、その後いっせいに蝶が舞う…なんて、ちょっと幻想的ですよね。いつかそんな光景を見てみたいです。

 

絶景続き!アタカマ砂漠を抜けアンデス山脈へ

上:ぺデルナレス塩湖のラグーン、左:ラグーナ・ヴェルデ、右:アンデス山脈と南米の動物グアナコ

今回の旅行では砂漠の花以外にも、コピアポ滞在中に現地ツアーに申し込み、1泊2日でアルゼンチン国境近くのアンデス山脈にも足を伸ばしてみました。

初日のハイライトは、ぺデルナレス塩湖。このあたりはかつて海だった場所が隆起したそうで、塩の大地が広がります。

ところどころ小さなラグーンがあり、吸い込まれそうな透明度。塩分濃度が非常に高く、死海のように浮くことができます。水中では簡単に体がクルクルと回ってしまい、とても不思議な体験でした。

2日目の見どころは、ラグーナ・ヴェルデ。その名の通り翠や碧の色を映し出すラグーンと、雪の残る山とのコントラストがとても美しい場所です。

ラグーナ・ヴェルデでは、温泉に浸かりながらフラミンゴを見ることができます。色鮮やかなピンクのフラミンゴが飛んでいたり、ラグーンの目の前には天然温泉まで!

写真ではきれいで穏やかな場所に見えますが、実際は驚くほど強く冷たい風の音しか聞こえず、目の前に広がる絶景と大自然にただただ圧倒されました。

移動している途中で、アンデス山脈を背景に南米の動物グアナコを発見。車で走ってるだけも絶景が続きます。

ただし、これらの場所はいずれも標高4000m程度。寒さと強風で凍えそうになったり、薬を飲んでいても吐き気や頭痛といった高山病にかかったので、事前の装備や体調管理はしっかりした方がよさそうです。

 

コピアポって、どんな街?!

左:落盤事故の鉱山作業員救出に用いられた「フェニックスカプセル」、右:こじんまりとした街並みと青い空が印象的なコピアポ

今回の旅行の拠点となった都市、コピアポ。

アタカマ州の州都で鉱山業でも有名ですが、観光地としてはあまり知られておらず、私の持っている日本語のガイドブックにも地図上の都市名以外、何も書かれていないような扱いです。

ですので、コピアポがとても美しく落ち着いた街並みであることや、周辺にこれだけの絶景スポットがあることに非常に驚きました。

またコピアポは、約10年前、33人の鉱山労働者が落盤により69日間、深さ約700mの地下坑内に閉じ込められた事故でも知られています。

私は「確かにそんな事故、昔あったかもなぁ」という程度の認識でしたが、この絶望的な状況で33名が奇跡的に全員生還し、当時チリをはじめとした中南米ではとても大きなニュースだったのだとか。

「チリ33人 希望の軌跡」というタイトルで映画化もされており、大事故の様子と極限状態での人間模様などがリアルに描かれた面白い作品でした。

作中では、コピアポの街並みや今回ご紹介したラグーン周辺の風景も映し出されているので、ちょっとした社会勉強と旅行気分にいかがでしょう?!

砂漠の花畑や、コピアポ周辺の見どころはいかがだったでしょうか?ガイドブックに載っていなくても、世界にはこんなにも素敵な場所があるようです。

【旅行情報】

チリ・アタカマ州コピアポ市
▷行き方: 首都サンティアゴから飛行機で約1時間30分。空港から車で約40分程度
▷利用旅行代理店: Experiencia ChilliTrip
▷ツアー代金(2021年時点参考):砂漠の花半日ツアーCLP45,000(約6,700円) / ラグーン1泊2日ツアーCLP140,000(約21,000円)

Written by 宇佐美美和子(チリ)

この投稿をシェアする

イベント・セミナー一覧へ
コラム一覧へ
インタビュー一覧へ
ブックレビュー一覧へ
セカウマTV一覧へ
無料登録へ