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母乳育児から始まった私の変化。出産・子育てで女性の人生とキャリアを強くする

2025年12月26日
藤村ローズ (オランダ)

きっかけとなったのは母乳育児

我が子も成人するまで残りわずか。子育ての総仕上げ時期を過ごす中、過去を振り返ってはやり残したことはないか振り返ることが多くなった。

その中で改めて思うのは、乳幼児期の過ごし方がその後に大きく影響したのではないかということ。

0~3歳までの乳幼児期は脳が大人の約90%まで急成長するとても重要な時期で、実際に子育てをしてみて、「三つ子の魂百まで」ということわざの正しさを実感した。

この時期は子供にとってだけでなく、私にとても大切な時期だった。そのくらい育児を通して私は大きく変わったと感じている。

そのきっかけとなったのが母親となったことだが、その中でも特に母乳育児だ。

出産前は「育児は両親で分担、ミルクでも母乳でもどちらでもいい」という考えだったが、息子のひどい乳児湿疹とミルク拒否から、母乳育児に向き合わざるを得なくなった。

そこから、生後半年で離乳食を始めるまで完母、結局2歳近くまで母乳育児を続けた。

 

母乳育児をしてよかったこと

母乳にはメリットもデメリットもあるが、母親の体力消耗の激しさ以外はいいことづくめではないだろうか。

良かったことはしっかり免疫力を与えられたことやミルク代がかからないかったことなど色々あるが、一番良かったと思うのは、母親としての自覚と自信が芽生えたことだ。

元から女子力が低く、母性が芽生えるのか心配していた私だったが、「今この子に栄養をあげられるのは私だけ」という使命感が私を大きく変えた。

息子にとっても母の存在が確実なものとなったようで、それぞれのフェーズで親離れがスムーズだ。

引っ越しなどで息子は多くの転校を経験してきたが、行き渋りは一度もなく、新しい環境への順応が割とスムーズだ。

家族の間で今でも笑い話になっているのは、2歳の幼稚園初日に「バイバーイ」と言って、一度も振り返らずに中に入って行ったこと。入口で行き渋ったり、泣く子も多い中、先生も少し驚いていた。

また、母乳を飲むことは赤ちゃんにとって全身運動と言われるくらい力が必要で、基礎的な筋力と神経が発達するという。

元々の運動神経もあるだろうが、息子は7ヶ月には歩き回るようになり、育児書との違いに戸惑った。後を追いかける日々は大変だったが、外に連れていけば機嫌がよかったので、逆に楽だったのかもしれない。

1歳頃に買い与えたサッカーボールで自己流のドリブルを始め、今でもサッカーが大好きなので、結果的に彼がほしいものを与えられたのかもしれないと思っている。

 

子供の命より大切なものはない

私は北京での学生生活を終えて、香港に引っ越してまもなく妊娠し、ひどいつわりに見舞われた。

安定期に入ってつわりは落ち着いたが、まだ北京との行き来が残っていて無理をしたために切迫流産を経験した。この時に「子供の命より大切なものはない」と思った。

生まれてしばらくして乳児湿疹がひどくなってきて、のけぞってミルクを拒否し、泣き止まない息子を抱きながら途方に暮れていたが、夫が桶谷式を見つけて、日本へのフライトを手配してくれた。

まだ1ヶ月の息子と二人きりの初めてのフライトは、人生で経験したことがないほど緊張したが、予想とは逆に息子は終始ご機嫌でとてもスムーズだった。

あとは先生と息子に怒られるのが怖くて(赤ちゃんも噛んだりのけぞったり意思表示)、健康な食生活と頻回授乳をひたすら頑張った。

赤ちゃんは生後半年くらいから離乳食を始めるが、それまでは「唯一の食料」という責任感でなんとか乗り切った。

1歳を過ぎると完全に食事から栄養を取れるようになるので、栄養という面では一区切りと言える。

「これで母乳は引退」と思ったら、言葉でのコミュニケーションが取れるようになり、心の栄養として必要とされている実感がより強くなった。

結局、息子が幼稚園に通い始める2歳近くまで、夜中も2、3時間おきの授乳を続けた。

出産するまでは「10時間睡眠が必要な体質」と豪語していた私なので、子供の威力はすごいとしか言いようがない。

 

育児を通して「続けるコツ」を習得

この経験を通してさまざまな能力が培われたと思うが、もっとも伸びたのは「継続力」だ。

短距離走者タイプで短期的な目標達成は得意だが、長期的な目標達成は苦手に感じていたが、ルーティーンの力を活用するのがうまくなり、より小さな労力でより大きな効果を得ることができるようになった。

また、集中するのは得意な反面、複数のことを同時進行するのは苦手だったが、マルチタスクもこなせるようになった。

やはり人一人の命を預かるという責任はこれまで経験のないもので、親である私も成長させてもらった。

出産までは「ミルクも母乳も変わらない」説を信じていて、「授乳はパパでもお手伝いさんでもいいね」とできるだけ早く預けて働くつもりでいた私。

でも、息子が高校生になった今振り返ってみると、あの時ほど私から息子にあげられたものが大きかった時期はないように思うのだ。

その後のこと、例えば勉強は学校や塾で、音楽やスポーツは先生やコーチから学べる。だが、この時期の人間としての基礎部分は私にしかできない部分がかなりあったように思う。

私にとっても子育てでやり残したことが少ないので、子供が成長するにつれて仕事にエネルギーを注ぎ込めるようになった。

確かに社会的ブランクはできたが、その間働き続けていたら得られなかったであろうソフトスキルを得られたことは私にとってとても大きい。

UNICEFによると、世界の乳児(6か月未満)における排他的母乳育児率は過去10年で約10ポイント上昇、世界でも母乳育児は増加の傾向にあるという(排他的母乳育児とは、他のミルクや水を与えない母乳のみの育児)。

女性の社会進出が進む中、この数字はとても素晴らしいものであり、キャリアにもプラスに働き得ると言えるだろう。

子供が成人すると母親としての役割は大きく形が変わり、費やす時間やエネルギーは大幅に減る予定だ。それらを今後の自己実現やキャリアに生かしていきたいと考えている。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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