ドイツは気温も下がり、だんだんと冬らしい気候になってきました。
こんな寒い冬、しかもまだまだロックダウン中のドイツでの週末の過ごし方を同僚たちに聞いていると、「ソファーでブランケットにくるまって、ハーブティーを飲みながらリラックスをすること」という答えが返ってきました。
ビール大好きなドイツ人ですが、意外にもハーブティーをよく飲みます。
ハーブティーを飲んでリラックスするというのは、緑茶を飲む私たち日本人には特に驚くことではないかもしれません。
でも驚くべきことは、ドイツ人が風邪を引いたときにハーブティーで治すことです。風邪を引いて、かかりつけの医者へ行っても、医者からは「あぁーこれは風邪ですね。ハーブティーを飲んで寝てください」と言われるのです。
抗生物質などを処方されることはなく(場合によっては出してくれることもありますが)、その代わりに会社や学校へ提出するための診断書を出してくれるのです。
手っ取り早く治す為の抗生物質よりも、仕事や学校は休み、時間をかけて自然治癒力で風邪を治そうというのがドイツ流の風邪の治し方なのだそうです。
上から右回りに風邪用のお茶、胃腸用のお茶、安眠用のお茶
実際にどんな種類のハーブティーがあるのかご紹介したいと思います。ドイツ人が風邪の時によく飲んでいるのは、Der Lindenblütentee(リンデン茶)です。
リンデン茶とは菩提樹の花のお茶で、解毒作用や発汗作用があったり、神経や体の筋肉へのリラックス効果、体の免疫機能を強くしてくれる働きもあるそうです。
Der Salbeitee (サルビア茶)も風邪の時に勧められます。これは、炎症を抑えてくれるので喉が痛いときに飲むお茶です。でも喉が痛いときは、のど飴も合わせて勧められます。
薬用のど飴は少し口の中が麻痺したような感じになって、痛みを抑えてくれます。
症状や効能別にブレンドされたハーブティーもあります。その中でも医療的効果が期待できるハーブティーがArzneiteeと書かれているものです。日本語に訳すと「医療用のお茶」です。
全般的な風邪用、胃腸用(消化機能を助けてくれるもの)、安眠用(神経を安定させて、睡眠をサポートしてくれるもの)など、様々な用途に合わせてハーブが調合されています。
風邪用のお茶(Erkaeltungs Tee)は私も風邪を引いたときにはよく飲んでいます。
個人的な感想ですが、体調が良い時に飲むととても不味く感じるのですが、実際に風邪を引いたときに飲むと、何となく美味しく感じられます。
これを飲んで寝ていれば、通常の風邪なら2日くらいで治るので効いているような気がしています。
胃腸用のお茶(Magen-und Darm Tee)はまだ試したことはありませんが、機会があればこれも試してみたいです。
今までは日本から持ってきた胃薬を服用していましたが、残り少なくなっているので、今後はハーブティーにシフトいていければ良いなぁと思っています。
安眠用のお茶(Schlaf-und Nerven Tee)は私も常備しています。夜によく寝られない時は、これを飲むとリラックスできて、いつの間にか寝ています。
ここまでにご紹介したハーブティーを活用して病気を治すというのは、植物療法というものです。
ドイツ医学には、ホメオパシーという自然医療も存在しますので、最後に少しご紹介します。
ホメオパシーとは、同種療法や類似療法とも訳され、1976年にドイツのハーネマン医師により考案された医療法です。
現在世界の80カ国以上で用いられている補完・代替医療で、特に欧州では約30%のセルフケア利用率を含め、発祥国のドイツでは家庭医全体の75%がホメオパシー薬を処方しています。
ホメオパシーには以下の二つの原則があります。
一つには、ある物質(ホメオパシー薬)が健康な人に引き起こす症状と類似の症状を示している障害に対して、その物質が治療に使われるという原則です。
もう一つは最小限で効果的な投与を行うことで、高倍率に希釈されたホメオパシー薬を用いるのが特徴です。ホメオパシー薬は一般にレメディと呼ばれ、現在では3000種類以上で、約65%が植物や動物、鉱物などからつくられます。(参考リンク:日本ホメオパシー医学会)
これらは人の本来の治癒力を助ける働きがあるとされていますが、その効果はまだ十分に示されてはいないのが現状です。
ドイツでもプライベート保険では保険適用となる場合もありますが、公的疾病保険の適応はなく私費扱いとなっています。
さて、如何でしたでしょうか。この冬リラックスしたい時や、体調不良の時には、皆さんも是非ハーブティーを試してみて下さいね。
Written by 加藤玲(ドイツ)