はじめまして、ドイツで働く加藤玲です。
突然ですが、皆さんが働く上で大切にしていることは何でしょうか?
私が日本での仕事を辞めてドイツへやって来た時に大切だと考えていたのは、心も身体も健康に働けることでした。
これは日本で働いた経験からです。仕事が忙しかったため、残業や休日出勤をして、少し身体に無理をさせていました。
職場には緊張感が漂っており、私自身も常に何かに追われるような気持ちで働いていました。
いざドイツで転職してみると、あっさりと私の希望は叶えられました。
ドイツで再就職した会社は風通しの良い職場で、ピリピリとした雰囲気はありません。仕事量も(職種によって差があるとは思いますが)私の場合こなせる量の60~70%くらいの仕事量で、残業もほとんどありません。
なぜ100%の仕事量でないのかというと、社員に有給休暇が30日付与されることを考慮しているからです。
ドイツ連邦休暇法(Bundesurlaubsgesetz vom 8. Januar 1963, BGBI.IS. 2)1条によると、
「すべての労働者は、各暦年において有給の保養休暇(Erholungsurlaunb)に対する権利を有する」と定め、同法3条1項において、かかる休暇は年間最低24労働日である旨が定められています。(引用元:橋本陽子「連合総研レポート EU・ドイツにおける年休制度‐「保養」を超えた社会権‐」2017, p.9)
法律では最低24労働日の有給休暇を取得する権利を認められていますが、うちの会社は30日です。有給休暇を取得する間、その仕事を同じ職種の同僚がフォローします。
つまり100%の仕事量を与えられていると、他人の休暇中のフォローができなくなってしまいます。一人の仕事量が60~70%なら、欠員をフォローしても100%を少しオーバーするくらいでフォローできます。
この有給休暇ですが、ドイツでは夏などのバカンスシーズンは皆が交代で2~3週間の休暇を取ります。
この長い休みにかなりカルチャーショックを受けた私は「2週間って長くない?」と同僚に尋ねたことがありました。
すると「2週間くらい休まないと心も身体もリフレッシュ出来ないだろう、1週間だと身体は休められるけど、少し短いんだよね。1週間過ぎたくらいから仕事のことも忘れて心がリフレッシュして来るんだ。」と話してくれました。
どれくらい休めば身体や心がリフレッシュできるのか、彼に言われるまで考えたこともありませんでした。
ドイツはただ有給休暇の長い国ではありません。ドイツ人が自分たちの心も身体も大事にしているのです。
転職したばかりのころ、頼まれた仕事はすぐに終わらせる、呼ばれたら急いで行く、という風に新入社員さながらで仕事をしていました。
すると、ドイツ人に口々に「Kein Stress」と言われました。直訳では「ストレスなくやってね」、つまり「急がなくていいよ」という意味です。
私はそれがストレスだと感じていませんでしたが、そう言われてはっとしました。
日本で常に何かに追われる状態は確かにストレスでした。急いでやらなくてはいけないと自分に勝手にストレスをかけていたのです。心も身体も大事にしていなかったのは自分自身でした。
ドイツ人は日頃からストレスになることは極力避けるし、続けて何か月も仕事をすると身体も心も疲弊するから、2週間ほど休みをとってリラックスする。それが心も身体も健康に働く為に必要なことでした。
私がドイツ人から学ぶことはまだまだありそうです。また次回もお楽しみに!
Written by 加藤玲(ドイツ)