息子がまだ小さな頃、機関車トーマスの主題歌の中で、”Accidens happen”というフレーズをよく聴いていましたが、アクシデントはいつ誰に起こるか分からないものです。
先日息子がサッカーのトレーニング中に頭を強打し、帰宅してから戻し始めたので、救急病院に連れて行くという出来事がありました。
オランダでの生活は6年目になりますが、初めての経験だったのでやはり戸惑うこともありました。
事故は誰の身にも決して起こって欲しくはありませんが、万が一の時のためにオランダで救急病院を利用する際の手順や制度についてまとめておきたいと思います。
オランダ以外にお住まいの方にとっては少し制度が違うかもしれませんが、共通する部分もあるかと思いますので、最後までお付き合いいただけたら幸いです。
オランダの医療制度は大前提として、まず最初にかかりつけ医(huisarts、ハウスアーツ)に診てもらう仕組みとなっています。かかりつけ医が必要に応じて、専門医や医療機関を紹介します。
緊急に医療処置が必要な場合は、緊急サービス「112」に電話をします。警察、消防、救急車すべて共通になっており、公衆電話からの緊急電話は無料。
救急車による搬送を含む、全ての救急治療は有料で全額請求されます。救急車を呼ぶのは、命に関わるような余程の事態とされています。
通常はまずかかりつけ医に電話しますが、夜間や診療時間外は電話がつながらないことがあります。
その際は「EHBO(エイハーベーオー、Eersterhulp Bij Ongelukken)」もしくは「Spoedeisende hulp(SEH)」と呼ばれる救急外来を利用することになります。
今回息子を連れて行ったのも、自宅近くにある大きな病院のSpoedeisende hulpです。こちらを利用するのにも予約を取る必要があります。
具体的な手順としては、まず「Huisartsenpost(ハウスアーセンポスト)」という当番医センターに電話をします。各自治体の大きな病院に設置されていることが多いです。
救急外来へすぐに連れて行くべきか、かかりつけ医が開く翌朝まで自宅で様子を見ていても大丈夫か、自分では判断が難しいケースもあると思います。そういう場合もこちらで相談することができます。
息子が帰宅してからすでに3時間くらい、顔色は少し悪いものの、落ち着いた様子で横になっていたので、朝まで様子を見るつもりでした。
でも「めまいがして気持ち悪い」と言ったかと思うと、急に戻し始めた息子。とても苦しそうです。
私はハウスアーセンポストに電話を掛けることにしました。電話はまず自動音声につながり、順番にオペレーターにつながるようになっていました。
「命に関わる緊急事態の場合は、1を押してください」とアナウンスがあるので、そういう事態の際は迷わず押しましょう。もしくは救急の112に。
今回は何も押さずにそのまま待ちました。つながるまでに7,8分かかったでしょうか。ようやくつながると、優しい女性の声で少し落ち着きました。
オランダの公用語はオランダ語ですが、英語でも大丈夫でした。オランダでは9割の人が英語を話すと言われています。
息子の状況を説明すると、「これは病院に来た方がいいわね」と言われました。そして、名前、生年月日、住所、コロナの症状がないか、どのくらいで病院に到着できそうか聞かれました。
私は病院の場所を知らなかったので、名前を聞いてすぐにグーグルマップで調べました。自宅から10分ほどの場所でした。
「15分くらいで着けそうです」と答えると、「ではすぐのアポイントメントを入れますね」と予約を入れてくれました。
私は意外に冷静で「病院の中のどの辺に救急外来はどこにあるか」「駐車場はどこにあるか」ということも確認していました。大きな病院なので、敷地内で迷うのは避けたかったのです。
「入り口から入って、すぐ左手です。大きな赤十字が見えるからそれを目印に。車もそこに停められます」とのこと。
これですぐに救急外来を見つけることができました。夜間に初めて訪れる場所。聞いていなかったら、見落としていたことでしょう。
早く病院に到着したい気持ちはやまやまですが、運転者はぐっと落ち着いて病院まで運転しましょう。グーグルマップに住所を入れると到着までの時間が表示されますが、どんなに急いでも到着時間はほとんど変わりません。
息子はちょっとの揺れにもめまいを感じる状況だったこともあり、普段よりかなりゆっくり運転しました。動転して事故を起こさないためでもありました。
無事に救急外来に到着すると、受付で名前を伝えると待合室で待つように言われました。
待合室には他にも2,3組、具合の悪そうな子供とお母さんが待っていました。息子も私の膝を枕に長椅子に横になり、順番を待ちます。
(次ページへつづく)
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