コロナのパンデミックをきっかけに、アメリカでfosterボランティアを始めた筆者。初めて受け入れたクロちゃんとの経緯は【前編】をお読みください。
一緒に過ごして2週間経つと、保護団体からクロちゃんのプロフィールを書いてほしいとお願いされました。そのプロフィールは団体のウェブサイトに写真と共に掲載され、里親を募る際に使われます。
プロフィールには性格やどんな家庭に向いているかなど、詳しく記入します。クロちゃんはとてもフレンドリーで躾も完璧で若く健康だったので、里親の応募が殺到しました。
その中から保護団体がクロちゃんに合いそうな家庭を選び、直接クロちゃんと会ってみてお互いの相性などを見ます。
最初に会った家族は、5歳の男の子と小型犬がいるファミリーでした。クロちゃんの遊び相手になりそうでいいかなと思ったのですが、そのファミリーの愛犬がクロちゃんを気に入らず、猛烈に威嚇したのでそのファミリーは残念ながら断念。
次に会ったファミリーは小学生の男の子と女の子がいる家庭でした。クロちゃんはこのファミリーに会った途端嬉しそうに飛びつき、子どもたちとじゃれ合い始めたのです。私はその様子を見て「この人たちになら安心してクロちゃんを任せられる」と思いました。
初めての保護犬で、我が子同然に世話をしてきたクロちゃんを送り出すのは本当に辛かったです。
でも、クロちゃんを一生大事にしてくれる人達を見つけることができたので、寂しかったけどひとつの命を繋ぐことがでいた充実感にも満ち溢れていました。そして私は「foster ボランティアを続けよう」と決めたのでした。
二番目の保護犬ブーちゃん
クロちゃんを見送った数週間後、また保護団体から預かってほしい保護犬がいると連絡が来ました。今度は何頭もの犬の写真が送られてきて、「この中で預かりたい気に入った子がいたら教えて」と言われました。
私はその中で、毛が伸び切って手入れが必要そうな子を選びました。私はトリマーなので私ならこの子のヘアカットをしてあげられると思い、迷わずその子を選びました。
その子にはBlastという仮名が付けられていたのでブーちゃんと呼んでいました。1歳の女の子。メキシコのゴミ屋敷で他の大勢の犬たちと放置されてたそうです。
我が家にやって来たブーちゃんは顔の毛はモジャモジャで体の毛は伸びすぎて縺れていました。私はすぐにヘアカットをしてあげました。
恐らくそれまでトリミングされたことはなかっただろうと思うのですが、ブーちゃんは驚くほどおとなしく上手にトリミングさせてくれました。
ブーちゃんもまた「保護犬のトリミングは難しい」という私の固定観念を覆した子でした。
ブーちゃんは少しナーバスな性格で初めは緊張してあまりご飯を食べなかったりしましたが、数日経つととてもフレンドリーで甘えん坊な子に変貌しました。
うっかり愛犬だけ可愛がったりすると、ヤキモチを焼いて愛犬を追いやってしまうほど甘えん坊な子でした。
愛犬とブーちゃん
そしてブーちゃんも無事に里親が決まりました。もう定年退職された老夫婦の元へ行くことになりました。
そのご夫婦は本当に優しそうでいい人達だというのが雰囲気や話し方から伝わってきて、ブーちゃんは初対面の人にはビビってあまりフレンドリーではないのですが、そんなブーちゃんの様子を見ても「この子がいいです」と言い切ってくれたのでした。
世話をしていたfosterに里親を選ぶ最終的な決定権があるのですが、このシステムは本当にいいシステムだと思いました。
我が子同然に世話していた子を引き渡すなら安心して任せられる人に託したいと願うのが普通です。ですから里親を選ぶ目もシビアになります。その心理状況を上手に使ったシステムだと思いました。
引き渡す時にはいつも、「この子に会うことはもう一生ないかも」と覚悟を決めるのですが、このご夫婦は、「もし私達が旅行や何かの事情でこの子を預けなければいけない時、あなたにお願いしたいと思っているのだけどお願いできる?この子を育ててくれたあなたなら安心して任せられると思って」と申し出てくれたのです。
私は自宅でトリマー兼ペットシッターもやっているのですが、そのご夫婦は私の家からはかなり遠方に住んでいる方達なのです。自宅近くでシッターを探した方が絶対に楽なのに、私を信用してそう言ってくれたのがすごく嬉しかったです。
そして、もう二度と会えないだろうと思っていたのにまたブーちゃんに会えるということが大きなプレゼントでした。
このご夫婦ともこれから末永くお付き合いしていくことになるかと思うと、これもブーちゃんが繋いでくれた素敵な御縁だなと思いました。
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