私の住んでいるサウジアラビア西部にあるジッダでは、寒い冬を感じられることはないのですが、11月あたりに雨が降ります。
そうです、砂漠の地が多いサウジアラビアでも雨は降りますよ。今年も11月半ばに大雨が降りました。
日本では「雨」と言えば、「天気が悪い」「天気が怪しい」などと表現しますが、雨が降る前や降っている時、皆さんどんな気分になりますか?
「曇っているから憂鬱」「雨が降って気分が上がらない、頭痛がする」「外に出たくない。ダルい」というように、ネガティブな気分になったりする方も多いのではないでしょうか?
私もその一人で、雨が降る前の曇りは頭痛がしたり、倦怠感を感じたりします。
そんな私ですが、サウジアラビアに来て、「雨で気分が変わる」という表現をする方に出会った事がありません。そう、サウジアラビア人は雨が大好きな人が多いのです。
さらに驚きな行動も、目の当たりにしました。サウジアラビアの人々は雨が降るとは喜び、空から降ってくる様子を見に、外に出るのです。
左上下:砂漠の中で車が止まっているのが見えますか?
今まで聞いた話によると、コルネッシュへ海の波を見に行ったり、そこでピクニックをする方がいるようです。
それでも十分に驚いていた私ですが、もっと驚くことを目撃しました。
ターイフからジェッダに帰る途中にちょうど雨が降って来たのですが、砂漠の真ん中で車を止めて、外に出ている人々がたくさんいたのです。
スマホを持ち写真や動画を撮っている女性がいたり、ピクニックをしている家族がいたり、泥だらけになりながら、バギーを乗り回す男性達などがいました。
それぞれ「雨」を、思う存分、楽しんでいる姿が見ていると、「わざわざ、雨に濡れに行く」という考えがなかった私には、その行動が不思議だったのと同時に、人々が嬉しそうで心がホッコリしました。
洪水の中、吸上車(バキュームカー)が道路で作業
では、なぜそんなに雨が喜ばれるのでしょうか?それには、3つの理由があるのではないかと思います。
1つ目は、雨がほとんど降らない国だから。砂漠の多いサウジアラビアでは、雨はめったに降りません。1年に数回しか降らない雨は、珍しいことなのです。
2つ目は、サウジアラビアでは、よくサンドストーム(砂嵐)が起きることがあったり、風が強い時も空気に砂が舞い散り、灰色に曇った空になります。空中にホコリや砂が舞うと、体にも良くないです。
そんな時に、嬉しいことは雨が降る事。雨が降れば、ほとんどの空中の砂・ホコリが雫によって消され、雨が上がると綺麗な空を見ることができます。
そして3つ目が、11月でも暑い日が続くジッダでは、雨が降った後、気温も下がります。雨のおかげで、ちょっとでも涼しくなる事が、嬉しい事なんですね。
だから、ここでの雨は恵みであり、嬉しいことなのでしょう。
私が来た当初は、雨の影響で洪水が起きる事がよくありました。私の来る前には、被害が大きかった時もあると聞きました。なので、サウジアラビア人全員が雨が大好きということではないことを知っておいてほしいです。
最近は道路側溝が増えてきたことと、雨が降ると、水を吸い取るトラックの吸上車がすぐに道路の水たまりで作業をし、洪水の被害が減ってきています。
Written byミッチェル真理(サウジアラビア)