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カオスを愛でる!?マカオの魅力が詰まっている路地裏街歩き

2026年1月26日
周さと子 (マカオ)

在住20年でも飽きない、世界一「密」な箱庭の歩き方

カジノのネオン? 豪華なリゾート?

いえいえ、マカオの魅力は路地裏にもたくさん詰まっていることをご存じでしょうか。

実はマカオは、2025年に旅行比較サイトSkyscanner(スカイスキャナー)で「アジアで最も歩きやすい都市」に選ばれました。

総面積、観光スポット数、観光スポット間の歩行時間、犯罪率、清潔さ、大気汚染レベルなどの基準に基づいて選出されています。

わずか30平方キロメートルほどの箱庭のような街。旅行雑誌などでは「世界遺産や美食スポット、異国情緒あふれる街並み」にフォーカスされがちですが、私がおすすめしたいのは路地裏です。

路地裏には、マカオのもう一つの側面である「人口密度世界一」という凄まじいエネルギーが押し込められています。

このカオスの中を歩くと、20年経った今でも「なんじゃこりゃ!」という新鮮なツッコミどころに突き当たるのです。

 

信号待ち、胃袋を掴む「魔の香気」

私の街歩きは、いつも五感が忙しくなります。例えば、仕事終わりの帰り道。

交差点で赤信号に引っかかると、通り沿いにある「DINO BURGER(ディノバーガー)」から漂う美味しそうな匂いが鼻をくすぐります。

ジューシーな肉が焦げる香ばしい煙。ひと嗅ぎすれば一気にお腹が空いてきて、ふらふらと店に吸い寄せられそうになります。

家で夕食を食べる私は、ぐっと我慢しなければなりません。

「そういえば、うなぎの匂いを嗅ぎながら白ご飯を食べる落語があったな。あれ、どんな話だったっけ」などと頭を強制的に働かせ、理性を保ちます。

実際、観光客はかなりの人数が店へと吸い込まれていきます。マカオの街歩きは、この「胃袋への誘惑」との戦いでもあります。

 

本格ストリートアート、マカオは街ごと「美術館」だった

マカオの街を面白くしているのは、高級ブランドショップではなく、日常のすぐ隣にある遊び心です。

最近はストリートアートが盛んですが、驚くのはその舞台。ホテルの外壁や街中の階段、街のゴミステーションにまで、おしゃれなイラストや模様が描かれています。

司打口というエリアは、ストリートアート作品が一堂に集まる場所で、そのレベルの高さが伺えます。

2024年12月に開催された「OUTLOUD国際ストリートアートフェスティバル」では、世界的に有名なグラフィティアーティストが集まり、壁画制作を行いました。日本のアーティストの作品もあります。

私がキョロキョロしながら散策していると、近辺に住んでいるであろう親切なおじちゃんが、「あそこにもアートあるよ!」と案内してくれたこともありました。

司打口エリア以外でも、新しいアート作品を見つけると嬉しくなり、思わず写真を撮るために立ち止まってしまいます。

 

マカオ的「斬新」と、大げさな冬の風物詩

人口密度世界一のこの街では、生活様式もまた独特でパワフルです。

例えば、古い雑居ビルの壁面。各部屋のポストが壁にランダムに、かつ整然と取り付けられています。

ビル既定のポストはないのかと、「なぜ」と考えずにはいられません。

そのバラバラな配置は、もはや現代アートのインスタレーション。テナントの自己主張と郵便配達員の苦労が想像できて、見るたびにクスッとしてしまいます。

そして、冬の時期にぜひ観察してほしいのが、マカオ市民の「完全武装」です。

年間平均気温23度の南国育ちの彼らにとって、気温が15度を下回った瞬間、ここは北国。

厚手のダウンはもちろん、ニット帽、耳当て、もこもこのスノーブーツという重装備です。

信号待ちで、そんな「スキー場スタイル」の隣に半袖の欧米人観光客が並んでいる。この温度差の激しすぎる光景こそ、マカオの冬の風物詩です。

 

高層ビルの隙間で見つける、優雅でシュールなマカオの横顔

そして何より、「思わず目を奪われてしまう景色」が路地裏にはあります。

人口密度世界一なだけあって、高層の住宅ビルと狭い道路が入り組んでいますが、その間から覗く景色の意外性に驚くことも少なくありません。

上記左の写真は、ネットで「ディストピア!?」と話題になった景色です。古びた住宅街からニョキっと見える金ピカのグランドリスボア。

その異質さは、まるでSF小説に出てきそうな雰囲気。この場所には、カメラを持った観光客が絶えず訪れます。

上記右の写真は、人も店も密集して騒がしいマーケットにて。入り口に立つ住宅ビルをふと見上げると、屋上に一面のブーゲンビリアがたわわに花を咲かせているのを発見。

その箇所だけがまるで南フランス。地上の喧騒と屋上の優雅さの違いに、思わず笑ってしまいます。

さらに、雨の日にはすぐに渋滞が発生する交差点。薄暗い中、テールランプが赤く光る車の列が信号になだれ込む様子は、まるで「風の谷のナウシカ」に登場する王蟲の群れのようです。

そんな、「カオスと情緒」が背中合わせで共存しているのがマカオの日常。

20年経ってもなお、角を曲がるたびに新しい驚きが私を待っています。

豪華なカジノもいいけれど、ぜひ一度、地図をポケットにしまって路地裏に迷い込んでみてください。

そこには、ガイドブックには決して載らない、けれど最高に人間味あふれるマカオの素顔が転がっているはずですよ。

Written by 周さと子(マカオ)

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