「日本の常識は世界の非常識」という言葉がありますよね。
日本では当たり前のことが、世界では全く通用しない、もしくは日本独自のみの文化、慣習であるということ。
例えば、時間の正確さ。日本ほど予定の立てやすい国はないですよね。交通機関しかり、郵便しかり、修理業者しかり。基本時間通りで進みます。海外では、指定された時間を期待してはいけないですよね。
例えば、レディーファースト。エレベーターで女子社員が扉を抑え、男性の上司や上役を優先させる姿は、欧米諸国では驚かれますし、未だ男尊女卑のイメージを与えるでしょう。
例えば、夫婦が同姓であること。結婚する夫婦は配偶者のどちらかの姓に統一しないといけないという法律が日本にはあります。
最近、夫婦別姓を取り入れてもいいのではと日本で関心が高まっています。
愛着のある姓を変更することに違和感を感じたり、それまで培ってきた自己姓でのキャリアをどうするかといった問題に直面する方も多いようです。
時代の変化とともに変わってよい法律ではないかと個人的に思いますが、今年3月に東京で行われた、夫婦別姓の国に対する訴訟は棄却されましたね。
原告が主張していましたが、外国人との結婚や離婚時には姓を選択できるのに、結婚時には別姓の選択の余地がない点はたしかに不思議だなと感じます。
世界のほとんどの国は、結婚時にどちらの姓を取るか選択できます。
自己の姓のまま変更しなくても良いですし、配偶者姓を選択してもよし。なんなら両姓合わせることも可能なところもあります。
私の住むマカオでは結婚時に「自己の姓」か「夫の姓+自己の姓」かを選ぶことができます。ほとんどの女性は、自己の姓を継続しているように思います。
大規模デモが収束の気配をみせない今話題の香港の行政長官であるキャリー・ラムさんの中国名は、林鄭月娥さん。
夫の姓「林」+自己の姓「鄭」の両姓を選んでいますね。マカオ、香港を含む中国では、姓名が漢字3文字(姓一文字+名二文字)である場合が多いので、4文字は目立ちます。
私はビジネスネームで夫の姓の「周」さと子を名乗っていますが、本名は結婚後も自己姓を選択していますので、公的機関には岩下智子で全て登記されています。(周さと子は本名より画数がよかったのです)
結婚後も姓名が変わらないことで何か困ったことがあるかと聞かれれば、「全くない」が答えです。むしろマカオ、日本のどの機関においても姓名の変更手続が全く必要ないので、どちらかというと楽ですよね。
夫婦が別姓であるなら子供はどうなるのといえば、両親のどちらかの姓を選択します。マカオ、香港、中国では父親姓を選択するほうが圧倒的に多いようです。
うちの子供達もそうです。ですのでマカオにおいては私と子供達とは姓が異なります。
ここでも、困ることはないですね。
機会は多くないですが、親子関係を証明する必要がある場合(政府機関や病院など)は「出生証明」の提出が必要なときがあります。それ以外では子供達は一個人として扱われていると感じます。
それは、個々に発行されている身分証(IDカード)の存在が大きいのかもしれません。
社会と関わる際に身分を示すものとして必ずIDカードを提示するので、個別に識別されていると感じます。そこに「家族であること」を追加情報として相手に伝える必要性をあまり感じないため、困ることがないのかもしれません。
というわけで夫婦別姓で困ったことは実際ほとんどないのですが、一度だけ、日本で戸惑うことがありました。
親族の葬儀に出す花輪の名前を書く際「周智子」と夫姓にしたほうが良いと家族から指摘があったのです。他の既婚親族女子と同様にした方が私の現状(既婚状況)が周囲にわかりやすいという理由からでした。
普段は自己姓の岩下智子であるので、少し違和感を感じましたが、郷に入らば郷に従え。
日本では個人単位より、家単位での表現が重視される社会的場面がまだまだ多いということなのでしょう。
そのように考えると「個人」単位に重点を置く、「家」単位に重点を置くで、夫婦別姓か同姓かがわかれるような気がします。
それは、それぞれの単位を尊重しているといえると思いますが、やはり時代としては「個人」への比重が大きくなっているといえるのではないでしょうか。
「家」の比重を減らす=夫婦同姓をやめると、「家」に対するプレッシャーが減って、婚姻率が上がったりして?
少子高齢化の一途をたどる日本は、夫婦別姓を合憲化するのも一つの打開案かもしれませんね!と言ったら怒られるでしょうかね。怒らないでください。
夫婦別姓問題、あなたはどのように考えますか?
Written by 周さと子(マカオ)