私は今、中国映画『长津湖』の撮影ロケに参加しています。温暖な気候の広東省を離れ、北京のお隣の河北省张家口の外れの方まで来ています。
3月になる今もダウン、ブーツ、手袋にカイロが手放せず、ホテルの部屋からは白い帽子をかぶった雪山が見えます。
以前のコラム「滞在1年で突然に来たビックチャンス!中国で初めてのコマーシャル撮影!」をきっかけに足を踏み入れた中国の芸能の世界。
日本と全然違う!中国ならではの芸能界事情をご紹介します。
中国芸能と聞くと、近年で思い浮かぶのは絶世の美女と呼ばれる范冰冰(ファンビンビン)の脱税騒動。日本でも大きく報道されましたよね。
あんなに人気だったのに、中国のテレビや映画に一切顔を出さなくなりました。唯一彼女を見れるのは自身で発信しているSNS。私も彼女のアカウントをフォローしていて、惚れ惚れする綺麗さです。
またスクリーンで彼女の姿を見れる日が待ち遠しい・・・。なんて、中国はそんな甘い世界ではないようです。
日本の芸能界でも脱税し、ワイドショーに登場する芸能人もいますが、中国の芸能界では脱税の他に、アダルト行為、薬物使用、賭博行為は法に触れるためご法度です。
中国語では「禁止黄毒赌」と印し、黄=アダルト、毒=薬物、赌=賭博を指します。
もし一度でも法に触れる行為をすれば、ブラックリストに載り、どんなに人気で名が知れている大物芸能人であっても、一生涯中国の芸能界に戻ることはできません。
ジャッキー・チェーンの息子ジェイシー・チャンは薬物使用で逮捕された後、めっきり表に出てこなくなったと言われています。
また、スクリーンの中での肌の露出は制限がある為、ヌードは絶対NGです。日本で活躍する女優さんを中国で起用する場合は、アダルトビデオやヌード関連に参加していないか入念なチェックを行うそうです。
もし過去にアダルトビデオやヌード関連の作品実績があった場合は、中国での芸能活動は門前払いを喰らうことになります。
更に、その事を知らずに演者を起用後作品を放映してしまった場合、当本人のみならず制作会社、監督、マネージャー、、、と作品に関わった全ての関係者に問題責任が問われるそうです。
せっかくのいい作品が台無しにならないように細心の注意を払います。
私がびっくりした違いの一つに、全くの素人エキストラもお給料が発生することです。
日本では例えばド素人でお金をもらうなんて面目ない、映ったらラッキーぐらいな感覚だと思うのですが、中国ではどんなに小さな作品でも、短時間でも、スクリーンに映らなくても、撮影現場に参加したエキストラはきちんとお給料を受け取る資格があります。
日本ではエキストラ募集の広告欄に無料と書かれているのを見かけた事があったので、その事を現地の方に話すと、とてもびっくりしていました。
中国の映画やドラマには戦争を題材にしたカテゴリーが確立されています。スクリーンの中で死人役を演じた人には中国式お年玉の红包(ホンバオ)を配るそうです。
「中国の結婚式はお祭り騒ぎ!客家人のお友達の結婚式に参加」でも登場した红包のもつ意味は「祝福、激励、幸運」などの縁起の良いものとされています。
元々生きている人が死人役を演じる事はあまり良いことではない為、縁起が良いとされる红包を渡すことによって、お礼と幸運が訪れますようにという意味を表します。
中国の芸能の世界いかがでしたでしょうか?
私自身は今後、中国の作品に参加する事がとても楽しみです。今日も笑顔でニーハオ!
Written by MOKO(中国)