今回は、駐在妻生活からの本帰国後、再就職した私の話をしたいと思います。
自分のやりたいことが分からなかったり、ブランク明けの就職に漠然と不安を感じたりしている方の参考になればと思います。
夫のアルジェリア駐在に3年間同行した後、日本に本帰国した私が再就職したのは、「広告・営業」だった前職とは全く真逆である、「金融・バックオフィス」の仕事でした。
当初は「未経験で他業種に行けるのは、第二新卒まで」というイメージがあり、35歳・未経験で正社員として働くようになるとは思っていませんでした。
私は大学卒業後、広告業界で営業職をしていました。そして30歳の時に、夫の海外駐在同行のために退職。そこから約3年間、アルジェリアで駐在妻生活を送りました。
国や会社にもよりますが、多くの場合、ビザや安全上の理由等から、駐在妻は現地で働くことができません。
初めの数ヶ月こそは、慣れない専業主婦生活に戸惑いアイデンティティ・ロスに陥ったりもしましたが、もともと強いキャリア志向はなかったため、すぐに友人達と現地の生活を楽しむように…。
帰国後を見据えた勉強や活動などはほとんどせず、気楽な駐在妻生活を謳歌していました。
そんな生活も、本帰国が近づき終わりが見え始めた頃。手始めに転職サイトのリクナビNEXTに登録してみて、愕然としました。
「私、日本に帰ったら、何したいんだろう…?」
大学を出て大手企業でずっと働いてきたけど、冷静にみるとたいしたキャリアではない。経験のある「営業」や「広告」、今からまたしたいわけでもない。
そもそも私、そんなにバリバリ働きたいんだっけ?!上滑りしたような自分の経歴を見ながら、たいして「やれること」も「やりたいこと」もない自分に、途方に暮れました。
本帰国後しばらくの間は、失業保険をもらいながらタダで学校に通ったり、キャリアカウンセリングを受けたりしていました。
とはいえ明確にやりたいことは決まらず、とりあえず派遣社員として金融機関で働いてみることにしました。
広告と金融は正反対のような仕事ですが、「どうせブランクができたなら、全然違うことをしたい」「未経験でいきなり正社員は無理だから派遣で」と思った程度で、特にキャリアビジョンがあったわけではありません。
ただ振り返ってみると、ファーストステップとしての派遣社員は、選択肢の一つとしてよかったと感じます。
地中海をのぞむアルジェ市の街なみ
ファーストステップとして派遣社員をしてよかったと感じた理由としては、まず、ブランクがあったり未経験の業種・職種でも、わりと簡単に仕事に就けること。
例えばブランクがあったり、これまでとは全然違うことをしたい時、最初の一歩目から「正社員」にこだわらなければ、だいぶ可能性は広がると思います。
私は転職活動をするくらいの心持ちで派遣会社に登録したものの、拍子抜けするほどアッサリと仕事を紹介され、登録した1週間後には仕事が始まっていました。
私が就いた仕事は機関投資家向けの信託銀行で、投資信託や年金ファンドを組成する外国証券決済関連を扱うものでした。
直属の上司に恵まれたおかげで、毎日ただ決まった処理をするだけでなく、付随するさまざまな業務に関わらせてもらいました。
「派遣は安い給料でコキ使われるだけ」。そう捉える人もいると思いますが、私にとって未経験の業界で経験を積めたのは、ラッキーなことでした。
派遣社員として働いたのは1年間だけでしたが、やってみて思ったのは「必ずしも、正社員>派遣、ではない」ということ。
どんな仕事でも、次のステップにつながるなら意味はあると思いますし、意味を持たせられるかどうかは自分次第な気がします。
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