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法律で「副業を禁止することが禁止」されているベトナムの働き方・副業事情

2021年8月18日
平良弥生 (ベトナム)

ベトナムでは副業が当たり前

Xin chào! ベトナム・ホーチミン在住のYayoiです。

私の6月のコラムで、ベトナムに来てカルチャーショック受けた「オフィスでのお昼寝文化」について書きましたが、今回はもう一つ、仕事面でのカルチャーショックをご紹介したいと思います。

現在日本でも少しずつ市民権を得てきた「副業」ですが、ベトナムでは多くの人が当たり前に、本業以外で何かしらの副業をしています。

国の法律でも、「副業を禁止することを禁止する」と定められているほどです。

20代のベトナムの若者に至っては、約6割が何らかの副業をしているというリサーチもあります。

実際に私のベトナム人の友人や、同じ会社で働くベトナム人同僚達も何かしらの副業をしており、本業の業務の空き時間にメッセージ返信など、副業の対応をしている姿を見かけることもちらほらあります。

副業をすることは、ベトナム人だけではなく、こちらで働く外国人に対しても禁止ではありません。そのため私の日本人の友人や知人達の中にも、副業をしている方は結構います。

現地採用か自営業、駐在員等雇用形態も関係ないので、駐在員で副業をしている方もいます。なかには本業よりも副業で成果を出している方もいるようです。

 

どんな副業をしているの?

AさんのショップのサフランとBさんのショップのハチミツ

では実際にどのような副業をしているのか、私の友人達の例を紹介したいと思います。

まずは私と同じ会社で働くベトナム人Aさん。彼女は香辛料のサフランを健康食品として卸している会社とエージェント契約をし、自身のSNSを使ってサフランの販売をしています。

もう一人は、趣味を通じて仲良くなったベトナム人Bさん。彼女は現在ホーチミンにある日本の食品を扱う会社で働いていますが、出身はベトナムの田舎の方。

彼女の実家がコーヒー農家をしており、そこで作られたコーヒー豆や、コーヒーの花に寄ってくる蜂から採れたハチミツなどをSNSで宣伝、販売しています。

彼女は以前日本語を習っていたこともあり、日本語でのやりとりが可能なため、現地在住の日本人からもよく注文を受けています。

そして、私が毎月通っているネイルサロンの店長Cさん。彼女は駐在員として日本から派遣されていますが、本業のネイルの仕事を終えた後、週に何回かバーカウンターで働いています。私も時々そのバーへ顔を出します。

日中本業の仕事を終えた後や休日に、日本人が経営するバー等での接客の仕事は、日本人の副業に多いパターンです。

 

副業OKなことに対して思うこと

私は今のところ副業はしていません。しかし周囲を見ていて、私も自分にできることを何か始めたいと思い、探している最中です。自分にできることが複数あるということは良いことだと感じたからです。

これまで日本ではどちらかというと「仕事は本業の一つだけ」という場合が多く、会社員であれば会社との雇用契約上、副業禁止ということがほとんどだったかと思います。

日本ではスポーツや勉強、仕事でも何でも、一つのことを長く続けるのが良いとされがちで、「何かを極める」という点でそれはすごく良いことだと思います。しかし逆に言うと、一つのことしかできないのです。

昭和のような時代ならそれでも良かったと思います。しかし、現在のようにいつ何が起きるか分からないような世の中で、仕事は本業一本!という働き方はあまりにリスキーではないでしょうか。

終身雇用はもはや遠い昔の話で、会社が一生の面倒を見てくれるわけでもありません。さらには現在のコロナ禍のような状況に突然陥って、会社が営業できなくなって倒産し、職を失ってしまったら。

1つの仕事しか持っていなければ、それだけで全てが失われることになります。もし本業以外にも自分にできることがいくつかあれば、生きるためのリスクヘッジになると思うのです。

同じ会社内で部署異動をして業務に対しての視野が広がるのと同じように、副業を通して新たな人脈や知見等を得て視野が広がったり、これまでには無かった視点で本業に取り組めるようになったり、本業の仕事に良い影響を与えるかも知れません。

しかも仕事を複数持っている本人にとっては、収入が増えるという一番大きなメリットもあります。

日本でも働き方の一つとして、ベトナムのように副業をしていることがもっと普通になると、仕事に対しての価値観や仕事に取り組む姿勢等が変わり、何か面白い変化が起きるのではないかと思います。

Written by 平良弥生(ベトナム)

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