2021年6月、週末のビーニャ・デル・マールのビーチ
チリは世界でも有数のコロナワクチン接種率を誇る国です。2021年2月から大規模なワクチン接種が開始され、6月末現在、1回目までの接種者は国民の66%、2回目までの接種完了者も約55%に達しています。
しかし高いワクチン接種率にもかかわらず、3月と6月には首都サンティアゴ全域で完全ロックダウン。チリでは主に中国産ワクチンのシノバックが使用されており、その有効性には疑問も呈されています。
私も6月に、2回目のシノバックワクチン接種を完了しました。
今回はチリでのシノバック接種体験と、高接種率ながらもロックダウンが繰り返されるチリの現状について、お伝えしたいと思います。
チリでは年齢によって接種可能日が決められており、毎週政府から発表される接種スケジュールに基づき、自分の年齢が対象になった日以降で接種を受ける事ができます。
意外なことに、チリでもデジタル化は進んでいます。私のような外国人も含めチリ居住者は、基本個人情報・顔写真・指紋が登録されたIDカードを保有していて、そのIDナンバーで多くの情報が管理されています。
ワクチン接種においても、事前の接種券や予約票の配布はなく、IDカードの持参のみで接種が可能でした。
市内にはいくつか指定会場がありましたが、ロックダウン下でタクシー等の利用ができなかった為、家から歩いて行ける会場を選択しました。
1回目の接種を終えると、日付入りの次回接種カードが渡されます
行ってみたら小さな小屋があるだけで多少焦りましたが、係員にIDカードを渡して受付、名前が呼ばれたら小屋の中に入り、シノバック一択で注射を打たれて終わり…という非常にサッパリしたものでした。
事前の「問診票」や、ワクチン接種にあたっての「注意書き」配布などはなく、予想以上の簡易さにビックリしたものの、接種後30分間はアナフィラキシー反応を確認するため、IDカードと次回予約カードを渡してもらえなかったので、そういった点ではしっかり安全確認がされているようでした。
なおこれは、私の住む街の小さな会場での接種体験です。会場によって規模や対応は異なり、特に首都サンティアゴの大きな接種会場では、しっかりした受付やブースで、接種ワクチンを選択できるところもあると聞いています。
2回目のワクチン接種を終え、しっかりした「証明書」のような書類を渡されるのかと期待していたら、2回目接種予約カードの日付が記入されただけ。
少し拍子抜けしてしまいましたが、こういった情報も全てデータ管理されているので、専用のウェブ上でIDとパスワードを入力すると、そこで自分の接種記録を確認できたり、QRコード付の接種証明書をダウンロードできたりします。
私が一番気になっていたのは副反応でしたが、腕が数日間痛かった程度で、特段の反応はありませんでした。打ったその日は、少しだるくて頭が痛いような気もしましたが、なんといってもこちらの季節は「冬」。
小屋内でワクチンを打つ時以外はずっと寒空の下で待機させられ、終わる頃には体が冷え切っていたので、ワクチンによる頭痛なのか、冷えて体調が悪くなったのかは分かりません。
海外に住む欧米系ワクチンを打った日本人の友人から「1回目より2回目の方が、副反応が重い」と聞いていたので、相当に気を付けて向かったのですが、その日の夕方には打った事を忘れるほどに副反応を感じませんでした。
週末ロックダウン下のショッピングモール。多くの店はクローズし、あまり人が出歩いていません
チリは世界有数のワクチン高接種国で、3月には世界最速のワクチン接種ペースを記録しました。
早い段階でワクチン接種が進んだ国として、イスラエル、イギリス、アメリカなどがありますが、そういった国々ではワクチン接種開始後、急激に感染者が減少していきました。
一方チリでは、ワクチン接種が進むにもかかわらず感染者数は増加。世界最速の接種ペースを記録した同じ3月、首都サンティアゴは完全ロックダウンとなりました。その後一旦解除されたものの、6月にも再びロックダウン。
ワクチン接種が進んでいるのに、なぜ感染者は増えるのか?理由の一つとして、チリで主に使用されている中国産ワクチン、シノバックの有効性が挙げられています。
チリ厚生省は、チリでの実績から算出したシノバックとファイザーのワクチン有効性に関する報告を発表しています。
その報告によると、死亡に対する有効性は、ファイザー92%・シノバック86%とほぼ同レベルである一方、発症に対する有効性は、ファイザー90%・シノバック64%と、感染抑制の面ではシノバックの効果は大きくないようです。
こういったワクチン効果や対策などについては、本来専門家の領域であり、素人が簡単に語るべきことではないと思っています。
ただ、一住人として、「ワクチン接種が進んだことによって、元の生活に戻ってきたように感じられるか?」と問われると、あまり実感が湧かない、というのが正直なところです。
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