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世界は追随する?オーストラリアのソーシャルメディア制限法

2026年1月5日
野林薫 (オーストラリア)

オーストラリアが先駆け。世界初の「ソーシャルメディア制限法」がスタート

2025年12月10日、オーストラリアで世界初となる「ソーシャルメディア制限法」が施行されました。

この法律は、16歳未満の子供たちのソーシャルメディアへのアクセスを制限するもので、Facebook、Instagram、TikTok、X、YouTubeなどが対象となっています。

施行前から国内外で賛否の声がありましたが、現在では、ニュージーランド、イタリア、ギリシャ、フランス、そして、アジアの一部の国々でも導入の検討が始まっているようです。

今回は、オーストラリアが世界に先駆けて踏み出した、この新しい法律を紹介します。

 

ソーシャルメディア制限法制定に至った経緯

この法律制定の背景にあるのは、子供や若者のメンタルヘルスへの深刻な懸念です。

SNS上での過度な比較や評価によるストレス、Cyber Bullying(サイバーブリング)やネット犯罪に巻き込まれ、自ら命を絶ってしまうケースも報告されています。

こうした現実が、今回の法制定を後押しした大きな理由の一つと考えられます。

オーストラリア政府は、SNS問題を「個人の使い方の責任」と片付けるのではなく、社会全体で向き合うべき課題として位置付けています。

また、ソーシャルメディアを運営するMeta社をはじめとする各企業に対しても、対応計画や技術的措置の実行を求めており、Meta社は16歳未満のユーザーのアカウント削除やブロックを進める方針を示しました。

 

子供と親の反応

子供や親の反応はさまざまです。

「インスタなしで、どうやって友達とコミュニケーションを取るの?」とパニックになったり、政府に対して強い不満を示したりする子供たちもいれば、「受け入れるしか仕方ない。これを機会に、スマホを置いてスポーツに目を向けてみる」という前向きな声もあります。

親の反応もさまざまで、「政府の決断は横暴すぎる」という、人気インフルエンサーを子供に持つ母親の意見がある一方、この法律に賛成しつつも、SNSにアクセスできなくなった子供たちのメンタルヘルスを心配する声も上がっています。

中でも印象的なのは、SNS関連のトラブルによって自ら命を絶ってしまった子供たちの親の声です。

「子供たちの死を無駄にしてはいけない」と、子供をターゲットにしたCyber Bullyingやネット犯罪がもたらす悲惨な現実を訴え続けてきた親たちにとって、今回の法制定は、ようやく自分たちの声が政府に届いたと実感できる瞬間だったのではないでしょうか。

 

ソーシャルメディア制限法の展望

もちろん、この法律がすべてを解決するわけではありません。

それでも、SNSの闇で傷ついてきた子供たちや家族の現実に、より多くの人が意識を向けるきっかけになったのであれば、その一歩には大きな意味があると言えるでしょう。

子供たちだけの問題にせず、SNSの安全性をつくる側にいる大人たちが、今こそ真剣に向き合う時が来ているのではないでしょうか。

子供たちが安心して成長できるデジタル社会を一緒に育てていく。この法律は、そのためのスタートラインなのだと思います。

Written by 野林薫(オーストラリア)

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