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マレーシアで必ず流行る店の共通点とは?現地で見えた成功の法則

2026年1月12日
土屋芳子 (マレーシア)

行列ができるベーカリーカフェ

マレーシア、クアラルンプールからこんにちは。土屋芳子です。

2026年、あけましておめでとうございます。世界ウーマンのコラムを書くのも9年目になりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、食のPRに関する仕事柄、新規オープン店はなるべく早い段階でチェックするようにしています。新年早々に伺ったお店に衝撃を受けたので、今回はそれについて書きたいと思います。

2025年12月20日のオープン直後から、行列ができているベーカリーカフェがあります。

場所は、クアラルンプールの中心地ブキビンタンにあるショッピングモール「パビリオン」横のアーケード。観光客の誰もが訪れる、人通りが多く注目度の高い立地です。

話題となっているのは、上海発祥のベーカリーカフェ「Hot Crush」。

ただし、ここには私たちが思い浮かべるような、いわゆる「ベーカリーらしさ」はほとんどありません。

・ヒップホップ調の名前とロゴ。
・それとは対照的に、ロマンチックで柔らかな内装。
・モデルを起用したPRビジュアル。

どこを切り取っても、従来のパン屋のイメージとは大きく異なります。

しかし、この「パン屋らしくなさ」こそがマレーシア、そして東南アジアで「流行る店」に共通する大きな特徴だと、改めて感じさせられました。

 

「買う前に撮りたくなる」ことが、すでに成功を決めている

Hot Crushは、トレンドの捉え方が非常に明確です。

パンはクロワッサンやデニッシュ系、柔らかいパンが多く、どれもサイズが大きく、見た目のインパクトがあります。フィリングは惜しみなくたっぷりです。

ここでしか見かけない形や色合いのパンやデザートが多く並び、インスタ映えするドリンクも充実しています。

店はコンパクトですが、イートインスペースもあり、店内は常にお客でいっぱいです。

価格設定も絶妙です。最近の美味しいパン屋と同様の価格帯で、高すぎず、安すぎません。

「少し試してみよう」と思える価格帯は、新規店にとって非常に重要な要素です。

技術や伝統を前面に出すのではなく、「感覚的においしい」とすぐに伝わることを重視している点が、最大の特徴だと感じました。

パン好きというよりも、スイーツやカフェを楽しむ層に向けた、非常に分かりやすい設計です。

 

ひと口目で「分かりやすくおいしい」

正直なところ、あまり期待せずに3点ほど購入しました。「こういうお店は見た目重視に違いない」と思ったからです。

購入したのは、1番人気のビーフウェリントンRM29(約¥1,120)、フレンチビーフフィレタルトRM14(約¥540)、チョコレートとコーンフレークをかけたプレッツェルRM9(約¥348)の3点です。

ところが、ひと口食べた瞬間に印象が変わりました。これは分かりやすくおいしい!

プレッツェルのチョコレートはたっぷりで、しっかり美味しい。ビーフのフィリングも存在感があります。中でも印象に残ったのが、ビーフウェリントンでした。

価格から「合成肉やスパムを使っているのでは」と思いましたが、実際には牛フィレ肉を使用しており、味の構成も丁寧です。

この価格でこの内容であれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。

見た目だけで終わらせず、味でも納得させる。ここが、「一時的な話題で終わる店と定着していく店の分かれ目」だと感じました。

 

東南アジアの流行は中国から始まることが多い

ここ数年、マレーシアや東南アジアの食のトレンドを見ていると、中国から始まった流行が広がっているケースが非常に多いことに気づきます。

実際、この5年で中国からマレーシアに進出したレストランは、約2万軒とも言われています。

彼らの強みは明確です。

①スピード感
②分かりやすさ
③計算されたマーケティング

この3点を、最初からセットで持ち込んでいるのです。

Hot Crushもまさにその典型例です。中国発祥らしい勢いを持ちながら、東南アジアの消費感覚に非常によく合っています。

 

日本ブランドが直面しやすい「初期の壁」

一方で、日本から進出するブランドを見ていると、日本的な強みである「細部へのこだわり・素材や技術への意識・ストーリー性」を前面に出すケースが多く見受けられます。

ただし、マレーシアでは、その繊細さや完成度が最初から十分に伝わらないことも少なくありません。

伝え不足というより、そこまでの精度を必要としている層がほとんどいないと言えるでしょう。

初期段階では、「見た目で直感的に分かること・ひと口でおいしいと感じられること・価格に納得感があること」といった、「即時性」の方が成功につながりやすいと感じます。

最初から完璧を目指してコストをかけすぎるよりも、まずは分かりやすく受け入れられる形でスタートする。

そして、クオリティを維持しながら、徐々にブラッシュアップしていく。

Hot Crushは、その戦略を非常に冷静に実行しているように見えました。

 

流行る店に共通するもの

オープン直後から人を集める店には、いくつかの共通点があります。

・世界観が一瞬で伝わる
・思わず写真を撮りたくなる
・ひと口目で「おいしい」と分かる
・価格に納得感がある
・難しい説明を必要としない

Hot Crushは、これらをすべて備えていました。

オープンから25日間はオープニング割引も行われており、最初の集客で注目を一度に集める戦略です。

フランチャイズ募集の動きも見受けられます。このスピード感も、今の時代らしさの一つでしょう。

マレーシア、そして東南アジアで「次に必ず流行る店」を見極めるヒントは、実はとてもシンプルなのかもしれません。

細かすぎる前に、まず分かりやすく。そして、勢いの中で磨き続けていくこと。Hot Crushは、そのことを教えてくれる象徴的な存在でした。

【Hot Crush】
Pavilion KL, Bukit Bintang(Level3)
@hotcrushmalaysia

※ マレーシアでの飲食店向けPR、SNSマーケティングを承っています。また、企業のマレーシア進出のための視察コーディネート、調査などもオーダーメイドで対応しています。お問い合わせはInstagramからお願いしますからお願いします。

Written by 土屋芳子(マレーシア)

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