
皆さんは「通訳」という職業についているのは、男性と女性どちらが多いと思いますか?
おそらく「女性」と答える方が多いと思います。
この業界で働いている私も、実際にお会いする通訳者の約8割が女性という肌感覚があります。
実際、国際会議通訳者協会が発表した2010年のデータでは、通訳者の76%が女性でした。
女性が多い要因の一つとして、「女性の方が言語に興味を持つ人が多く、さらに言語習得が男性よりも早い」ことが挙げられます。(参考文献:枝澤康代 2005 同志社女子大学「日本人大学生の外国語習得に見られる異文化受容と性差」)
言語を学ぶ人の母数が女性の方が多く、習得も早いため、それほど苦痛を感じずに楽しみながら学び続けられます。
その延長線上で、通訳の道を選ぶ女性が多いのではないかと推測します。

通訳は「言葉を訳す」だけではなく、相手の意図や感情をくみ取り、状況に応じて調整するスキルが求められます。
一般的に共感力や細やかな気配りに長けているとされる女性にとって、この能力は適性が高いとも言われています。
また、この仕事は正社員としての雇用があまり多くないため、フリーランスとして働くことが前提になります。
しかし、ポジティブに捉えると柔軟な働き方ができる、子育てをはじめとするライフステージに応じて働き方を調整できるのも、女性通訳者が多い理由の一つだと思います。
さらに、歴史的な背景もあります。同時通訳が広がった戦後の日本では、外資系企業や国際会議の場で秘書的役割を担う女性が通訳を兼任することが多くありました。
それが「女性の職業」として定着するきっかけになったと言われています。
男性は国際関係の「表舞台」とされる営業・交渉・マネジメントを担当し、「補助的役割」としての通訳は女性が担うようになっていったようです。

しかし、時代は変化しています。最近では国際会議やビジネス通訳の現場でも男性通訳者が増加傾向にあります。
特に専門性が求められる分野では、専門知識が重視されるため、もともとその分野で働いていた男性が通訳業に転身するケースもあります。
今や、男性も大いに活躍できる業界となっています。
性別に関係なく、通訳者一人一人がこの業界を盛り上げ、質の高いサービスを提供できたらいいなと思っています。
以前のような「補助的役割」から脱却し、「表舞台」のポジションとして脚光を浴びる日が来ることを、密かに期待しながら、これからも地道に通訳の仕事を頑張りたいと思います。
Written by ファンフェーン庸子 (カナダ)