
年明けのニュースで見た方もいるかもしれませんが、2026年1月初旬オランダは記録的大雪に見舞われました。
飛行機や鉄道、バスなど多くの乗り物が欠航となり、多くの人に影響を与えましたが、私も思いっきり巻き込まれてしまいました。
クリスマス休暇を取ってアメリカに行っていた私は、1月4日に出発先のアトランタで飛行機を待っている間、オランダにいる家族から「雪が結構降っているから飛行機キャンセルにならないといいね」と言われました。
たしかに出発が3時間ほど遅れていましたが、理由は「到着機材の遅延」で気候とは関係なさそうでした。
カウンターには乗換便の振り替えのためにたくさんの人が並んでいましたが、アムステルダムが最終目的地の私は特に呼ばれることもなく、ひたすら搭乗を待っていました。
結局飛行機は3時間以上遅れましたが、無事に出発し、日付けも変わってすでに夜中だったのですぐに眠りにつき、目覚めて食事をとって、映画を観て、ごくごく快適なフライト。
KLM(オランダ航空)便でしたが、「オランダは風の強い国なのでパイロットの腕が良い」と聞いていた通り、着陸もとてもスムーズでした。でも、「あれ?」となったのはここからです。

飛行機を降りて、イミグレーションの列に並び、自分の番が来た時です。
入国審査が終わってパスポートを受け取ろうとした時、「どこに住んでるの?」「どうやって帰るの?」と聞かれました。普段あまり聞かれないことです。
私は「ロッテルダムまで鉄道で帰ります」と答えました。Googleマップで鉄道の時間も確認していたので、間に合うように急ぐつもりでした。
すると、「今日はたくさんの鉄道がキャンセルになってるのよ。無事に家まで着けるといいわね。Good luck!」と言われたのです。
イミグレーションを出ると、すぐに9292というアプリを開きました。9292はオランダの公共交通の経路を調べるアプリで、公共交通においてはGoogleマップよりはるかに正確です。
ここで、スキポールとロッテルダム間の直通鉄道はすべてキャンセルになっていることが分かりました。
この時まだ事の深刻さが分かっていなかった私は、9292で出てきたバスでライデンまで行ってそこからロッテルダム行きに乗ればいいと思っていました。
そして、バス乗り場へ。たくさんの人が待っています。かなり雪が降っていて、バスを待っている間にコートに雪が積もってきます。
しばらく待っていたらバスは来たのですが、バスは座席に座れる人しか乗せず、大量の待っている人を残して行ってしまいました。次のバスは30分後。他のルートを考えた方がよさそうです。

実はこの日は息子の18歳の誕生日だったので、レストランでお祝いすることになっていました。
最初は家に帰って準備して一緒に出かける予定だったのに、飛行機の遅延と鉄道のキャンセルでレストランに直行することになりました。
息子と連絡を取り合いながら、Uberでライデンに向かう作戦に切り替えました。途中白タクの人たちがいて、「デン・ハーグまで200ユーロ」などと言っていました。めちゃくちゃ高いです。
正規のタクシーの列も大行列で、かなり待つことになりそう。Uberで車を探すも、なかなか捕まりません。
30分経ち、1時間経ち、体も冷えてきました。「今日中に着けなかったらどうしよう」という思いがよぎり始めましたが、ここで諦める訳にはいきません。
ふと横にいたおじさんが「ライデン」と言っているのを聞いて、話しかけてみました。
ロンドンから親戚と年末年始を過ごすために14歳の息子と二人でオランダに来たとのこと。飛行機がキャンセルになったので、その日はライデンの親戚の家に泊めてもらうことにしたそうです。
私は協力を持ちかけました。「どちらかがライデン行きの車を捕まえたら一緒に乗りませんか?」と。おじさんは即OK。しかもロンドンでUberのドライバーをしているとのこと。強力な助っ人です。
それから彼も私も何度もトライしていましたが、配車の支払いまで進んではキャンセルされることを繰り返し、なかなか車は捕まりません。
1時間くらい経った頃でしょうか、おじさんが「ゲットした!」と言いました。「あと20分くらいで到着する」と。
Uber乗り場は白タク天国となっており、「アムステルダムまで乗合いで一人80ユーロ」など、あり得ない料金をふっかけるドライバーも。私たちもうこのドライバーに賭けるしかありませんでした。

おじさんは車の現在地をずっとチェックしていました。私も時々「近づいてる?」と聞きながら、到着を待ち侘びていました。
しばらくして、おじさんは「もうすぐ来る!」と言って車道に出て、車を探していましたが、なんとドライバーがレーンを間違えたらしく、またぐるっと回って戻ってこなくてはいけないとのことでした。
「ドライバーの気が変わってキャンセルされませんように!」と祈るばかり。寒さも限界に近くなってきていました。
さらに待つこと10分ほど。おじさんが「来た!」と叫びました。そのドライバーは道を間違えながらも、正規の料金でやってきてくれたのです。時刻はすでに午後6時を回っていました。
その頃には十分に事態の深刻さを理解していた私は、「ライデンでおじさんたちを降ろした後、ロッテルダムまで向かってもらおう」と思っていました。車に乗ってすぐドライバーに聞くと、快諾でした。
この日は雪が多くて高速道路も徐行になる箇所があり、不安な気持ちになる時もありましたが、シリアからの移民というドライバーとビザや仕事の話をして気分を盛り上げました。
そして、普段より少し時間がかかってロッテルダムに到着しました。レストランの前で降ろしてもらい、ようやく息子に再会!笑顔でハグしてくれました。
本来であれば、昼頃アムステルダムに着いて余裕のスケジュールだったのに、夜8時頃の到着になってしまいました。
大幅に遅れてしまって、予定とはまったく違う展開になってしまいましたが、なんとか成人の誕生日当日におめでとうを伝えることができました。

左:ガーデンテーブルの上の積雪は20cm!
さて、食事を終えて、トラムは走っていたので無事に帰宅することができました。翌日から仕事です。
オフィスに出社する予定だったので、雪の影響が心配でしたが、オランダではそれほど降り続くことはないので大丈夫だろうと思っていました。
そして、翌日。車の雪を落とす時間が必要なので普段より早起きしましたが、見事な銀世界!昨日よりさらに降っているではありませんか。
でも、どうしてもオフィスに行きたかったので、家族に手伝ってもらって、車の雪と氷をなんとか取りました。
一旦車をきれいにして、身支度を整えて、30分程で車に戻ると、また車が真っ白…。この時点でスノータイヤでない車での運転は無理だと諦めました。
うちの前の細い通りも真っ白に雪が積もっており、駐車場から車が出せる気がしませんでした。
オフィスに電話をかけて、在宅ワークすることに。翌日は少しは落ち着くかと思いきや、さらなる雪が。その日も出社できませんでした。
ただ、ウォーターバスは運行しており、出社していた同僚はいました!普段は自転車で5分のところを歩きで、心が折れそうになりながらもなんとかオフィスに到着できたそうです。
ようやく車が動かせるようになって、出社できたのが1月8日木曜日。道の状態はだいぶ良くなっていたものの、道の端にはたくさんの雪が残っていました。もう雪こわい!

オランダに住むようになって10年が経ちましたが、これほどたくさんの雪が降ったのは初めてでした。
KLMは数千もの便をキャンセルにし、「日本に帰れなくて困っている」と知り合いの知り合いも巻き込まれて連絡をもらいましたが、どうすることもできず。
彼は結局2、3日後の便で無事に日本に帰ることができました。休み明けであんなにオフィスに行きたかった私も、リモートワークで特に支障がありませんでした。自然には逆らいようがないですね。
Written by 藤村ローズ(オランダ)