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前回のコラムでは、シンタクラースについての概要をお伝えしてきました。
今回は、私が初めて見た時に衝撃を受けた「ズワルトピート(Zwarte Piet(複数形はPieten))」をご紹介したいと思います。
シンタクラースには「ズワルトピート」と呼ばれる侍従が付いてきます。オランダ語の意味は「黒いピート」。
何が黒いのかというと、顔。その名の通り、お顔が真っ黒なのです。
なぜ顔が真っ黒なのかというと諸説あるようなのですが、伝統的にはズワルトピートはスペインから来たムーア人だからとのこと。
ムーア人とは、北アフリカに住むアラビア語を話すイスラム教徒。ムーア人は711年にジブラルタル海峡を渡って、イベリア半島を支配したそうです。また、煙突をくぐってススが付いたから顔が汚れて黒くなったという説もあります。
近年では人種差別が考慮され、こちらの説明の方が好まれるようです。
顔のペイントも真っ黒だったり、汚れた風にちょっとだけ塗ったりとバリエーションがあります。
またピートの服装はとても派手です。一言で言うならば、ピエロ風。
16世紀の貴族の衣装がモチーフになっているらしいのですが、色の組み合わせと生地の素材といい、派手さにおいてはピエロに勝るとも劣りません。
真っ黒な顔にど派手なピエロ風の姿を初めて見た時に驚きといったら!
ズワルトピートは良い子に与えるお菓子の入った袋と、悪い子を叩くための白樺の棒と煙突ブラシを持っています。
シンタクラースは「シンタクラースの書」という大きな赤い本を持っているのですが、これにはそれぞれの子供が過去1年間良い子だったか悪い子だったかが記録されているそう。
ズワルトピートはいい子にはプレゼントをあげますが、悪い子は杖で叩いたり袋に詰めてスペインへ連れて帰ったりするとか。ちょっと怖いですよね…。
でもズワルトピートたちはとても愛嬌があり、お菓子をくれるので子どもたちの人気者です。
ズワルトピートがよく配っているのが、「ペイパーノートン(Pepernoten)」というこの時期ならではのお菓子。衛生ボーロを少し大きくした位の大きさのシナモン風味の焼き菓子です。
あと、アルファベットの形のチョコレート、ショコラデレター(Chocoladeletter)。AからZまであり、その子のイニシャルのものをあげます。こちらは家庭内や知人同士のプレゼントでしょうか。学校でもらってくることもあります。
オランダの子供達が1年で最も楽しみにしているシンタクラースの日。次回はオランダの家庭内でのユニークなシンタクラースの祝い方をご紹介したいと思います。
Written by 藤村ローズ(オランダ)