撮影:Kenichi Sanayasu
今回の世界ウーマンインタビューは、イタリア在住のオペラ歌手、藤井泰子さん。
泰子(Yasko)さんは、イタリアを拠点に数々のオペラの主役を演じていらっしゃいます。またイタリア国営放送局でのコンサートやドラマ出演、最高視聴率のクイズ番組にもレギュラー出演されている「イタリアで有名な日本人」なんです。
華々しい経歴の泰子さんを目の前にして少し緊張しましたが、実際にお話しを伺った第一印象は、とても気さくでチャーミングな方。
泰子さんの大活躍の裏には、いつもひたむきで実直な姿勢がありました。インタビューを進めるうちに泰子さんから感じる「凛々しさ」を形作っている要素が見えてきましたよ!
事務局:泰子さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。泰子さんのオペラ人生は子供の頃から始まったそうですね。
泰子:はい、8歳の時に「カルメン」を聞いてビビビときたのが、オペラ歌手になる一番のきっかけです。普段から家ではクラシックが流れていたのですが、母の運転する車の中でカセットテープから流れてきた「カルメン」を聞いた途端、「なんだこれは!?」と。
ドラマティックな表現にグッと惹かれてしまって、そこからずっと聴き込んでいました。中学生の頃にはCDウォークマンを持ち歩いて、パバロッティなどのオペラを聴きあさっていましたね。
そのうちにイタリア語、ドイツ語で歌っているその人になりきって歌いたい、言葉そのものを理解したいと思い始めました。歌詞の和訳では満足できなくなってイタリア語の勉強を始めました。
泰子:今のようにYoutubeなんてないですから、テレビとラジオのNHKイタリア語講座でイタリア語を勉強しました。当時は講師にジローラモさんが出ていたんです。
今では仕事でジローラモさんにお会いする機会があり、「あなたが私の初めてのイタリア語の先生だったのよ」なんて話しています。高校生の頃は英語の授業中に隠れてイタリア語をやっていましたね。授業で習う単語をイタリア語に訳したりなんかして。
事務局:とても熱心に勉強されたんですね~。
泰子:好きなことをやっているので、勉強だとも思っていなかったんですよ。オペラを自分でも歌ってみたいと思っていましたし、「イタリア」を身に付けたいと思っていたんですよね。「イタリア」とつくものは映画、美術、書籍、料理などなんでも触れるようにしていました。できるものはすべて吸収しようと。
大学時代、日伊協会と朝日新聞社主催のイタリアスピーチコンテストでファイナルに残ったご褒美に、イタリアへ短期留学もさせてもらいました。それが私の初イタリアでした。
事務局:すごい!着実にイタリアを身に付けている!その後日本でイタリアオペラ振興会オペラ歌手育成部を終了されて、イタリア政府給費を得てボローニャ元王立音楽院へ留学されるんですよね。