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ファッションで表現「自分がどう在りたいか、そのために何をするのか?何を止めるのか?」

2022年10月12日
桜田香織 (イタリア)

ファッション・マインド・ボディは三位一体

前回のコラムではコロナの2年半を振り返って、スタイリスト政近準子さんの「ファッションとマインド」を学ぶ学校での気づきについて書きました。

今回はその政近メソッドを通して、気付きとなった出来事などを踏まえて書いてみたいと思います。

政近メソッドの基本はTPPOSM。よく知られているTPO(Time, Place, Occasion)に、PSM(Person, Social, Mind)が付け加えられたものです。

T:Time(時)
P:Place(場所)
P:Person(人)
O:Occasion(状況)
S:Social(社会性)
M:Mind(思考・意志)

これプラス、ファッション・マインド・ボディの3位一体です。

いきなり難しくなってしまいましたが、とても大切な概念なので頭の片隅に置いておいたら、いつか役に立つかもしれません。

 

自分のマインドだけに向き合ってはダメ

ベーシックコースの最初の授業での課題は「4月某日、クラスメイトとの初めての顔合わせで、千鳥ヶ淵で夜桜見物」でした。

そこであなたはどう装うでしょうか?普通なら「防寒」が真っ先に浮かびませんか?そのマインドで服を選んだら、先生の愛の鞭で叩かれます(笑)。

どう言う気持ちで夜桜を見に行くのか、まずは自分のマインドにとことん向きあることを求められます。

7年日本の桜を見ていない私、そして4年も帰国できていない私は、まず「桜との対話」が浮かびました。そしてその時には自分の存在の主張はいらない、背景に溶けて、黒子となってしまいたい。

そうすれば両手で桜を抱きしめられるからと思い、ほぼ全身真っ黒な装いを選びました。

薄いピンクのスカーフを巻こうかとも思いましたが、暗闇でフラッシュを使用して写真を撮る方も多いと考えたので、それは排除。

不本意に私が人様の画面の端に入ってしまった場合、薄い色はフラッシュのハレーションを起こして残念な結果になると考えたからです。これがTPPOSMのS、ソーシャルの部分であります。

ところがアドバンスコースに入ったら、「自分のマインドだけに向き合ってはダメだ」と。「みんな自己愛が強すぎる、装いはギフトなのだから、人と社会性をもっと重視しろ」と。あれ(笑)?

 

白いTシャツとデニムの課題

アドバンスコースの最初の授業の課題は、白いTシャツとデニムでした。行き先は決まっていて、白Tをどう装うかでした。実はこれは楽勝だと思っていたのですよ、なぜなら得意分野だったから。

現在私の兄は政近マスターのビジネスパートナーとなっていますが、同時に彼も学んでいてこの課題にも参加。そして彼も白Tは得意なのですが・・・。

これはほぼ全員撃沈でしたね。訪問先へのリスペクトが全く欠けていると。次の授業では「どう説明したら皆わかってくれるの?」と、泣きながら問いかける政近先生。背筋が伸びました。

兄妹でその後チャットで反省会をしたほどです、得意分野だと思って舐めていたよね、と。

とにかく常に「自分の存在がその場をワンランク上げることができるか?」「社会の為になっているか?」と問われます。はい、常に問いの学校です。

現在、マスターコースが始まりました。自分がどう在りたいか、そのために何をするのか、何を止めるのかと言う、非常にハードな授業です。

そしてこのコースは来年1月下旬まで続き、6ヶ月のコースの間で5回のZoomと自主的に課題を作ってFacebookのグループに投稿していかなくてはいけません。

課題の期限がない分、怠けようと思えば怠けられる。私のような基本的に怠け者としてはかなり気を引き締めなくてはいけないことなのです。

最終目的にたどり着くために、「今日自分は何をしたのか?」。そもそも6ヶ月後に「自分はどうありたいか」がわかっているのか?目標設定はどこなのか?

だから政近さんは、パーソナルスタイリストという職業にカウンセリングを持ち込んだわけです。

ただお客様に同行して、「この色が、このスタイルが似合うわよ」という選び方をしない。まずは徹底的にカウンセリングをして、顧客の内面を引き出した上でのスタイリングをなさいます。

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