MENU

イギリスが教えてくれた 小さなサプライズが子どもの才能とやる気を引き出す 「ひとつのケーキ」と「アート思考」 

2025年8月14日

アート思考は、誰もがすでに持っている

著者の子どもは、6歳で世界的な絵画コンクールで優秀賞を受賞したという驚きの経歴の持ち主。絵画教室に通ったこともなく、独学で自由に描いた作品が世界に認められました。

母親である著者は理系出身で、アート経験はゼロ。それでも子どもの感性を伸ばしてきた背景にあるのが、「アート思考」です。

普段のSNSでの率直な言葉と鋭い視点にも惹かれて、子育てにどうアート思考が活かされるのかを知りたくて、本書を手に取りました。

イギリスでの生活を通じて語られるのは、「子どもを小さな大人として尊重する」文化や、多様な芸術体験、自由な発想を促す教育環境の存在です。

そうした環境が、子どもの想像力や自発性をどう育むのかが丁寧に描かれていて、印象に残りました。

結果よりもプロセスを称え、結果が出る前に「よくがんばったね」と書かれているプレートをケーキにそえる。そんな日常の挑戦を祝う姿勢には、アート思考のエッセンスが詰まっていることが伝わってきます。

「子どもに本を読んでほしいなら、まずは親が本を楽しむ姿を見せること(引用)」

この言葉には非常に共感しました。映画や本など、まずは親が感性を開いて楽しむことで、自然と子どもの世界も豊かになっていく。そんな循環の大切さに改めて気づかされました。

また、本書の表紙イラストが著者の子どもが描いたものだということにも驚きました。

キリンのキャラクターには名前や性格があり、物語まであるそうです。自由な発想が形になったその絵には、既存の枠にとらわれない子どもならではの創造力が詰まっていました。

大人がその世界を否定せずに受け止めること、そして驚くこと。それが創造力や集中力を育てる土壌になるのだと感じました。

日常の中でも、小さなホールケーキを囲んで日常の挑戦を祝ったり、子どもの描いた絵を額装して壁に飾ったり。

そんなささやかな「称える工夫」が、アート思考の実践であり、子どもが自己表現を楽しめる空気を作っていくということに気づかされました。

 

ちょっと力を抜くことの大切さ

そしてもうひとつ。特に日本のお母さんは頑張りすぎている。そんな視点にもはっとさせられました。

海外での育児体験を通じて語られる「ちょっと力を抜くことの大切さ」は、きっと多くの方の心にも届くと思います。

本書を読みながら、「アート思考」は特別な才能や技術ではなく、誰もがもともと持っている感じる力なのだと改めて気づかされました。

わが家では、子どもが0歳の頃から海外旅行をしています。観光地を詰め込まず、贅沢にゆっくりと過ごす時間を大切にしています。

カフェやスーパーでランチを調達して公園でピクニックをしたり、過ごしやすい時間帯にのんびり散歩したり、地元のスーパーや薬局に立ち寄ったり。そんな日常に近い体験を、どの国でも楽しんでいます。

旅の中で、子どもが「このバスはお家の街にはないね」と気づいたり、「この食べ物はなに?」と尋ねてきたり。街の雰囲気や住んでいる場所との違いに、興味津々になる姿をよく見かけます。

そうした何気ない発見や問いかけに、大人がしっかり耳を傾けて共感し、一緒に楽しむこと。それが、子どもの感性を少しずつ育てていくのだと感じています。

先日、一緒にお絵かきをした時、子どもが選んだ洋服の色合いにふと、「あ、これは旅先でよく見かけたあの国の色だ」と思い当たることがありました。その記憶が自然と表現につながっていることに驚き、感心しました。

本書で語られる、プロセスを大切にすることや、自由な発想を否定せず受け止めることは、旅先でも日常でも、私が子どもと接する中で意識してきたことと重なります。

忙しい日々の中では見落としがちですが、少し立ち止まって目をこらせば、親も子も、ちゃんと見て、感じて、面白がる力を持っている。

そんな当たり前で大切なことを、改めて思い出させてくれる一冊でした。

この本は、「こうすればうまくいく」といった育児のマニュアルではありません。けれど、子どもとどう向き合い、自分自身の感性をどう開いていくかを優しく、確かに問いかけてくれます。

読後には、もっと自由で気楽に、子どもと一緒に楽しもうと思えるようになりました。

子どものためだけでなく、親自身もワクワクできる毎日を送りたい方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

Written by 藤田久美子(日本

 

この投稿をシェアする

イベント・セミナー一覧へ
コラム一覧へ
インタビュー一覧へ
ブックレビュー一覧へ
セカウマTV一覧へ
無料登録へ