みなさんは「運」を信じますか?
わたしはそれなりに信じる人です。お正月には縁起を担いで初詣に行くし、読んだ雑誌に星占いがあれば目を通すタイプの人間です。
では、運を信じるという方へ追加の質問です。運は平等だと思いますか?
わたしはこのことをずっと疑問に思っていました。これまでに、いつもラッキーに恵まれている人や、どう考えても運が悪いとしか思えない人たちに出会ってきたからです。
あなたの周りにもいませんか?自分の欲しいものを次々に手に入れている人や、逆に、いつも周りの人間関係に恵まれないと言って嘆いている人。
彼らを見ていると、運は何人にも平等に与えられるものではなく、偏りがあるように見えるのです。また、「運命」という言葉があるように、それは生まれ持った定めであり、自分の力ではコントロールできないものだとも思えます。
本当に神様って残酷だよね。そう思ってました。この本を読むまでは。
著者のリチャードワイズマン氏は、もともとはマジシャン。そこから発展して心理学などを学び、研究者として自らの研究をビジネスに応用するための講演も数多く行っています。
彼は、とある講演中に、お客さんのある発言から、運がいい人と悪い人が確実にいることに気がつきます。その後、運がいいとは一体どういうことなのか研究してみることにしたのです。
その研究の結果をまとめたのが本書です。自称運がいい人と自称運が悪い人をトータルで数百人もの規模で集め、彼らの体験談を聞いたり、実際に運に関する実験をしたりすることで、運がいい人と悪い人の行動や思考の差を明らかにしました。
この本によれば、運の良し悪しを決めるのは結局のところ、本人の思考とそれに付随する行動なのだそう。
運がいい人は「自分は運がいい」と思っているので、自分の将来に期待して行動できます。困難があっても粘り強くチャレンジできるし、不運をチャンスと捉えて幸運に変えることもできてしまうのです。
逆に「自分は運が悪い」と思っていると、少し自分が思ったようにならないだけで「やっぱり自分にはこんなこと、できるはずがなかったんだ・・・」と思い、すぐに諦めてしまいます。また、できないことを運のせいにして努力を怠るという、残念な行動をとってしまうのです。
つまり、運がいい人と悪い人では、同じ現象が起こっても捉え方が違っており、その後の行動も変わってしまうということなのです。
わたしが冒頭に述べた長年の謎「運は平等なのか?」に対する答えがここにありました。そう、運に偏りがあるのは神様のせいではなく、人間の思考と行動の結果だったのです。
この本を読めば、正体不明だった運の良し悪しが「なーんだ、そんなことか、考えてみれば当然だな」に変わります。ぜひ読んでみてください。
Written by げんだちょふ(日本)