英語を学んだり、使ってきて思うのは、「英語ってすごくポジティブ!」ということ。ネイティブの先生たちはとにかくよく褒めてくれますし、日常会話の中でも展開がとてもポジティブだと感じるのです。
授業の中でうまく質問に答えられたら、”Great!、”Exellent!”などとほめてくれるのはもちろんのこと、分からないことがあって質問しただけなのに、”Good question.”とポジティブな反応が返ってくることもしばしば。
実際それほど良い質問でなかったり、ネイティブから”Good question.”という反応が返ってきた時は回答に困っているという記述を読んだこともあるのですが、やっぱりポジティブな言葉が返ってくると、聞いた方も聞かれた方もすごく前向きな気持ちになれるのです。
著者の木村和美さんは夫の転勤をきっかけにUCLAの大学院へ進学、大変な苦労をしながらも、アメリカ流にほめられ、励まされながら卒業し、その後サンタモニカカレッジで日本語講師となりました。日本へ帰国後も東京外国語大学、慶應義塾大学などで大学で教鞭をとる英語や日本語教育のスペシャリスト。
その木村さんが指摘するのは、日本人の日本文化ゆえのほめ下手、ほめられ下手。謙遜しているだけつもりでも、外国人にはその感覚が理解できず、誤解を招きがちだと言います。
海外に住むようになって特に思うのですが、日本人独自の感覚により、外国人とのコミュニケーションが難しくしてしまっている自分や周りの人に気付きます。
これはとてももったいないことです。
言葉でほめたり、ポジティブなコメントをすると、会話もはずみ相手をより楽しませることができます。もちろん自分も言葉に詰まって気まずい思いをするより絶対に楽しいはずです。
日本人はまだ打ち解けないうちはあまり質問しすぎてはいけないとか、差し障りのない言葉を返そうとしますが、海外ではこれは逆効果。相手に失礼ですらあります。初対面の相手でも積極的に質問することで、相手に興味があることを表現することができます。
また、人はほめられるとより自信を持ちやすいという実感があります。
私は今オランダ語を習っているのですが、この先生がとにかく褒め上手。まず私がテキストを読んで、先生がもう一度読みながら訳を確認していくのですが、私の読むオランダ語は自分でもびっくりするくらい下手なんです。
一生懸命読んでいるつもりなのですが、そもそも読み方が分からない単語もたくさんあるし、読み方を知っていても発音が難しくてうまく読めません。
でもパラグラフを読み終える度に、先生は必ずほめてくれるんです。
”Good reading.”とか”You are improving.”といった具合に、毎回良かったところを見つけて色んな言葉でほめてくれます。
最初の本当に読めない時からそうです。最初は”No,no!”と大否定していた私でしたが、数ヶ月経つ頃から自分でも進歩が少し感じられるようになり、”Thank you.”と返せる余裕が出てきました。
しかも、またほめられることを期待して努力するというサイクルが生まれたのです。最初は週に1回のレッスンでもちょっと気が重かったのが、いつの間にか家でもオランダの番組を見たり、空いている時間にテキストに目を通している私がいました。
「頑張って」とは一切言われずに、頑張る力を得てしまったのです。ポジティブワードの力って本当にすごいと思いました。
本書は、大きく分けて2部構成となっています。
第1部は、日本人がほめることが苦手な理由を考え、英語でほめたり、はげますことにどのような効力があるのかを見ていきます。
第2部は実践編として、ほめるための5つの定番のパターンや基本のスキルを紹介し、シチュエーション別のたくさんの実例が挙げられています。
この本を読めば、海外でのコミュニケーションがより円滑にできるようになるはず。
日常会話の中でも仕事中でも使えるフレーズが満載で、さっそく実践してみたら、海外の人とのコミュニケーションがより良くなったように感じています。
Written by 藤村ローズ(オランダ)