イタリア・トリノにて
ある日、娘たちのバイオリンの先生から、「イタリアでコンペティションがあるけれど、参加してみない?」とのお誘いがありました。
娘たちは「イタリア?イタリアでパスタを食べたい!」と、いつもより練習しなくてはいけないのをすっかり忘れて、先生に「行きます!」としっかりお返事。
ベルギーから北イタリアは、東京から福岡くらいの距離。ヨーロッパでは国内旅行の感覚です。しかしコロナの規制は日々変わっているので、調べるのも容易ではありません。
さあさあ、これから、小さなドラマが始まります。そう、なんたって、パンデミックは終わっていないし、ニュースとは裏腹に、とってもリラックスしているヨーロッパですが、感染者は増える一方。
人口の60%は感染済みというベルギーで、この波には勝てず、我が家の子供達も続々とコロナに感染してしまいました。
現地まで行かなくても、オンラインで録画を提出すればオンライン上のコンペティション部門に参加できるので、録画の準備に入りました。上の娘は16歳なので、他の用事も重なり、元気になって録画に辿り着ければ十分とも言えます。
ただ、下の娘はというと、「イタリアでパスタ食べたい!」とコンペに出るのも満更でもない様子。母親としては子供が「行きたい!」というチャンスを逃すわけには行きません。
車で行けば大量の書類を用意しなくてもいいですし、「万が一、不調になっても車で帰れる距離」と言うことで、母は一人で片道1000キロメートルの距離のドライブを決意しました!
Houyet, Belgium By Thomas Somme
さあ、肝心の高速道路のドライブは、どんなものでしょうか?
ベルギーは小さな国ですが、オランダ、ドイツ、フランスに囲まれてどこにでも簡単にいける位置にあり、どこに行くにも、オプションはいっぱい。
ベルギーから北イタリアへは、大きく3つぐらいのルートがあります。フランスのシャンパンのエリア、レイム経由、フランス、パリ経由、ドイツスイス経由。
今回は距離的に一番スムーズなはずの、フランスシャンパンエリア経由を選びました。1泊するという選択もありましたが、あまり時間に余裕がなかったので、泊まらず一気にイタリアまで行く計画に。
念の為、途中の街の下調べだけはしておきました。今ならどこでもギリギリに宿泊の予約もできるので、疲れたり、無理が生じた場合には、オプションがあれば安心です。
さあ、いよいよ出発の日です。朝5時に出発しました。「ヨーロッパ一、渋滞がひどい」と言われているベルギーの朝の渋滞に巻き込まれたくないので、これは必須です。
朝早くて、前の日あまりよく寝れなかったため、途中で何回かパワーナップしながら、ひたすら走り続けました。車にピクニックバスケットを積んで、おにぎりやらサンドイッチを持参していました。
ピネロロにて、丘の上からの景色と街の様子
日本の高速のサービスエリアには、美味しそうな地方の食事や弁当などのお楽しみもありますが、ヨーロッパの高速の休憩場所ではあまり食事は期待できません。
それでも地方色が出るのが面白いです。フランスに入ると、本好きの国民性か、小さな本のコーナーが必ずあります。
高速道路にもそれぞれの地域の名所が大きな看板にわかりやすく記されているため、そのエリアが何で有名なのかが一目瞭然。
これは、オランダやベルギーでは見かけない光景。歴史、地方色を大切にする一面がよく出ています。
フランスのリヨンあたりまでは、見覚えのある景色。料金所のシステムも同じだし、見える景色、ガスステーションもよく見かける光景。しかし、イタリアに入ると雰囲気がガラッと変わりました。
急に山の狭間を運転しているような状態になり、難しくはないけれど、照明も一気に暗くなるし、残りどれくらいの距離なのかも、地図ではわかりますが、感覚として持ちづらくなりました。
料金所のシステムも違っていて、戸惑っていると、後ろの車の人が「カードをそちらに入れるんだよ」とジェスチャーで教えてくれました。「怒られなくてよかった」と安堵。
そうこうしているうちに、やっと目的地に到着。できた!母一人でも行けるもんねとまずは一安心。
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