一般的に知られている外国のライフスタイルというと、欧米のものがまだまだ日本では一般的ではないかと思います。
私も子供の頃、テレビで放送していたアメリカのドラマで、その中に出てくるキャラクターたちの「アメリカンな家」でのライフスタイルに憧れていました。
では、インドネシアのライフスタイルを皆さんは想像できますか?どんな家でどんな生活をしているのかなんとなくイメージできるでしょうか?
今回のコラムでは、「インドネシアの庶民の家と暮らし」がどんなものかをご紹介したいと思います。
私が初めてインドネシア人の家の中を見たのは、2002年公開のインドネシア映画、”Ada apa dengan Cinta?” という映画のシーンでした。
この映画は日本にも輸入され、「チンタに何が?ビューティフルデイズ」というタイトルが付いています。
当時まだアメリカで学生をしていた私はこの映画を観て、インドネシア人女子高生の暮らしを知り、強い憧れを覚えました。当時は私も気が付かなかったのですが、今では「すごくリアル!」と思うシーンがあります。
左:”Ada apa dengan CInta?”の一シーン、右:ベビー用抱き枕
この映画の中でも何度か登場する主人公チンタの部屋で、何か違和感を感じるところありますか?!(画質が良くなくてすみません!)
ベッドを見てください。よく見ると、キレイにシーツが敷かれたベッドに、置いてあるのは枕だけ・・・。インドネシアでは寝具と言えば、シーツと枕のみなんです。
その数年後、初めてインドネシアを訪問した時にインドネシア人の友人の自宅に泊めてもらったのですが、「ここがあなたの寝る部屋」と案内されたベッドにもやはり布団はなく、シーツが敷かれたベッドに枕が置いてあるだけでした。
そう、インドネシアは常夏の国なので、寝る時に布団をかけるという習慣がないのです!
最近ではエアコンを使用する家庭も多いので薄手のブランケットをかけて寝る人もいますが、それでも何もかけないで寝る人の方が多いです。
例に漏れず、我が家のインドネシア人夫も子供たちも、寝る時には何も掛けません。これがインドネシアなのです!
しかし掛け布団はなくても、インドネシアの一般家庭のベッドの上には必ずと言っていいほど、あるモノが置いてあります。
それは、抱き枕です!
寝具をセットで買うとその中身は一般的に、シーツ、枕カバー、抱き枕カバーです。これがスタンダードなんです。写真左側、映画の主人公チンタのベッドにも抱き枕が置いてありますね。
以前はホテルで働いていた私ですが、インドネシア人のVIPのお客様の中で、必ず抱き枕をリクエストする方もいたほどです。「これがなくては寝られない」という人も多いのではないかと思います。
そしてこの抱き枕、写真右側のように、赤ちゃん用も売られています。我が家の二人の子供たちも、赤ちゃん用抱き枕にお世話になりました
そしてもう一つ、我が家に日本から遊びに来た姪に驚かれたもの。
それは「水瓶」です。高級アパートや外国人用の住宅などでなければ、インドネシアの一般家庭ではお湯が出るシャワーはありません。この水瓶から桶で水をすくい、「水浴び」を朝晩します。
インドネシアでは、「マンディ」と呼ばれる習慣です。
赤ちゃんの間は鍋でお湯を沸かしてお風呂に入れますが、大体1歳くらいになると、水浴びに切り替わります。
そのため我が家の子供たちは、インドネシア国内旅行でホテルに宿泊した時や、日本一時帰国の際、お湯のシャワーがあっても熱いと嫌がり、水に近いぬるま湯、または水でシャワーをします。
子供たちは冬に日本に行ったことがないのが幸いですが、もし今後冬に日本滞在となった場合、シャワーはどうするのか・・・ちょっと心配です。
余談ですが、あのデヴィ夫人もインドネシアで暮らしはじめ、この水浴びが最初は冷たかったが、そのうち慣れて冷たい水の水浴びがフレッシュに感じるようになったと著書に書かれています。
ところ変われば暮らしの様式も変わるものですね。
Written by 杏子スパルディ(インドネシア)