あっというまに今年もクリスマス!イギリスのこの時期の喧騒は、日本の師走を感じさせるものがある。
みんながきっつきつのスケジュールで、必要なものを買い込み、プレゼント選びに奔走し、家を掃除して、御馳走を作って、家族親戚を迎える準備をする。
スーパーではクリスマスの帽子をかぶったレジ係がにこやかに買い物客と談笑し、町中にクリスマスのライトが煌めくこの時期、イギリスは本当に素敵なのです!!
残念ながら今年は規制が厳しく、通常通りのクリスマスを過ごすことは不可能との政府からのお達しがたった今出た。がーん!
これも今だけのこと、来年こそはワイワイと親戚達、友人達と過ごせる時間が来るはず!筆者はあくまでもポジティブなのである。
イギリスではクリスマスは25日に祝う。大抵は朝、家族のみで軽く乾杯してプレゼントを開けて、それから親戚の家でクリスマスディナーを楽しむべく、いそいそと出かけていく。または自分がホストとなり、親戚1,2家族を招く。
今回はこのクリスマスディナーとはどんなものか、ぜひ写真を交えて楽しんでいただきたい。が、もし将来自分がホストすることとなったら。。。覚悟のほうはいいでしょうか?
義姉の特製ローストターキー!
さて、イギリスのクリスマスといえばクリスマスディナー、クリスマスディナーといえば、もちろんターキー!
この時期、スーパーでは4,5人用の小ぶりなものから、13,4人用の巨大なものまで、このターキー様がごろんごろんと冷凍庫に転がっている。
これをクリスマスの数日前に解凍して、仕込んで、当日ホストを務める家族が朝5時すぎに起きて数時間かけてローストするのだ。
ターキーにはソーセージミートや玉ねぎ、ハーブの他、クリスマスらしくクランベリーや栗をいれた「スタッフィング(詰め物)」を詰める。これは家族それぞれのレシピがあり、失敗はならない。
クリスマスのメインとなるターキー様がめでたくオーブンに収まっても、「はあ、これでよし」と息がつけるわけではなく、まだまだ温野菜の準備がある。
ホストの勝負はこれから。実はこの温野菜がクリスマスディナーの「隠れた主役」と言ってもいい。
まずはローストポテト。一回軽く茹でて、粉吹き芋状にしてから”duck fat (アヒルの脂肪部分)”を使ってリッチにローストするポテトは、まさにイギリスのローストディナーにはかかせない存在。
外はカリカリ、中はしっとりのPerfect Roast Potatoを作るには高温度のオーブン、完璧なタイミング、そして度胸が必要とされる。これを習得するのに筆者は数年かかった!
他にローストする野菜としては人参や”パースネップ(parsnip)”。パースネップはなぜか日本では見かけない。人参に似た根菜で白人参とか、サトウニンジンとか言うらしい。
ほんのりと甘みがあって、人参と一緒にオリーブオイルや蜂蜜、マスタードシードをふりかけてオーブンでじっくり焼くと香ばしくて美味しい。
お皿に乗り切らないご馳走。もちろんおかわりします。
「ふう、さてこれで終わり?」と思いきや、まだまだ休めない。
オーブンでターキーや根菜をローストしている間、これまたクリスマスにかかせない”Brussels sprout (芽キャベツ)”や”Red Cabbage (赤キャベツ:先に酢などで仕込んでおく)”をさっと炒める。
“Pigs in blankets (小さなソーセージをベーコンや生ハムで巻いたおつまみ的サイドディッシュ)”も準備する。
そうこうしている間にターキーが焼き上がる。
そこでターキーの焼き汁を使ってグレイビーソースを作り、ブレッドソース(食パンと卵、クリーム、牛乳で作る)を温め、クランベリーソース(これは市販)などとともにサーブする準備を整える。
こうして数時間かけて作ったクリスマスディナーは、だいたい午後2時くらいに全員でいただく。この間、シャンペンやワインがフリーフロー状態。
イギリス人の旦那を持つ手前、かくゆう筆者も数回このようなクリスマスディナーをホストした経験がある。
着飾った親戚たちをシャンペンで優雅にもてなす(ふり)をしながら、オーブンと格闘するのは容易ではない。が、重要なのは家族親戚皆で楽しく過ごすことなので、それだけはできているかなと自負している。
(次ページへつづく)
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