アメリカでは毎年11月の第四木曜日にThanksgiving Day(感謝祭)のお祝いをしますが、2020年はCovid-19の影響で多くの家族が集うことができなかったのではないでしょうか?
例年でしたらThanksgiving Dayの前日の水曜日は、半日で仕事を切り上げて多くの人々が家族や親族、または友人たちと集います。
このThanksgivingにいただく特別なお料理で有名なのが、ターキー(七面鳥)の丸焼きです。
私は初めてアメリカに来て七面鳥の丸焼きを目の前にした時に「まるでクリスマスキャロルのお話のような料理だわ」と思いました。
皆さんは想像が付きますか?大きな七面鳥の丸焼きがテーブルの上に置かれる光景は、まるで映画の世界のようでした。
丸焼き用の七面鳥はスーパーなどで、お手頃な価格で購入できます。
大きさもいろいろで集まる人数によって、小さめなものから20人くらいの人たちでも分け合える大きさのものまで様々です。お値段は小さいものでは$10くらいから購入できます。
この七面鳥のお料理を食べたことがある人たちはたくさんいますが、野生の七面鳥がどのような生態なのかを知っている人はそんなに多くはないでしょう。
私はミシガン州の割と自然の豊かな所に住んでいるのですが、我が家がある森には頻繁に七面鳥が現れます。
七面鳥は群れで行動することが多いのですが、よく観察していると、一つの群れは規則正しく一列に並んで森を横切っていくのです。
長い列では十五羽から二十羽が一列に並んでいます。普段は地面を歩いている七面鳥ですが、急な身の危険がある時には実は結構な距離を飛ぶこともできるんです。
一度、七面鳥の群れを近所の住人の飼い犬が追いかけた時に、群れはバラバラになり、ダッシュで逃げる七面鳥と別の数羽は瞬間的に宙を舞い、木の上に止まりました。あの大きな体でです。
それまで私は行進する七面鳥しかみたことがなかったのですが、空を舞う大きな羽はまるでイーグルのようでした。
また、春になると七面鳥の雄は求婚の舞をします。その時は孔雀のように羽を広げて、クルクル回って踊るのですが、羽を広げて体を膨らませたその姿は、鎧兜をきた戦士のようにも見えます。
七面鳥の話ばかり書きましたが、実は、森には様々な野生動物が姿を見せます。
動物たちを観察していますと、面白いことに気がつきます。動物たちは、毎日ほとんど同じ時間に同じ道を通ることが多いのです。
例えば、鹿の群れは毎日夕方5時近くになると彼らの通り道を横切るのです。野生の動物たちの体内時計が規則正しく働いていることがよくわかります。
その様子を見ていると、人間もその昔はお日様が出たら目覚め、日が暮れたら眠りにつくという生活をしていたことに納得ができます。
森には、七面鳥だけでなく野生の鹿や、エゾリス、シマリス、ポッサム、ノウサギ、アライグマやスカンクなども見かけることができます。
皆さんはこれらの動物から何を連想しますか?
私は様々な野生の動物を見ていて、ある時「この動物たちってディズニーのお話に出てくる動物たちだわ」と気がつきました。
私は児童教育関係の仕事を長年してきましたので、子どもたちが好きなお話や動画などもたくさん観てきました。それで、森に住む動物たちがディズニー映画の、例えば「バンビ」に出てくる動物たちと同じことに気がついたのです。
ウォルトディズニーのことを調べて見ましたら、ディズニーの出身地はアメリカ中西部・イリノイ州のシカゴだそうですが、少年時代にアメリカ中西部のミズーリー州というところの農場で生活したことがあるということがわかりました。
私が住むミシガン州も同じアメリカ中西部です。少年時代のディズニーは、ミズーリー州の田舎の農場で野生動物たちを観察して描写し、その経験が彼の創作活動につながったのかもしれませんね。
ディズニーが描く動物たちの描写がかなり実際の動物の動きに近いことは有名ですが、今のようなテクノロジーのない時代にあのようにかなり正確な動物たちの動きを描写したというのは、才能はもちろんですが「観察」がもたらした賜物でもあったことでしょう。
Written by スペイツ由美(アメリカ)