食事がまずいとよく非難されても、イギリス人のお菓子作りの腕をなめてはいけない。
なにしろ、このコロナ騒動で一番始めになくなったもの、そしてだいぶ「パニック買い」が収まった今となってもなかなか手に入らないもの。それは小麦粉!である。
事実、イギリスではろくにご飯が作れなくて、冷凍食品やレトルト、パスタ料理に頼っている主婦でもケーキを焼かせれば右に出るものはいない、ということも珍しくないのである。
パンを自宅で焼く、というのも至極一般的なことで、先日も甥っ子が作ったハーブ野菜入りフォカッチャ、の写真がちょっと偉そうに送られてきた。
さてこのスコーン、もちろんスーパーでも多様多彩な美味しいスコーンが買えることはいうまでもない。
が、折しも’Stay at home’ のスローガンが飛び交う現在のイギリス、外出がままならない今こそ自宅でベーキングのチャンスである。
ケーキといえば、やれ卵白を泡立てるだの、砂糖とバターをみっちりすり合わせるだの、チョコレートを湯せんにかけるだの、様々な器具、材料を必要とする。
比べてこのスコーン、必要な材料はほんのすこしのバター、小麦粉、牛乳、ほんのちょっとの砂糖とひとつまみの塩。ミキサーもなにも必要なく自分の手でほぐして、練って、型をとって、オーブンに入れてほんの10分でふわふわスコーンのできあがり。
オーブンから出たばかりの焼き立てスコーン。あっという間にティーンエージャーの胃袋へ
そんなに時間も手間もかかってないわりには、お客様にお出しすると「すごおおおい、手作りいい?」と感動される。だからスコーンはえらい!
このベーシックなスコーンにチョコチップを入れれば子供達大好物のチョコレートスコーンに。またはレーズンをどっさり入れてそのほんわりした甘みを楽しむ正統派のレーズンスコーンに。その他アールグレーの紅茶の葉っぱをまぜてみたり、ラベンダー風味にしてみたり。。。
アレンジは自由自在、まさに向かうところ敵なしである。
今日はレモン風味のものとアールグレイの2種類作ってみた!キッチンにどうぞ、と置いてあったのだが、焼きたてのスコーンはあっというまにティーンエージャーのお腹の中に消えた。
ちなみに英国のエリザベス女王のお気に入りはオレンジ風味のスコーンらしい。次回はこれに挑戦してみようと思う。
このスコーンをいかにして食べればいいかというと、すでにご承知の方々も多いと思うが、決してコーヒーなどと一緒にマフィンみたいにパクッと食べるものではない。
午後の3時過ぎ、熱い濃い紅茶とともに、二つに割ってClotted Cream (クロテッドクリーム:バターと生クリームの中間のような、コクのあるべったりとしたクリーム。)とジャムをどっさりのせていただく。
そんなに難しくないんだったら自分でも作ってみようかしら?という読者の方々に、次ページで私の特製レシピを伝授いたします!