春の訪れと同時に4ヶ月ぶりに再開したデパートやレストラン。コペンハーゲンの街には活気が戻り、人々の笑顔で溢れています。
コロナ禍が起こって1年以上。感染状況の拡大によりデンマークでも実施を余儀なくされたロックダウンは、4月に大幅解除となりました。
パンデミックの中、国として前に進むために取り入れられた対策の一つが「コロナパスポート」。レストランや語学学校、美容院など、特に屋内施設への入場時に、次のいずれかの証明提示が義務付けられています。
①ワクチン2回接種完了
②コロナウイルス感染歴がある
③72時間以内に実施した検査の陰性結果
感染歴のある方は抗体を持っているため、現時点ではワクチン接種完了者と同等の扱いとなります。
例外や変更も随時あり、賛否両論はありますが、この方法ならお店も休業しなくて済みますし、施設内でもお互いに安心できます。
デンマークでは簡単にコロナ検査ができることもあり、ワクチン接種も進んできた今、とても前向きで良い方法だなぁと思います。
興味深いのは、レストランは屋外のテラス席から順に埋まって行くこと。屋外はパスポートなしでも飲食できますが、パスポート持参者にもテラス席が人気の理由は、純粋に「外が好き!」だから。
長く暗い冬を乗り越えた北欧の人たちにとって、明るい太陽の光はかけがえのないもの。多少寒くても風が強くても真っ赤に日焼けしながら、ニコニコと太陽に向かい、グラスを傾ける人たち。
5月後半の今は夜9時頃まで明るい時期でもあり、久しぶりの再会を祝う人で賑わっています。日光に弱く、ロックダウン明け一番につば広帽子を買った私とはなんとも対照的。
必需品のイエローカードとスマートフォン。500クローネ札の図柄はデンマークとスウェーデンを結ぶ橋
集会人数制限など、毎週方針が変わる中で、各種手続きにおいてはオンライン行政のありがたさを実感します。
デンマークでは、全ての居住者に与えられるCPRナンバー(Centrale Person Register、国民識別番号)、そしてその詳細を記した通称イエローカードが、成人の場合、全ての基本となります。
重要な連絡はこのナンバーと同時に登録したメールアドレスに届くほか、銀行口座の開設や各種申請・病院受診・図書館の利用まで、全ての手続きでイエローカードが活用される、というよりこれがなければ何もできません。
医療情報のデータ統合システムにより、これさえ提示すれば、新しい病院へ行くたびに問診票に記入したり、お薬手帳を見せたりしなくても、即座に治療や投薬履歴を把握してもらえます。
処方箋の発行もありません。病院の後にそのまま薬局へ行き、イエローカードをスキャンしてもらえば、処方された薬が薬局側コンピュータで確認できるため、薬剤師さんが薬をサッと出してくれるのです。
特に人との接触回数や時間を減らしたい、物の媒介による感染リスクを最小限に抑えたい現状では、なんとも有り難いシステム。
店舗や病院での支払いも銀行のデビットカードが主流なので、小銭を数えるのに手間取ったり、多くの人が触った現金を手にしたりすることもなく、1秒スキャンで終了。こちらも安心度とスムーズさがアップします。
ただそのせいで、私はほとんど「デンマークのお金」をほとんど見たことがありません。
非常用にと夫から渡された500クローネ(約9,000円)札が唯一の現金との遭遇、、使う機会もなく財布のお守りと化しています。コロナが落ち着いたらコインも手にしてみたいです。
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