
このコラムでは、世界中の読者から寄せられた仕事やキャリアに関するお悩みに対して、キャリアコンサルタントの岩井真理さんにご回答いただいています。
【相談内容】
アメリカで働く30代のK子です。現地の会社で日々の業務に全力を注いでいますが、最近そのハードワークが原因で健康を損なうのではないかと懸念しています。
特に、国際チームとの連携や異なるタイムゾーンでのミーティングが続く中で、睡眠時間が不足しがちです。
また、現地での友人作りが難しく、週末やホリデーシーズンには孤独感が高まります。さらに、家族からの結婚や子どもについてのプレッシャーもあり、これからの人生で何を優先すべきか決められずにいます。
キャリアの成長を維持しつつ、充実したプライベートも手に入れたいと願っていますが、どのようにバランスを取れば良いのかアドバイスをいただきたいです。

【回答】
K子さん、こんにちは。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援する真理です。
アメリカで現地就労されているのですね。国際チームとの連携を取りながら海外で働くこと自体、楽なことではないのに「日々の業務に全力を注いでいます」というK子さんの奮闘ぶりが、痛いほど伝わってきます。
睡眠不足の中、本当に頑張っていますね。そして、私にも経験がありますが、「海外おひとり様生活」をしていると、特にホリデーシーズンには言われもない疎外感や孤独感に襲われるものです。
周りが家族や大切な人と温かい時間を過ごしているのに、世界中で自分だけが取り残されるような気分になり、休みを心から楽しめず、根無し草のような自分の存在について、ついつい思い悩んでしまいますね。
大抵、そんな時に限って日本の家族から結婚や子どものことを言われてモヤモヤ。「心配なのは分かるけど、催促されているみたいで落ち着かないし、自分だって、先のことなんて分からないよ!」が本音ですよね。
そこで、公私共に充実したいK子さんの、これからの人生の優先順位の付け方について、以下のワークをぜひお勧めしたいと思います。
このコラムシリーズで2回前にもチラッとお話した、「ライフキャリアレインボー」という考え方に基づくワークです。

「ライフキャリアレインボー」とは、この世に生を受けた時から、人は何らかの役割(ロール)を担っていて、その役割一つ一つを豊かに育ててライフキャリアを形成していることを、虹の形になぞらえて説明した理論です。
人の役割は一つではなく、虹のようにいくつも重なり合っていて、それぞれの時期に厚みを増すこともあれば、薄くなりその他の役割が代わりに増えていくこともあります。このように、生涯を通じて何らかの役割を果たすプロセスが重要であると、この説を唱えたスーパーという学者は言っています。
役割は、以下の8つに分けられます。
子ども 親との関係における子どもの役割
学生 学ぶ立場、学び直しなども含む
職業人 仕事する立場
配偶者 法律に関わらず夫、妻の役割
家庭人 家庭でのそれぞれの役割
親 子どもを持ってから始まる立場
余暇を楽しむ人 趣味、スポーツ、余暇を楽しむ
市民 地域に関わる、税金を納めるなど
これまでのK子さんは、子ども、学生、職業人などの自分が中心となる役割を主に果たしてきましたね。
そして、今後の役割として加わる可能性があるのが、配偶者、家庭人、親などです。余暇を楽しむ人や市民としての役割は、いずれにしても続きます。

では、ここでまず現状把握をしてみましょう。次の人生の道筋を選ぶには、まず今の自分を知らねばなりません。以下の手順で進めます。
1:上記の8つの役割が、生活の中に占めている【割合】を記入し、8つの合計が100になるように現状を表してみましょう。0のものもあるはずです。
2: 次にそれぞれの【充実度】を点数で表してください。割いている時間は短くとも充実している場合もあれば、その逆もあるでしょう。
3: 点数で示した役割の、それぞれの現状の【課題】を書き出します。課題がない、現状で良好なものもあるかもしれません。記入の仕方としては、例えば、子ども「親とあまり会話できてない」、職業人「ダラダラ残業している」、学生「最近、学んでいない」、配偶者「あまりイメージがわかない」などでOKです。
4:3で書き出した課題に対して、【解決策の方向性】を考えてみます。例えば、親「今後のライフキャリアについて自分の思いを伝える」、職業人「意識的に残業しない日を作る」、学生「興味のある〇〇のオンライン講座を受講」、配偶者「近い将来について友達とも話してみる」など。
5: 次に、5年後の理想の【割合】を書き出し、どうなっていたいか【将来の状況】を書き出します。
6: 最後に、なりたい状況を実現するために、今【取り組むこと】は何なのかを書き出します。
このワークのポイントは、「主観を交えて」考えるということです。
充実度の感覚は、今までで1番充実していたことを思い出し、それを100点の基準にします。課題は一つに絞り込まなくてもOKです。思いつく限り書き出してみましょう。

人は、一つの役割に没頭しすぎると他がおろそかになり、バランスを崩します。
それぞれの役割に、あなたの限られた時間を投資しているわけですから、「キャリアのポートフォリオ」は、自ら決めることが大切です。
条件をつけずに、やりたいことや好きなことを考えてください。つまり、K子さん自身がご自分の本心に気づくことが必要です。人と比べてではなく、自分がどうしたいかを明確にしましょう。
頭の中で考えているだけでは、モヤモヤして思考はまとまりません。
あえて、数値化したり、言語化することで、「あ、そうだったんだ」と、自分の本心に気づくことも多いので、手と頭を動かして整理していきましょう。
人生100年時代、多様な生き方が受け入れられる時代だからこそ,選択肢が多くて取捨選択は難しいかもしれません。
状況に応じて、複数の役割の割合を変化させながら、全体を統合していく。
柔軟なライフデザインの考え方を引き出せるのがこのワークです。どうぞお試しください。
Written by 岩井真理(日本)
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