
カナダらしさを実感した、クリスマスコンサート2025
日本のように「ミリ単位で正確さを追求する文化」に慣れていると、カナダの「ゆるさ」に最初は戸惑う人も多いのではないでしょうか。
私ももちろん例外ではありません。
今ではだいぶ慣れたものの、「そうだった、カナダってこうだった!」と改めて思い出させられる出来事がありました。
12月も半ば。街も学校もすっかりクリスマスモードのカナダでは、イベントシーズン真っ最中です。
先日、所属する教会のコーラスが恒例のクリスマスコンサートに出演することになり、朝9時からのリハーサルに遅れまいと車を走らせ、教会へ向かいました。
実はこの日が「初の」リハーサル。本番は、なんとその当日の午後です。

子供達の出番も無事終了
さらに、ソロを担当するはずだったメンバーの一人が急に体調不良で欠席に!
子どもたちの出番もあるはずなのに、リハーサルには誰も来ていない様子。
「出演者全員でリハーサルするはずだったんじゃ…?」と少し焦る私。
そんな中、指揮者のリーダーは、「It’s ok. Don’t worry. Just watch me(大丈夫、見ててね)」と一言。
ああ、これぞカナダ。
日本なら事前にリハーサルを何度も重ねて本番を迎えるのが当たり前ですよね。
カナダの「なんとかなる精神」全開の余裕さを見て、思わず心の中で苦笑いしながらも、「このゆるさ、やっぱり自分には永遠の課題かも」と感じました。

この“ゆる文化”は、子どもたちの学校にも色濃く表れています。
先日、高校1年生の息子の中間レポート(通知表)がメールで届きました。
点数のほかに、Responsibility(責任感)、Collaboration(協調性)、Self-Regulation(自己管理)など、学習態度や習慣まで細かくフィードバックがあります。でも驚くのはそこからです。
高校になると、さすがに宿題が出るようになりましたが、小・中学校までは宿題が出ると子どもたちは露骨に不機嫌になり、「宿題が多すぎる」と先生に抗議する親御さんが出ることもあります。
さらに、課題提出の締切は交渉可。高校でも、提出が間に合わない生徒が多いとテストがあっさり延期になることもあるのです。
日本式の「締切厳守」が染みついた身としては「え、そんなのアリ!?」と空いた口がふさがらない。
でも、そんな柔軟さが子どもたちのストレスの少なさにもつながっているのでしょう。

日本は「完成度」「正確さ」「協調性」を大切にする文化。一方で、カナダは「自信」「多様性」「自己表現」を重んじます。
どちらが良い・悪いではなく、ただの違いだと最近は思えるようになりました。
けれど、この違いの中にそれぞれの生きやすさのヒントがあるように思います。
カナダでは「こうあるべき」という基準が絶対ではありません。失敗も「間違い」ではなく「違うだけ」。
その考え方に触れるたび、日本で身に付いた「完璧じゃなきゃ」という思い込みが少しずつ外れていく気がします。
異文化の中で暮らすと、時に戸惑い、時に笑えないハプニングも起こります。
でも、そのすべてが自分らしい生き方を見つけるきっかけになるのかもしれません。
異国の“ゆるさ”にどう向き合うか。
そこには、日本文化に慣れた私たちが見落としがちな肩の力を抜く勇気が詰まっているように思います。
Written by 林いくえ(カナダ)