こんにちは!日本ではお盆明けの週、日本の読者の皆さんはお盆をどのように過ごされただろうか?
昨年までフリーランスとして働いてきた私だったが、今年からオランダの日系企業で働き始めた私。平日会社員、週末フリーランスと二足の草鞋を履いている。
フリーランスは働く時間を自分で自由に決められるし、仕事とプライベートが分けにくい部分も多く、あまり休暇という概念がなかった。
一方、会社員には有給休暇や病欠がある。時間の融通があまり効かないが、法律で決められた休暇が結構ある。働かずに給与が出るのは有難いことだが、同僚や自分が休んでいる間の仕事はどうなるのか?
そんな素朴な疑問に関して、今回はオランダの会社で働き始めて初めて経験した、夏休みバカンス期間のビジネスシーンについて共有したい。
オランダの子供の夏休みは地域によって少し違うが、7月の中旬頃から。オランダではラッシュを避けるために、3つの地域によって夏休みの開始時期が分けられている。
私の住むエリアでは今年は7月9日からだったが、翌週月曜日の7月11日、普段通り駅を利用した私はさっそく異変を感じた。駅がガラガラ!!
最寄駅が割と大きな駅なのでいつも人がいるのだが、その月曜日はパラパラと人が見えるほどだった。地下鉄に乗っても、1車両に1人2人ほど。その状況は続き、私は不思議に感じながらも通勤を続けていた。
平日朝7時台の駅がガラガラ!
オランダでは普段から取引先や同僚なども、ちょこちょこ有給を取るので、連絡を取りたい人がいないということはよくある。
大抵は数時間とか、長くても数日なので、戻ってきてから対応してもらうか、どうしても急ぐ場合は他の誰かが対応することでなんとかなる。
しかし、夏のバカンスは次元がちがう。ヨーロッパではまとめて数週間取るのが一般的。
その間どうやって業務を回していくかというと、自分がいない間の業務は、同じ部署の人や業務が近い人、もしくは直属の上司などに託す。
数週間前から業務を資料にまとめたり、レクチャーをしたりして、共有を行っておく。そして、不在中の自動返信メールに代理の人のメールアドレスを書き、その人が対応することになる。
ただ、部署が同じでも顧客によってリクエストや対応はそれぞれなので、「???」ということがしばしば起こる。が、できる限り対応するしかない。
取引先にも同じことが起こるので、思ったような回答が来なくても「お互い様」という気持ちで、時間がかかってもなんとか業務を遂行できればそれでよし。
私と同じ部署のベテランオランダ人が夏休みを取った10日間は、「残党兵たちの戦い」もしくは「綱渡りの連続」とでも表現したい10日間だった。
「毎年夏はそんなものだ」と大抵の人が思っているので、「Do our best」の対応で凌いでいく。もどかしさもあるが、みんながいつかはバカンスを取る社会なので、理解と協力が大切だ。
帰りのバスが貸切でびっくりした日
このようにヨーロッパでは夏の期間、ビジネスがスローダウンしてしまうが、やはり長期バカンスはあった方がいいと思う。そう思う1番の理由は、労働者の体力とモチベーションの回復が目覚ましいからだ。
バカンスから戻ってきた人は、気力・体力がフルに回復している。仕事の処理速度が格段に早くなり、これは効率良く働くための必要な充電期間だと思う。
休みが1週間しかないと旅行で疲れて帰ってくるが、3週間以上あれば旅行の疲労からも回復できる。
また、スキルアップにもつながった。普段より多くの業務をより早く裁かなくてはいけないので、さながらブートキャンプのようだったが、たまにだったら悪くない。人は追い込まれるとキャパシティが上がる。
同僚の仕事を手掛けることにより同僚の仕事をより理解し、今まで面倒な業務を引き受けてくれていたことを知った。
ただし、弊害もあると思う。
一つ目は、その担当者がいないと業務が止まってしまうことがどうしてもあること。これは担当者が戻ってくるまで待つしかない。私もまだメールの返信を待っているものがある。
もう一つは、休みぼけ。バカンス明けの同僚からの「私のPCのパスワード知らない?」には笑ってしまった。リモートワークの際にパスワードをど忘れし、自分のPCにログインできなくなったらしい。
そういう私も休み明けにポカミスが増え、冷や汗と反省の1週間を過ごした。バカンス前の感覚が戻るのにはやはり少し時間がかかる。
このように、初めての「大人の夏休み」を過ごしてみて、さまざまな学びがあった。
特に良いと感じたのは、上司が「たくさん休み取ってねモード」なこと。週末を除いて6日連続の休暇を申請した私は「本当にこれだけでいいの?」と何度か確認された。
自分的に仕事を忘れないと思えるマックスの長さだったが、来年はもっとヨーロピアンに近づき、1月近くの休暇を楽しめたらと思う。
Written by 藤村ローズ(オランダ)