以前のコラムで、週4日勤務のオランダワーキングマザーの働き方や、バカンスシーズンに向けて春からワークシェアリングについて書いてきた。
最近、同僚が週3日のパートタイム勤務(時短勤務)に切り替えたこともあり、今回はその働き方を見て感じたことや周りへの影響について書いてみたい。
その同僚は勤続20年近くの40代後半ベテラン社員で、自分のメイン業務の他にも幅広く業務をこなせるオフィスのエース。
元々週4日勤務の契約で働いていたが、残り1日の午前中は在宅ワークをするほど仕事熱心な人物である。
小学生のお子さんがいて、奥さんも働いているので、時々学校や習い事の送迎のためにオフィスを抜けることもあり、オランダ人らしい子煩悩なパパさんだと想像している。
その彼から「来月から週3日勤務になる」と告げられた時は動揺した。なぜなら、私の直接の上司でとても頼っていたからだ。
最初は不安だったが、1週間、2週間と過ぎ、オフィスが新しいペースに慣れてきたように感じている。
彼の勤務日を減らすためにまずしたことは、他の同僚への業務の移行だった。このことによって、時間が余っていた他の同僚を有効活用できるようになり、効率が上がったという副効果があった。
また、彼は有給が消化できないほど多忙だったが、業務量が減ったことで前よりも休暇を取るようになった。それまでは私の業務のお願いする一方だったので、嬉しく感じている。
その代わり、出勤している3日間はものすごく忙しそうである。やり方が分からなくて質問した時、「休み明けで業務が溜まっているから手伝うのは難しい」と言われ、他の同僚たちとの絡みが増えた。
これもオフィスの風通しやコミュニケーションの観点からは良いと感じている。
このように意外とオフィスはちゃんと回っているが、たまに彼しか分からないことがあって困ることがある。
そういう時はどうするかというと、戻ってくる日まで待つしかない。もちろんお客さんも待たせることになる。
日本だったらありえないことかもしれないが、オランダではよくあることで、大きな問題になったり、咎められたりしたことはない。「ベストを尽くしてもできなければ、それは仕方がないことだ」と考える社会なのだ。
彼の業務の進め方を観察していると、できる業務はとにかく前倒しで進めている。
ベテランなので、私と比べると何もかもが早いのだが、例えば毎月のインボイス作成は私より1週間は進めるのが早いことに気付いた。
社内締切が翌月の約1週間後なので、私は月が変わって作成を始めるのだが、彼は月が変わる頃にはほぼ終えているようだ。
ぜひ見習いたいのだが、私はまだ取引先からのインボイスをすべて確認してから作成したいので、社内の締切に間に合えば今のところ合格点だ。
このようにオランダでのパートタイム勤務する人を間近に見て、「時短勤務もなかなか楽ではない」ということを実感している。
私もパートタイム勤務には憧れるが、給与は減るし、出勤している日が相当忙しそうなので、今の私には週5勤務の方が良さそうだと感じている。
ただ、自分でうまくコントロールできれば、家族との時間を増やせたり、自分の可能性を広げたりできる働き方であることは間違いない。
オランダでもこのような働き方をする男性は決して多くはないが、このような選択ができる社会であるのは良いことだと思う。
Written by 藤村ローズ(オランダ)