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ワークシェアリングで解決!オランダのバカンス準備は3月には始まっている。

2023年3月24日
藤村ローズ (オランダ)

3月には意識し始める「夏休み」

今年も気が付けば3月。日は随分と長くなり、オランダではそこら中に咲き広がっているクロッカスやラッパ水仙に春の訪れを感じ、心弾む季節である。

それと同時に意識し始めるのが、夏。

少し気が早いと思われるかもしれないが、冬が長いヨーロッパではそれを乗り越えたご褒美に、もしくは次の冬を乗り越える充電をするために、夏のバカンスはとても大切である。

オランダでは、社会人も連続2〜4週間くらいの夏休みを取るのが一般的。ちなみに子供の夏休みはその倍くらい。家族全員でタイミングを合わせて、バカンスを過ごすのが毎年の恒例である。

以前のコラムにも書いたように、昨年からオランダで会社員として働き始めた私は初めてのバカンスシーズンを経験した。

去年は入社してまだ数ヶ月の状況で、次々と襲ってくる嵐のような自分の業務と同僚の業務に、毎日残業しながらなんとかこなした。私自身は1週間ほどの休暇をいただき、数年ぶりに命の洗濯をしたような気持ちになった。

ただ、今残っている率直なイメージは、「バカンスはこわい」である。

日々の自分の業務だけでもそれほど余裕がないのに、他の社員と共にと言えども、ベテラン社員のピンチヒッターを務めるのは、バッティングセンターで野球初心者が150キロの球の前に立ったくらいの恐怖感があった。

 

バカンスのためにワークシェアリング

ところが最近、社内の動きがなんとなく活発になっていることに気付いた。

私の会社は物流会社なので、大きく分けて、輸入・輸出・ディストリビューションといった部署がある。業務が被る箇所もあるものの、基本的にはそれぞれの部署ごとに、それぞれの担当者が自分の顧客の対応をしている。

病欠や有給などで休む場合は、同じ部署の人に仕事を頼むのが基本。ただ、顧客によってリクエストが違うので、同じ部署でも他の顧客の対応は楽ではない。

だが最近ではその部署を超えて、業務の共有やレクチャーする動きがある。例えば、輸入担当者に輸出業務を、輸出担当者にディストリビューションをといった具合に。

そして、よく話題に上がる「バカンス」の話。

キッチンでお茶を飲むために湯を沸かしながら、間を繋ぐために「もうバカンスの計画した?」と同僚になんとなく聞いたら、「8月○日から○日までスペインのバレンシア」という答えが返ってきて仰天した。

だが、まだ計画してないのは逆に日本人ばかりのようで、他の同僚からも「7月の何週目と何週目バカンス取るのでよろしく」と言われた。

私もなんとなくその辺を狙っていたので「先に取られた」と思ったが、息子の休暇がそこに被らないことを祈るしかない。

 

オランダではバカンス費用も会社持ち?!

このように、オランダでは春を迎える3月には夏のバカンスの準備は始まっている。

まだまだ日本人的感覚の強い私には信じられないのだが、この準備期間があることによって、一見不可能な「1ヶ月近い大人の夏休み」が実現できるようである。

これには他にもベネフィットがあって、今くらいに買っておくと航空券もまだ安いというのもある。合理的なオランダ人らしい発想だ。

ちなみにオランダでは、バカンス費用も会社から支給される。「Holiday allowance(休暇手当)」というのが、毎年5月に給与1ヶ月分上乗せされて支払われるので、5月の給与は単純計算で2ヶ月分。

ただし所得税率が上がり、倍にはならないのだが、やはり多く振り込まれると嬉しい。このような事情も、オランダ人の旅行好きに拍車をかけているのではないだろうか。

まもなく3月も終わり、日々を慌ただしく過ごしているとあっという間に7月はやってくるだろう。今年の私の夏は一体どうなることだろうか?

息子のサッカーを最優先に過ごす我が家は、サッカーの予定が確定するまで予定を立てることができないのだが、願わくはコロナ以来の日本へ、そして平和に、充電できる夏にしたい。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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