皆さん、こんにちは。
オランダの南部アイントホーフェン在住の藤本シタル陽子です。
私の住んでいるオランダは非英語圏の中でも英語の使用率が高く、数多くのグローバル企業がヨーロッパ本社を構えているため、オランダ語を話せなくても就職することが可能です。
私はオランダの企業に勤めた後に、現在ドイツの企業で働いているのですが、オランダ人の英語でのコミュニケーション能力の高さには驚かされます。
ドイツでも私を採用するような企業ではもちろん公用語が英語なのですが、やはり仕事外の雑談などになるとすぐにドイツ語に切り替わります。
ドイツ語は第二言語としてもいまだにポピュラーなので、現地で暮らすにあたっては、ドイツに住んでいるんだからドイツ語を話せて当然という態度を取られます。
オランダ人と話すとわりと真剣に「オランダ語なんて勉強しなくていいよ」と言われることもありますし、オランダのグローバル企業では、朝一のコーヒーを飲みながらの雑談であっても、非オランダ語話者が「Good morning 」と現れた途端に英語にスイッチが切り替わります。
毎度この瞬間に出くわす度にオランダ人って翻訳ロボットみたいだと思うものです。
ただし、本音ではオランダ人も面倒くさいから英語でなんて話したくありません。
オランダ語がマイナーな言語であることと、グローバル企業で働いていると言う事実がオランダ人の対応を柔軟にしているだけの話だと思っています。
私自身、日本にいた時は日本語を話さないExpatの上司たちと話すのに、「面倒くさいな、翻訳こんにゃくあればいいのに…」と影で思っていたので、ドイツ人の雑談に置いてけぼりにされても、当時のしっぺ返しを今受けているものだと理解して落ち込まないようにしています。
非英語圏でも英語だけで就職できる国はオランダだけでなく、香港など旧イギリス領の国々もあると思いますが、気をつけなければいけないのは彼らにとってはあくまでも英語は単にアウトプットツールであると言うことです。
例えば、下の英蘭翻訳表はイギリス人の皮肉ではなく、オランダ人の研究者が作成したものですが、英語ができることとコミュニケーションをスムーズに測ることは全く異なると言うことを如実に表しています。
(参照元 https://www.labourmobility.com/anglo-dutch-translation-guide/)
この比較表を見て、オランダに住んで3年以上経つ私でもこれらのフレーズを使うときの意図はイギリス人寄りであることに気づきました。(注:筆者はイギリスで英語を習得しています。)
オランダに住む以上、グローバル企業で働いていてもオランダ人が大多数なのですから、オランダ人に伝わるように話さなければ意味がありません。
ましてや、管理職でチームメンバーを動かす立場にいると一人一人の特性をみて指示の出し方を変えないといけないので英語ができるだけでなく、高いコミュニケーション能力が求められます。むしろその必要性は言語力よりも高いかもしれません。
とは言え、第二言語でかつコミュニケーション能力を問われるなんて…と難しく考えると疲れてしまいます。
大阪出身で京都の大学を出ている私はこの英蘭対応表を見て、京都弁の「楽しそうどすな」は「静かにしてもらえますか?」という意味だというジョークを真っ先に思い出しました。母国語でだって簡単ではないのです。
ですので、難しく考えるよりも社会人としての原点、ほうれんそう(報告・連絡・相談)に戻るのが一番。
非英語圏で英語を使って仕事に就くには言語能力だけでなく、本当に伝わっているかの確認がとても大切になりますし、ヨーロッパのように何人と一括りにできないような場所では個人対個人でコミュニケーションの取り方を変えていくことがとても重要だと常々意識して生活するようにしています。
Written by 藤本シタル陽子(オランダ)