皆さん、こんにちは。オランダの南部アイントホーフェン在住の藤本シタル陽子です。
今回は、サスティナビリティ (sustainability、 持続可能性) についてお話ししたいと思います。
日本では未だにカタカナ英語のまま、いまいち盛り上がっている様子のないこのトピック。環境問題の関連ワードという認識も一般的には低いのではないでしょうか。
例えば、外国人がよく驚く日本の過剰包装も、レジ袋の有料化で少しずつ変わっていくのではと言われていますが、日常生活の一部に環境問題があるとはまだまだ言えないでしょう。
今年、ヨーロッパやアメリカでは、グッチグループ、アディダス、ナイキなど壮々たるファッション企業がG7 Fashion pactと言う協定を結び、本格的にこの分野に参入してきました。来年は日本でも商品化や企業広告といったマーケティングを強化してくる企業が増えてくると予想されます。
ヨーロッパではこの9月Global climate strike(日本ではグローバル気候マーチ)が行われ、当日は多くの企業が関連のマーケティングをうちました。ファッション通販サイトを運営する私の職場も1ユーロの寄付で1本植林ができる団体と組み、オーダー一件に付き1ユーロの寄付を行い大変盛り上がりました。
このスト自体にも参加している同僚がいましたが、元々彼女はサバティカル(海外では一般的な半年から一年の休暇)の間、ヨガインストラクターとして旅行をしたような人物かつ、ストが日常的にあるフランス出身。「私、金曜日休みなの。ストするから」と彼女が言った時、「日曜日は教会に行くの」と同じぐらい自然な感じがしました。
ですので、自然でないとヨーロッパの消費者ははっきりとNOを突きつけます。
イギリスの大手ファストファッションTopshop はこの11月に、リサイクル素材を使用したコレクションをconsideredという名で打ち出しましたが、そのアプローチがあまりにも押し付けがましく、発売日当時のインスタグラムにはGreenwashing(Greenwashing: 環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞的な環境訴求 (Wikipediaより))というハッシュタグが並びました。
安く大量消費してナンボのファストファッションが、いきなり環境問題を取り上げて消費者をリードしようとしても無理があるのです。そもそも商品の生産おいて、染色工程が水を大量に使用するなど、ファッションと環境保護は対局の立場にありがちです。コミュニケーションを間違えるとまさに「あなたに言われたくない」という状況になります。
先日、小泉環境大臣が「環境問題をセクシーに」と発言し問題視されましたが、これもすごくよい発言が誤解釈されてまったケースで、「今の生活だけじゃなく、将来の地球環境を気にしてるってかっこいいよね。トレンド化していこう」というメッセージが伝わらなかったのは非常に残念です。
環境問題は、「身近に、自然に、生活の一部として」これらがキーワードになってくるでしょう。
私の住むオランダでは、個人間でのリサイクル品の販売が非常に盛んで、私もこちらに来てから家具や自転車、車などの高額品はまず中古品をチェックしてから購入するようになりました。これはもうライフスタイルの一部で、自然に習慣化したよいケースです。
日本だとメルカリやヤフオクがそれに近く、私も日本を去る際にかなり洋服をメルカリで販売した経験があるのですが、これらのサイトをサスティナブルだと思って利用している人はほぼいなでしょう。転売サイト化している面はさておき、メルカリと言う素晴らしいプラットホームが、サスティナビリティの認識とほとんど紐づいていないのは、それこそもったいないと思うのです。
サスティナビリティをCSR(corporate social responsibility、企業の社会的責任)だとお堅い方向に持っていったり、目先のことで手一杯の我々にいきなり地球温暖化を説いたりせず、リサイクル素材やビンテージ、フリマと言った手近なところから生活に取り入れられるよ!と言ったメッセージがもっと必要なのではと感じました。
とは言え、今年の電子マネーの激しい広告合戦を見る限り、日本人はやるとなったらとことんやるので、日本企業がどのような形でサスティナビリティのトレンドに乗ってくるのか、今から少し楽しみにしている自分もいます。
参考文献
https://amp.review/2019/02/14/sustainable-fashion/
https://www.lifehacker.jp/2019/11/sustainable_knit.html
https://ja.globalclimatestrike.net/
https://www.fashionrevolution.org/the-g7-fashion-pact-what-it-is-and-what-its-missing/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0
Written by 藤本シタル陽子(オランダ)