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ブラジル人を雇ってみて、一緒に働いてみてわかったこと、感じたこと

2021年10月25日
HIROMI (ブラジル)

日伯友好交流チャリティーコンサートでイベント主催者として挨拶

求人活動のルールが厳しいブラジル

Olá!! ブラジル、サンパウロ州在住のHIROMIです。

前回はブラジルの労働法と労働手帳について書かせていただきました。

今回は、私自身が雇用者としてブラジル人を雇ってみて、また一緒に働いてみて分かった事や感じた事などを書かせていただきます。

ブラジルは人種に対する差別が犯罪となる国であり、採用もそれに十分注意して行わなければなりません。

募集要項・採用要件では、性別、社会階級、人種、肌の色、未・既婚状況、家族状況、身体障害、年齢、その他の差別的な特記事項を採用の告知に載せてはいけないことになっています。

採用のためのエイズ検査、ドラッグ検査の診断書や労働裁判証明書、債務証明書などの提出を求めることもできません。

無犯罪証明書の提出は、個人プライバシー及び雇用関係の差別の禁止を侵害するため違法とされましたが、法律が認める場合、あるいは業務の性質上必要とされる場合は認められます。

例えば警備員、現金輸送担、託児所や養護施設の子供、老人、障がい者の介護者、貨物輸送トラックの運転手、銀行員、武器やドラッグを扱う業務に従事する人、機密情報を取り扱う仕事に携わる人などは例外とされています。

女性に関しては日本と同様、妊娠しているかどうかを条件として採用、昇給、解雇に関して不利な取り扱いをしてはいけません。さらに妊娠していない、あるいは不妊手術をしたという証明書の提出を求めることも禁止されています。

もし証明書を要求した場合は、1年から2年の禁固刑に加え、罰金が課せられるのです。

また労働関係における人種、肌の色、身体障害などによる差別があった場合は、給料の10倍に相当する行政罰金に加え、公的金融機関との取引禁止のペナルティがあります。

差別的な解雇の場合は対象者の職場復帰を命じるとともに、解雇されていた期間の給料の倍額を支払うことが罰則として規定されています。

性別あるいは人種差別による給料の不平等性が立証された場合、裁判官は給料の差額の補填と社会保障院、厚生年金制度の年金給付最高月額の50%相当の罰金が科されます。

雇用者としては気をつけて採用したいところですが、ちょっとしたことで「差別をされた!」と弁護士に相談、裁判を起こす労働者は後を絶たず…。

5人に1人が起訴していると初めて聞いた時は、「雇用者側になりたくない!!」と思ったものです。

 

労りや感謝の意を込める各職業の日

ブラジルでは、日本でもメーデーの名で知られる国際的な労働者の記念日がありますが、それ以外にも各「職業の日」があります。

先生の日、医者の日、秘書の日、料理人の日、掃除婦(夫)の日など様々な職業の日があります。これらは労働者の日とは違い、固定祝日はありません。

その代わりに、労りや感謝の意を込めてプレゼントをする習慣があります。

例えば、今月10月15日は「Dia dos Professores(先生の日)」だったので、保護者同士でお金を出し合い、子供の学校の先生にプレゼントをしました。

職業の日には「Feliz Dia da(s) (do(s)) ◯◯!」日本語だと「ハッピー ◯◯の日!」と、その職業の人に声をかけたり、メッセージを送ります。

自分の仕事に誇りを持ち、頑張ってお仕事をしてる人にとっては嬉しいですね。

このように人権を尊重するブラジルで雇用者として一番気をつけなくてはいけないのは、この職業の日を忘れない事。例えば、会社では秘書の日、家では家政婦、掃除婦(夫)の日、料理人の日には忘れずに声掛けを。

ここで、「あれ?雇用者や経営者の日は?」と思った方。残念ながらないのですが、設立日にお祝いされるので良いと思います。

 

学歴社会ブラジルでのキャリア形成

サンパウロ市のビジネス街パウリスタ通り

この国では能力やキャリアにあった働きをする人たちがいるからこそ企業は成り立っているので、雇われた人はお給金にあった仕事だけをします。

ですから、管轄外の事はもちろん、誰でもできる事をお願いした場合でも、「時間外なのでできません」「専門外なのでできません」とハッキリ言います。

頼まれたら難しくてもやってしまい、自ら首を絞めてしまう時がある私は、ブラジル人の考え方を見習った方が良いのかもしれませんね。

ちなみにボランティアの場合は、キャリアや労働時間は関係ありません。

そして、ブラジルは学歴社会です。学力が高いほど給料が高く、失業率が低いため、サラリーパーソンたちは仕事終わりや週末に大学や大学院に通い、キャリア形成をしている方も多いです。

家政婦や掃除婦(夫)のようにキャリアが必要ない職業に関しては、仕事の仕方と信頼度を見ます。働いている年数で給金は上がっていきます。

このように努力をしていると分かるからこそ、職業の日には「ありがとう」と心から言えるのです。

 

ブラジル人と向き合う時の魔法の言葉

ブラジルのシンボル「コルコバードのキリスト像」

ブラジルの働き方についてどう思いましたか?

私は最初の頃、戸惑いもありましたが、郷に入れば郷に従えで、彼らが給金の分だけ正確に働いてくれるのならば、と割り切ったら今では楽になりました。育った環境が違えば考え方も違うのは自然な事ですよね。

しかしクライアントとお仕事をする時、正直ジレンマはあります。ブラジルに移住してから9年、私の口癖は「Não tem jeito(しょうがない)」 になりました(笑)

口癖なので家庭内でも言っていたら、私の娘は「Não tem jeito」の歌を作ってしまいました。私が言うたびに歌うので笑ってしまい、「あれ?なんでモヤッとしていたのかな?」と思ってしまいます。

もちろん、しょうがないでは済まされない事もあります。そういう時はきちんと話をしましょう。ブラジル人はきちんと話を聞いてくれます。でも、考え方や視点を変えるのに大事な言葉だと思います。

皆さん、ブラジル人との間でイラっとしたら「Não tem jeito(ナゥン テン ジェイト)」です!それで一旦落ち着くことができるから、あら不思議。なぜイラっとしていたのだろうと思えるかもしれませんよ。

最後になりますが、リオデジャネイロにあるブラジルのシンボル「コルコバードのキリスト像」の大きく手を広げている姿はブラジルに住む人々の心の温かさや、包容力を表しているそうです。

コルコバードのキリスト像のように、人々を受け入れる寛大な心を常に忘れずに持っていたいものです。

今月も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!Até mais!!(またね!)Tchau!!(バイバイ!)

Written by HIROMI(ブラジル)

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