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キャリア教育と職業選択について。日本とブラジルの違いとは?

2021年8月6日
岩井真理 (日本)

「大きくなったら何になりたい?」

皆さんこんにちは、ブラジル帰りのキャリアコンサルタント・マリです。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援します。

突然ですが、皆さんは子供の頃、「大きくなったら何になりたい?」と聞かれて、なんと答えていましたか?

私は学校の先生、スチュワーデス、アナウンサーなど、女子がひと通り憧れる職業をそのまま言っていた気がします。

日本ファンナンシャルプランナーズ協会は、毎年「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」を実施し、応募作品に描かれた小学生のなりたい職業について集計しています。

2020年の1位は、男子は「サッカー選手・監督」、女子は「薬剤師」だそうです。男女通して薬剤師がトップとなったのは初めてです。コロナで医療関係への関心が高まったのでしょうか?

他にも、ユーチューバー、イラストレーター、パティシエなどに人気が集まり、私が子供の頃とは随分違う気がします。そもそも昔はなかった職業、逆に今はなくなってる職業もありますよね。(日本FP協会より参照)

とはいえ、大人は気軽に「何になりたい?」と聞いてきますが、具体的にどのような勉強や訓練をすればその職業に就けるのかを教えてくれた人に出会ったことはありません。子供の夢はあくまでも夢、ということだったのでしょうか?

日本と海外、特に私のいたブラジルの職業観、キャリア教育について考えてみたいと思います。

 

世界でも珍しい「新卒一斉採用」

日本には、世界でも珍しい「新卒一斉採用」という、特徴的なキャリアの入口が存在します。

海外にはこの特別枠はないので、たとえ新卒でも仕事を探す時は、転職者、再就職者に混じって、自分の専門性や将来の希望に合ったポジションを探して応募します。

それに対して日本では、社会人経験のない、即戦力ではない新卒者を、年に一回まとめて採用するのが、お仕事人生のスタートです。これはこれでメリットがあるので今のところ消えていかないのですが、学生の方はどうでしょうか?

特別な資格がないと就けない職業は別として、私達の多くは学校を出る直前に、「さて、何になろうか。とりあえず、会社に勤めた方がいいかなぁ〜」なんて感じで、新卒枠の応募を通して就職する人が多いように思います。

一応「自分って何に向いてるんだろうか?何ができるのかな?」と、キャリアセンターなどを利用して【自己理解】を試みますが、脳裏には、「せっかく就職するのだから、ずっと勤められる安定した会社が良いかな〜」という思いが浮かぶのも、日本独特の「終身雇用」という制度が作用しています。

かつては勤め始めたら長く勤める事を良しとし、転職はできるだけしない方が望ましい、という風潮が長く蔓延っていました。そのため会社の規模や福利厚生などをチェックして選択することが、人生の安定や幸せに繋がると信じていました。

しかし、この「終身雇用」は今や日本社会においても崩壊しつつあります。人生100年時代と言われる昨今、60歳でリタイアすることは少なく、労働者は自分の特性に合わせて仕事や働き方を変えていかねばなりません。

学び直しのためにコミュニティや学校へ再度行く人も増えて来ました。同時に日本での職業に対する考え方も、このところ変わってきています。

 

ブラジルの職業選択の方法とは?

私が以前住んでいたブラジルでは、6歳から14歳まで小学校と中学校が合体したEducação Fundamentalに通い、その後15〜17歳まで高校に当たるEnsino Médioへ行きます。

そしてこの頃には誰もが進路を決めて、将来就くであろう職業に直結したことが学べる学校を選びます。教育学部へ行って教師になったり、法律を学んで弁護士になったり、または電気関係の専門学校へ進み電気工になったりします。

つまり「生活していくため」のスキルを学ぶための選択をします。

それは単に学ぶだけでなく、社会と積極的に関わりを持ち、例えば、歯科医師を目指す学生は、ある程度の知識や技能を習得すれば、まだ卒業していなくてもボランティアや安価で治療を望む人達を診察することができるそうです。

この先歯医師としてプロになるにあたり、学生のうちに実務だけでなく、マインドも身に付けておくそうです。

反面、日本の教育は、職業に貴賎はなく職業選択の自由が軸になっているのに対して、ブラジルでは職業的偏見を少し感じたことがありました。

一応自由に仕事を選べる事になっているけれど、その実、親の職業やそれに近いものを継ぐことが多くて、そのカテゴリーから抜けるのはなかなか難しそうです。暗黙の中に階層があることを、何となく感じたことがあります。

女性の働き方に対する考えも、このうっすらとしたヒエラルキーがあるように思います。ブラジル人女性には、専業主婦はほとんど存在せず、何かしらの職業を持っています。キャリア教育の結果として、仕事するのは当たり前のようです。

 

「適職」は見つけることができる

日本でも共働き家庭が多くなってきたものの、結婚して子供ができるとフルタイムではなく、パートでスーパーとか飲食店で働くという話をした時に、「それは、ブラジルでは言わない方がいいわね」と言われ、ちょっとドキッとしました。

ブラジルで、職業やキャリアはどんなふうに見られているのか、垣間見た気がします。

それでも生活するために仕事があり、その準備のために学校で学ぶという実用的な考え方は、社会生活を現実的にイメージさせるには理になかっているような気がします。

キャリアコンサルタントとしてキャリア教育について考える時「大学生になってからでは遅い!」と、ずっと思っていました。就職する直前にちょっと考えたからと言って、いきなり職業観が醸成されるわけではありません。

もう少し小さな時から、興味を持ったり、疑問を持ったりしながら、「自分って?」と向き合う必要があると感じています。早めのキャリア教育が行き渡っていたら、日本が今抱える若年層の問題も減るような気がします。

一部の特別な才能のある人は、「天職」を手に入れることがあるでしょう。一般的には、なかなかそう思える仕事に巡り会うことは少ないのも事実ですが、でも「適職」を見つけることはできるのです。

そのお手伝いをすることを、私は仕事にしています。仕事だけでなく、個々に相応しい生き方や働き方、生きる意味、、、ご一緒に考えましょう。お力になりますので、こちらからご連絡下さい!

Written by 岩井真理(日本)

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