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キャリアコンサルタントが見る「コロナを隔て、悩みの種は変わった?」

2022年7月9日
岩井真理 (日本)

どんな理由で海外にいるのかによって、悩みの種は違う

皆さんこんにちは、ブラジル帰りのキャリアコンサルタント・マリです。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援します。

本帰国して、日本で再度働き始めてから早一年となりました。去年は、コロナの影響で何事も自粛ムードの日本でしたが、最近は普通。元には戻ってはいませんが、でもみんな当たり前に出かけたり働いたりしています。

私もこの一年、キャリアコンサルタントとして仕事をし、色々な方のご相談を伺ってきましたが、世の中の動きと共に「少しだけお悩みの傾向って変わってきたのではないかな?」と感じています。

私は本職の傍ら、海外こころのヘルプデスク24時というグループで、傾聴ボランティアをしています。

海外在住者、または渡航前後の方々のお悩みをオンラインでビデオオフの状態でお聞きする活動です。ブラジルに住み始めた2018年からずっとやっていますので、もうかれこれ4年になります。

海外に住む人ならではの共通のお悩みもあるものの、面白いことに、どんな理由で海外にいるのかによって、悩みの種は少しずつ違うようです。

 

国際結婚では常に夫婦関係が断然トップ

コロナを挟んで、それらの傾向も変化してきました。

例えば、私がそうだったように、駐在に帯同する家族からのご相談は、海外暮らしの生活そのものや、駐在家族同士など身近な人間関係に問題を抱える人が多いです。

他には、自分自身の、例えばキャリアやアイデンティティについて悩まれている傾向が強かったです。

しかし、コロナによる在宅ワークやオンライン授業が進むにつれて、外との繋がりが希薄になり、取り巻く環境の全てが家庭の中だけになったせいか、断然夫婦関係のお悩み相談が多くなってきました。

もしかしたら、すでにあった問題が顕在化しただけなのかもしれませんが、そもそも何事も自分達の意志で決められない駐在という立場の中で、夫婦それぞれの価値観の違いが浮き彫りになり、問題を複雑化しているようにも見えます。

それに対して、国際結婚で配偶者の国に暮らす人達の悩みは、コロナも前も後も、常に夫婦関係のトピックが断然トップでした。

コロナ前は、加えて義理家族との人間関係で悩むこともありがちでしたが、コロナを経て問題はもっと現実化し、生活や収入についての問題が目立つようになりました。

海外に根ざして生きているし、その覚悟もしている国際結婚組ですが、それでも日本にいる家族に定期的に会いに行けなくなって苦しんでる人もいました。一時帰国ができることをモチベーションにしていたのに、コロナでままならなかったですものね。

 

最近急増した相談者の属性とは?

最近多くなったのは、留学生からの相談です。元々、ヘルプデスクへ来る留学生は、日本での親子関係や家庭に何らかの問題を抱えて居場所を見失い、留学を決めた経緯のある人が目立ちました。

自分で決めたことだから、自力で何とかしなくては、と周囲に助けを求めることを躊躇う傾向があります。

客観的に見たらすごく頑張っているのに、自分はまだダメだ、何もできていないと、自分を追い込むので、自ずと悩み事の殆どが、自分に関することや今後のキャリアについてです。

それに伴い、人間関係の悩みも付き物ですが、他のカテゴリーの方達に比べると、問題解決のための相談ではなく、ただ日本語で話したいという、友達も少ない留学生達の寄る方なさが伺い知れます。

オンライン授業が続く中、海外留学していること自体への疑問を語る人も多くみられました。他にも、現地就労の人達からのご相談、特にコロナを機に男性からの件数が増えました。

元々、現地就労の方はキャリアやアイデンティティに関する悩みは尽きないのですが、コロナで金銭面や生活そのものに対する問題が深刻化する傾向にありました。

きちんと職に就けている人も、長引く在宅勤務の中で、対面以上に語学のストレスを抱えることも多く、メンタルにまで影響を及ぼした例も少なくありません。

また、海外就労をしていること自体、大きな人生の決断をしてきてそこにいるので、多少の問題が起きても、単に日本へ帰国する事で解決するわけでもなく、すぐに答えの出ない長期的なお悩みが多かったように思います。

とはいえ、オンラインで傾聴するだけのボランティアなので、支援の限界を感じることもあります。
 

足りないことがわかった5つのサポート

海外在住者のお悩みの傾向を捉えたことで、以下の5つのサポートが足りなく、今後強化が必要だとヘルプデスクでは考えています。

1. メンタルケアだけでなく具体的なDV問題解決ができる窓口
2. オンラインで対応できる心理カウンセリング窓口(医療はすでにある)
3. 人権や法律的な問題発生の時介入できる保護団体
4. 帰国後のメンタルサポートサービス
5. 海外においての金銭的困窮を支援する窓口

世界のどこかに、こういった支援に力を貸して下さる方がいらっしゃれば、海外在住はもっと生きやすくなるのではないないでしょうか。

一方、日本でこの一年ご相談をお受けしている中で感じたのは、人間関係に関する問題を抱えている人が、とても多いと言うことです。そして、そのトラブルから、メンタルに支障をきたす人が少なくないことにも驚きました。

私の専門は「キャリア」ですが、そこに心の問題が切り離せなくなっていることを実感します。

ご相談の中味は、職場やコミュニティ、グループなどの人間関係がうまくいかない、上司や先輩が苦手、これはパワハラじゃないか?といったものが多数です。自分を取り巻く身近な他人との関係性について悩んでいることが多いです。

そこで「では、解決のために話し合いなどしましたか?」と訊くと、決まって「してません」「そんなこと言えません」と言う答えが返ってきます。そして、そのまま我慢したり、辛抱したりするので、次第に心が風邪をひいてしまいます。

 

海外在住の人と日本にいる人との大きな違い

海外在住の人と日本にいる人との大きな違いは、ここにあるように思います。

海外在住者は、ある意味自分の意見や考えをハッキリと伝えていくことで、我が身を守っていかねばなりません。主張しないと流されてしまうので、語学の壁を無理矢理乗り越えてでも、なんとかせねばなりません。

対して、日本社会では、「言わない、言えない、言わなくても分かるはず、、、」といった、以心伝心に期待しでいる部分が問題を長引かせているように思います。

言葉ではなくコンテクスト(文脈)に頼るコミュニケーションスタイル、つまり察したり空気を読んだりすることが推奨される文化に暮らすハイコンテクストカルチャーの日本らしい特徴のように思います。

海外に暮らすということは、大前提が「『多様な文化』の中に身を置く」ということです。

「それぞれが違っていて当たり前」というところからスタートして、それだけに、その文化の中にいる「自分」に矢印が向き、アイデンティティについて深く思いを巡らせる傾向が強いのかも知れません。

このように、どんなカルチャーの中にいるのかによって、お悩みの傾向は違います。傾向は違いますが、やはり誰もが人間関係を含めた自分を取り巻く環境を良くしたいと願っていることは事実です。

そこでよく考えてみると、この環境を作っているのは、周囲にいる他人ばかりではありません。その一部には自分自身がいます。つまりうまくいっていない人間関係の一端は、自分も担っているということです。

だとしたら、自分自身が変わること、コミュニケーションの取り方を工夫することなどで、その環境は改善するのではないでしょうか。

問題や悩みは外から降ってくるのではなく、実は自分の内側に種があるのだとしたら、まだまだ自分自身でできることがありそうだと思いませんか。

誰もが、世界中どこにいても、何をしていても、心地よい環境の中で暮らしたいからこそ悩んでいます。悩むことで変化できたら、それを「成長」というのだと、私は信じています。

Written by 岩井真理(日本)

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