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ブラジル現地教育事情と公立学校での「日本を発見」教育福祉事業プロジェクト

2023年10月16日
HIROMI (ブラジル)

教育福祉事業プロジェクト「Descobrindo o Japão」のワークショップの様子。画像提供:今井恵美氏

ブラジル現地の教育事情

Olá!! ブラジル・サンパウロ州在住のHIROMIです。私は現在、教育福祉事業プロジェクト「Descobrindo o Japão(日本を発見)」のお手伝いをボランティアでしています。

こちらはブラジルの公立学校の生徒たちに日本文化の芸術と教育を共有することを目的として、押し花絵のアーティスト今井恵美氏が企画・コーディネートをしています。

ブラジルに住む日本人の多くはインターナショナルや現地の私立校、もしくは日本国政府の文部科学大臣が管轄する在外教育施設である日本人学校に通っている子どもが多いので、現地の状況は意外と知られていないのではないかと思います。

このコラムで、ブラジル現地の教育事情をもう少し詳しく知ってもらえたら嬉しいです。

ブラジルの教育制度は、初等教育9年(日本の小・中学校がひとくくり)、高校3年、大学が4年の9・3・4制。このうち最初の9年は義務教育となっています。

日本と違って1日中授業があるというわけではなく、基本的に午前と午後の2部制になっており、どちらかに出席するという仕組み。生徒数が少ない場合は、午前中のみに生徒たちを集めて授業を進めている学校もあります。

このように少ない学習時間を補うために、多くの子供たちが塾に通ったり、補修や課外活動を送ったりしています。

なお、インターナショナルスクールやプロジェクトを提供している州公立学校の生徒たちは7〜9時間学校にいるため、学校によっては異なりますが、2023年にはサン・パウロ州では492市内2311校で7〜9時間授業があり、学生生活プロジェクトからカリキュラムの構成要素や特定の教育実地など、多くの取り組みが行われています。

 

約73万人の子供たちが学校に通えていない現実

ブラジルの義務教育である初等学校で学んでいる子供は、統計して98%。残りの2%、つまり約73万人の子供たちが学校に通えていないのが現実です。

さらに、9年の初等学校を9年ちょうどで卒業できる子どもたちはわずかに47%。その中でも、高校も3年で卒業できる子はたったの14%。大学に進む子どもは、ブラジル全土でたった11%しかいません。

また、先日観たブラジルのニュース番組で「ブラジルにおける教育問題」について放送されていましたが、15、6歳で字が書ける子どもが16%と少なくなってきていることが指摘していました。

地方の貧しい家庭では子供を働かせたりしているため、字の読み書きができなくなっているのです。

公立校の場合、学費は無料です。給食も無料なので、貧しい子でも通学することは可能です。しかし、ブラジルの公立学校の学力レベルはやや低いと言われています。

その理由の一つは、先生の給料がとても低いこと。薄給のせいで先生のレベルが低下し、学力も低下するとして社会問題となっています。

学校のコンディションの悪さもあり、また、道徳という授業がないため、善悪判断能力が低い子どもも多いです。

このように問題があるブラジルの公立校で、プロジェクトをどのような形で提供しているのでしょうか。
 

教育福祉事業プロジェクトで日本を発見!

資源と環境を学ぶワークショップ、囲碁ワークショップ、伝統文化ワークショップの様子

私も支援している教育福祉事業プロジェクト「Descobrindo o Japão (日本を発見)」は2021年に創設され、今年で3年目を迎えます。

2021年の創設以来、サンパウロ市南地区のヴィラ・マリアナにある公立校、EE Major Arcy、Lasar SegallとBrasílio Machadoで7歳から17歳の日系、非日系人を対象とし、幅広い分野でワークショップや講演活動を行ってきました。

私も公立校EE Major Arcyで、故郷青森県の文化と芸能、着物文化を伝えるワークショップを行いました。

ブラジルの裏側の日本、更に東北へ向かう青森県の事は生徒たちはもちろん、先生たちも知りません。ですから、皆さん初めて見る青森の四季折々の動画にとても興味を示していました。

ここでの私は、子供たちの豊かな想像力・創造力や思考力、コミュニケーション能力を養うとともに、実際に工芸品を触って確かめ、文化芸術の創造につなげていくことを目的として授業を行いました。

個性豊かな生徒たちを前に、はじめは「大丈夫かなぁ…落ち着いて話を聞いてくれるのだろうか」と不安もありましたが、主宰の今井恵美氏のサポートで乗り切ることができました。

それにしても、個性豊かな生徒たちをまとめる先生たちは並大抵なメンタルではできないと感じました。その中でプロジェクトを立ち上げた主宰の今井恵美氏はパワーウーマンと言っても過言ではありません。

 

日本文化や芸能、着物文化を伝える

Cia Fujima氏による歌舞伎舞踊のワークショップの様子

教育福祉事業プロジェクト「Descobrindo o Japão (日本を発見)」では、日本舞踊や剣道、押し花、折り紙、かわいいお弁当、日記、ラッピング方法、妖怪カードゲーム作成、防犯対策アドバイス、環境教育、「生きがい」、ボランティア活動、スピーチ術、ソーシャルネットワーク・コミュニケーション、凧作成などをこれまで行ってきました。

コロナ禍中の2021年にオンラインで開始され、22年から対面式で実施するようになり、現在はJICAのコースの広報活動を支援し、フォローアップやプロジェクトなどを実施するJICA奨学金協会(ABJICA・Nanci Venâncio会長)を含めた団体や企業が協力、支援をしています。

支援、応援団体・企業の内訳は、Acrilex、Araujo 印刷会社、Rinnai、Nova Papel、 VMPG 投資コンサルタント、 押し花絵アトリエ-Emy.imai、Portal VempraLiba、 NK2、 宮坂国人 財団、 文協(ブラジル日本文化福祉協 会)、 JCI ブラジル日本、 KIF ブラジル、 日伯文化同盟、 ブラジル剣道連盟、 パウリスタ剣道連盟、 在サン パウロ日本総領事館、ヒロタ・フード・スパーマー ケット、 ヤマザトスタジオ、フクダ段ボール箱、ボニリャ・カット サービス、ブラジル日本 商工会議所、 間部アカデ ミー、 アリアンサ ・日伯 文化連盟、 アレアレアート教室、 インベ ンテッカ story Max、 在伯青森県人会、 和伯美苑、 ラッソス・ウマニタリオス、 New Experience Together、Thami 折り紙、 青年文協、ブラジル将棋連盟、ブラジル日本棋院など。

次回は、プロジェクトが生徒たち、そして先生たちにどのような影響を与えているのかを書きたいと思います。

教育福祉事業プロジェクト「Descbrindo o Japão」の写真は、主宰今井恵美氏のInstagramで見ることができます。

日本と違うブラジルの進路の考え方については、世界ウーマンコラムニストの岩井真理さんのキャリア教育と職業選択について。日本とブラジルの違いとは? もどうぞ。

Written by HIROMI(ブラジル)

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