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「学力」の経済学 中室牧子著

2018年12月5日

まずみなさんに、以下の3つの質問について考えてみてほしい。

・子どもをご褒美で釣って「よい」or「いけない」
・ほめ育てはしたほうが「よい」or「いけない」
・ゲームをすると「暴力的になる」or「暴力的にはならない」

 

著者の中室牧子氏は、データに基づき教育を経済学的な手法で分析する教育経済学者である。

一般的に教育は親や教職者の「経験」に基づいて語られることが多いが、教育経済学では大規模な「データ」を用いて、教育を経済学的に分析する。

データによって得た知見は、「教育評論家」や「子育てに成功した親」が個人の経験から述べる主観的な意見よりも事実を示しており、真実を物語っているという。

知るべき価値がある、むしろ、「知っておかないともったいない」と著者は言う。

 

私自身も子どもを持つ親であり、子どもにできるだけ高い学力を持たせてあげられたらと思っている。そのためには子どもにどんな働きかけをすればよいのか、いつも頭を悩ませてきた。

子育ての先輩である自分の母親に聞いたり、友人知人に相談したり、テレビや子育て本で仕入れた情報を色々と試しきた。

息子に効果のあったものもあれば、さっぱりだったものもある。その度にぬか喜びしたり、だめな母親だと落ち込んだり、息子に失望したり。子育ては一筋縄にはいかないものだと分かっていても、やはり迷走している感が否めない。

私もデータが全てではないとは思う。でも、手探りで進んでも道が見つからない時は、データによる知見はとても参考になると考えている。

 

実際に我が家で起こったことについても書かれてあり、とても驚いた次第だ。

息子は暇があればゲームをしたり動画を見たりで、私はその時間を少し勉強にまわしてほしいと思っていた。いくら注意しても変わらない状況に、ある日堪りかねての「1週間ゲーム禁止令」。

少しでいいから読書や自習の時間が増えればと願っていたのだ。

だが、そうはならなかった。母さん撃沈。。。

まさにこの事について、本文中に書いてあった。

子どもはゲームを禁止されたのは分かっているのでそれには従うが、それに代わる娯楽を行おうとする。ぼーっとテレビを見たり、おもちゃを出してきて遊んだり、集めているカードを眺めたり。

「1時間テレビやゲームをやめさせたとしても、男子については最大1.86分、女子については最大2.70分学習時間が増加するにすぎない」と。これを読んで、2分ほど学習時間を増やすためにゲームを禁止するのは違うと納得した次第だ。

かといって、無制限にゲームをさせていいというわけではもちろんない。やはりテレビやゲームの時間が長くなりすぎると、子どもの発達や学習への悪影響が大きいと研究でも出ているそう。

ちなみに、「子どもに勉強させるには?」という質問に対しての答えは、

すぐ次の項の『「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い』に書いてあるのでこちらを参考に。

これまでに挙げたのは本文に書かれてあるほんの一部であるが、悩める親にとってはとても参考になるものばかりだ。

 

最後に、最初の3つの質問に対する答え。

・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てはしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にはならない」

いかがだっただろうか?

この答えは、ある番組に出ていた教育評論家たちの主張と真逆であるというのはとても興味深い。

Written by 藤村ローズ

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