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アゼルバイジャンのバクーよりはじめまして。概要、観光スポットなど

2021年2月19日
岡田環 (アゼルバイジャン)

アゼルバイジャンはどんな国?

ヨーロッパの東、アジアの西。カスピ海のほとりのシルクロードのオアシス都市であったバクーは、古いペルシャの言葉で「風の通る道」という意味だとか。

私がこの東と西の文化の溶け合う美しい街に暮らすことになって、もうすぐ一年半になります。引っ越しのきっかけは夫の赴任なので、あと数年という期間限定のこの街の住人です。

私は学生時代に日本を出て、世界中を仕事で転々とする暮らしも、もう25年ほど。生活した国は10を超えました。

そんな私が旅人の目線と生活者としての目線の両方から、この未知なるエキゾチックな国での生活をご案内しつつ、これからみなさんと、海外で外国人として生活することや、家族として夫の海外赴任に帯同することにまつわる難しさとの向き合い方など、私自身の経験も共有してゆけたらと思っています。

今日はこのアゼルバイジャンという国の概要と、その首都バクーでの暮らしについて、写真を見ていただきながら、その手触りを共有したいと思います。

アゼルバイジャン。シルクロードのエキゾチックな雰囲気の国として、その名前は耳慣れているものの、実際には日本から遠く、あまりなじみのない土地ではないでしょうか。

地理的には、北にロシア、北西にジョージア、西にアルメニア、南にイランと国境を接し、またアルメニアの向こう、飛び地の領土ナヒチェヴァンは、トルコと繋がっています。

目の前のカスピ海を超えると、その対岸にはトルクメニスタンとカザフスタン。そんな、まさに東西の文化の交差点といった場所に位置しています。

この立地がすでに物語るように、この土地の文化は、多様性と融和に満ちています。

イスラーム文化圏でチュルク語系のアゼルバイジャン語を話す、トルコと親しい風俗ですが、サファヴィー朝時代に花開いたペルシャ文化を色濃く映します。

また後年のソ連統治時代の影響により、その言語や社会制度の残るアゼルバイジャンの文化は、シルクロードの交易の中心地であったオアシス都市のそれにふさわしく、文化が交差し融合した独特の様式が特徴的です。

実際、人々の容姿や生活にもそれは表れていて、私のアゼリーの友人たちは、明るい髪色で黒い瞳の人もいれば、褐色の肌に黒い髪それにごく淡い緑の瞳の容姿まで、さまざまに溶け合い、古くから東西の交わる交易路の中心であったことをうかがわせます。

アゼルバイジャン語が第一言語の家庭が大多数ですが、その言語の中には、それぞれの出自や家族の歴史によって、多くロシア語が混ざることもあれば、ペルシャ語の語彙が混ざることもあり、その度合いにバリエーションがありとても興味深いです。

実際、第二、第三言語としてトルコ語やロシア語を自由に操る人も多く、街で人々の話すのを聞いていると、くるくると言語を入れ替えて話す様子が聞こえてくることも。近年は英語教育も盛んです。

 

首都バクーの街並み

首都の街並みを見てみましょう。

産油国でもあり、近年の経済成長から、「第二のドバイ」と呼ばれることもあるバクー。

個性的なデザインの近代的なビルの立ち並ぶカスピ海沿いののブルーバード地区と、その中ほどにあるペルシャ王朝の面影の残る古い王宮を囲むイチェリ・シェヘル(旧市街)、かつてのオイル・バロンの瀟洒な邸宅の残る、ヨーロッパ風の街並みの続く噴水広場地区、といくつもの顔を持っています。

その中で、なんとも特徴的なのは、イチェリ・シェヘルと呼ばれる旧市街。

そのいにしえの城壁の内側には、かつてのシルクロードの隊商が投宿したキャラバン・サライの遺跡があり、現在も絨毯や土産物を商う店が賑やかに営業しています。(トップの写真)

目抜き通りには、観光にも素敵な瀟洒なカフェやレストランがひしめいていて、その片隅にはソ連時代の香りの残る人形劇の劇場や、小さいけれど緻密に収蔵品を揃えた歴史博物館がひっそりと佇んでいます。

そして一歩路地裏に入ると、そこは住宅街。

実はたくさんの家族が実際に生活している、生きている街というところが、私のいちばんの気に入りです。

普段のお買い物は、もっぱら現代的なスーパーマーケットですが、こんなバザールも健在です。

かつての古い屋根だけの建屋を新築し、きれいで衛生的なぴかぴかの建物の中に、露天の頃と変わらない風情の、小さな商店がひしめき合っています。

いかがでしょうか。こんなふうに新旧が入り混じり、歴史の香る古い建物の間から、未完成の建築中の高層ビルがにょきにょきと生え伸びるバクーの街並み。

ペルシャとトルコの文化の香りをまとったエキゾチックな面影に、ソ連時代のノスタルジーを溶かし込み、それになお力強く発展する近未来像との、不思議にも融和した絶妙のバランスを映し出していて、非常におもしろく私の目には映るのです。

ソ連邦からの独立から30年弱。

常に発展し変わりゆくこの国の、現在ここに保たれているうつくしい均整をスナップに収めるかのごとく心に留めて、アゼルバイジャンの「これから」に注目してゆきたいと思います。

Written by 岡田環(アゼルバイジャン)

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