「南米」と聞いて、多くの人は明るい街並みと陽気な人々をイメージするだろう。
3年前に夫に「エクアドルのグアヤキルに赴任する」と言われた時、最初に私の頭に浮かんだのは、「どこ?」だった。そんな地味な印象の、南米エクアドルのグアヤキルについて書こうと思う。
エクアドルはコロンビアとペルーの間に位置し、カカオやバナナの生産地で有名で、エビやマグロなどの養殖も盛んだ。
地理的には森林地帯の「オリエンテ」、山岳地帯の「シエラ」、沿岸の「コスタ」に分かれ、その土地ごとに特徴が分かれる。
オリエンテは自然の豊かなアマゾンがある、シエラには首都キトがあり、過ごしやすい気候でアンデス山脈の美しさに目を奪われる。そしてグアヤキルを有する「コスタ」はというと、ガラパゴス諸島への玄関口という以外に特徴がない忙しない街だ。
季節は大きく分けて「雨期」「乾期」があるが、雨が多いかどうかの違いだけで年中暑い。
私が来た頃のグアヤキルは乾期だったので、少雨と酷暑がもたらした乾燥で芝生などが生えていない場所の土の色は茶色を通り越して灰色、空気もほこりっぽく、赤道直下で明るいはずの太陽もどんよりと重く感じた。
道路は交通ルールなどお構いなしのドライバーたちであふれ、人身事故を何回も目にした。とにかく雑然としており、「緑が豊かで街並みはカラフルで、人々も陽気」というイメージは打ち砕かれた。
グアヤキルはエクアドルの最大の都市にして最大の港湾都市
そんな私の気持ちが明るくなったのは、裏庭に鮮やかな黄色をした鳥が餌をついばみに来たのを見た時だった。インコのような鳥があちこちにいる。
数日後には裏庭のパティオで、きれいな緑色のイグアナの赤ちゃんを発見した。不思議そうにガラス越しに私の家の中をのぞく姿にキュンときた。
私がエクアドルに来て、心に響いた「色鮮やかなもの」は街並みではなく生き物だった。それがきっかけで、自分が勝手に持っていた南米のイメージにとらわれず、グアヤキルを観察することにした。
グアヤキル(スペイン語: Santiago de Guayaquil)は、エクアドルの最大の都市にして最大の港湾都市。2007年にコンテナ専用埠頭に改装され、現在ではエクアドル最大のコンテナ取扱量となっている。
市はエクアドルでの商業と製造業の中心地である。市は大きくスル、セントロ、ノルテの3地域に分かれ、それぞれ工業・一般居住地区、商業地区、高所得者居住地区とされてきたが、最近ではセントロを除く他地区はこの分類が曖昧になりつつある。
スルのグアヤス川沿いには水産加工場や製粉工場、造船・船舶修理工場などが集中している。グアヤキル港はこのスル地区最南部にあり、主な取り扱い貨物はバナナ、カカオなどの農産物である。
グアヤキル湾に注ぐグアヤス川の河口から約60km上流の沖積地(一部河口州)に位置する。人口は269万8077人(2019年)で周縁地区を合わせると300万人を超える人口を擁する。(一部Wikipediaより)
最初に響いたのは、生き物の色鮮やかさ
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