エクアドル在住のマットン美貴子です。夫のエクアドル赴任を機に長年の勤めに終止符を打ち、現在はエクアドルの自宅のキッチンを利用して弁当屋をゆるく営業しております。
これからエクアドルに関する話題を世界ウーマンで発信することになりました。よろしくお願いします。
皆さんはエクアドルのことをどれだけご存じでしょうか?私は実際に来るまでエクアドルことを何も知りませんでした。
エクアドルはコロンビアとペルーの間に位置する、日本の3分の2ほどの大きさの国です。最近は日本のスーパーなどでエクアドルのチョコレートやバナナも売っているようなので、認知度は多少上がっているかもしれません。
そんなエクアドルに世界自然遺産の「ガラパゴス諸島」があることを知っていますか?ひょっとすると、ガラパゴスのほうに聞き覚えがあるという人が多いかもしれません。
今回はそのガラパゴスへのクルーズ旅についてつづりたいと思います。
私の想像するクルーズ船は映画「タイタニック」に出てきた大型船。でも、私たちの船はクルーズ客定員90名程のクルーズシップでした。外観は地味ですが、中はブティックホテルのような明るく清潔でおしゃれな雰囲気。
コロナで落ち込んだ観光需要が戻り始めたばかりで、約半数の43名のクルーズ客が参加していました。大半はお酒の飲める年齢を過ぎた大人たちで、ガラパゴスの島々を臨む船内のバーは大人の社交場になりました。
4日間のクルーズ旅の初日に知り合ったコスタリカの上品な夫婦が懸け橋となり、旅の間、アメリカ人男性2人、アメリカ人とペルー人の夫婦とその娘、イギリス人のお母さんと息子さんを含むグループで食事をし、その日の発見や国での生活について語り合いました。
クルーズが社交の場になるとは予想していなかったのですが、思いがけず人脈が広がった旅になりました。
大小を含め、230島余りあるガラパゴスの島々に生息する希少動物を観察できる場所をピンポイントで巡ります。ポイント近くの海上に船を係留し、ナチュラルガイドと一緒にゴムボートに乗って島に上陸しハイキング。
経験が豊富なガイドについて、ガラパゴスにしか生息しない、ガラパゴスアシカ、青い足のブービー、海イグアナ、陸イグアナ、ガラパゴスフラミンゴ、ガラパゴスペンギンなどを観察しました。
ハイキングだけではなく、シュノーケルで、黒い岩と化した溶岩の間を悠々と泳ぐアザラシやウミガメそして魚たちを観察もできます。
ガラパゴスでは動物に触ることや餌付けをすることは禁止されています。
それなのに、動物たちは人間が近づいても逃げないし、むしろ水中ではウミガメやアザラシがこちらに向かってきて、逆に私たちをジーっと見つめ観察しているようなしぐさを見せたりします。
野性的な火山の勢いを感じさせる土地とは対照的に無邪気な姿を見せる動物を見ると、自然の偉大さと生物への愛情がわいてきます。
今回の旅で、一番印象に残ったのは絶滅危惧種の「ガラパゴスゾウガメ」です。
今ではチャールズ・ダーウィン財団が保護や繁殖に力を入れているため数が増えているそうですが、「絶滅寸前まで追い込まれた主な原因は人間だ」とガイドさんが語っていました。
その昔、ガラパゴス諸島を発見した海賊や航海士たちが、水や餌を与えなくても長生きする亀を乱獲したそうです。
大きくて動きが遅いので簡単に捕獲され、ひっくり返して甲羅を底にして貯蓄すると簡単に逃げないので、何カ月も水や餌も与えられず船内に詰め込まれ、食肉にされていたのだとか。人間って本当に残酷だなと感じました。
また、人間が持ち込んだ外来種であるヤギがカメの卵を食べたりして急激に数が減ったそうです。今では保護地区でゆっくりと穏やかで自分のペースで過ごす亀たち。人間のせいで過酷な歴史をたどってきたとは本当に胸が痛みます。
ガラパゴスで感動するのは動物だけではありません。何回もの火山爆発が作り出した島の地層や溶岩が固まった後の黒々とした岩場もアートのような雰囲気を醸し出しています。
オレンジ色になった部分は何万年も前に流れ出した溶岩が変異を遂げたもの。黒い部分は比較的新しい溶岩だそうです。また、ガラパゴスの夕日は美しく、時間によって表情を変える太陽にどっしりとした威厳を感じました。
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